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接吻 4月6日〜365日の香水

キスの歴史
愛情表現としてキスは当たり前のようだけれど、いつから人類はキスするようになったのだろう。
紀元前1500年頃のアユルヴェーダの文献にすでにキスの記述があるらしい。
古代ローマの習慣では公の場で敬意や忠誠を示す行為としてキスしたという。
キスの歴史は長く、親が子に口移しで食べ物を与える行為の派生という説もある。
大切な存在、愛情を象徴するキスは命を育む行為が始まりだったのかもしれない。
一方、今昔物語には「口吸い」の表現でキスのような描写がある。
平安貴族は意外と情熱的だったのか。

ブランクーシ 「接吻」
アーティゾン美術館で彫刻家ブランクーシの「接吻」観た。
ある映画の中で、老富豪が妻との思い出のコレクションである「接吻」をオークションに出品するというくだりがあった。アートにとくに造詣もない若い女性が情熱的で愛おしいと素直に感想を言い老人を喜ばせていたシーンが印象に残っている。
どの面から見るかで印象はだいぶ変わる。私は互いの背中を抱きしめる手が好きだった。
一生懸命で素朴なキスの情景がその手に感じられた。

情熱のキス
今日の香水はイタリアの高級スキンケアブランドであるボルゲーゼ(borghese)がかつて出していたイルバチオ(il bacio)。
これは明らかに情熱的な方のキス。
真紅と黒のパッケージ、ボトルデザインはキャップが唇を思わせるようなデザイン。それも唇と唇が絡み合うようなデザイン。
創業者のマリエッラ・ボルゲーゼはイタリア貴族で1957年にスキンケア事業をスタートさせた。
ボルゲーゼからは香水は3つしか展開されていない。
最初はブランド名を冠したもの、次がこのイルバチオ、そして三作目はla carezza d’amorと言って愛の愛撫という名だ。
極上のスキンケアを提供しているから、濃密な接触も大丈夫ということ?

il bacio/borghese/1993
フェミニンなホワイトフローラルとピーチやメロンなどのフルーティ、アンバーやウッディをしっかり効かせて、全体に重厚で深みのある香り。
フルーティフローラルの構造をもちながら、可愛らしい、親しみやすい要素は排除され、全てのノートが情熱を醸すように割り当てられている。
フルーティフローラルのこういう演出は希少。
一度、私も試作してみたい。
ラストノートにかけて、香りが透明感を帯びてくるので、秘めたパッションを持ちつつ、颯爽と胸をはる人がイメージされた。

香り、思い、呼吸。

4月6日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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