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チンギス・カン 5月31日~365日の香水

最強の武将

チンギス・カンの時代、「ユーラシア大陸は史上最も国境が少なかった」と言われている。
“財”には執着がないので、この偉大な武将の移動宮殿は極めてシンプルなものであったらしい。
それは、遊牧民であるゆえに財産を蓄える概念がなかったことに起因する。必要に応じ、現在でいえば”略奪”のような形で必需品を”調達”するカルチャーであったという。
王といえば豪華な宮殿、金銀財宝というのはバイアス、生きる地が変われば暮らし方が変わり、それにより価値観も変わる、ということを改めて思う。
蒼き狼の末裔言、チンギス・カンは、1162年5月31日生まれということになっている。

不思議なコレクション

長い間、これは何だろうと、気になりつつ放置していたコレクション。
「Xhan」と読めるネーミングに、なぜか、チンギス・カンのことかと自然に推察していた。
調べてみると、ブランドはマルク・ドゥ・ラ・モランディエール(Marc de la Morandiere)。
1980年代にフランスで創業したしたニッチフレグランスのブランドだった。
グラースの調香技術と、フランス伝統技術の融合をコンセプトにしていて、ブルスレ渓谷~Bresle valleyのガラス職人と明記されていたので調べてみた。
オーベルニュ地方、ブルスレ川流域のこの地はガラス製造で古代ローマの時代から歴史があり、現代は名だたるブランドの香水瓶製造で有名であった。
チンギス・カンのボトルも、サイトでは、手作業で漆塗りを施したオリジナルボトルでの数量限定品とのこと。

Gengis Khan/Marc de la Morandiere/ 1991

漆塗りのボディと鉄製の装飾品を模したキャップ。
(鉄はチンギス・カンが生涯にわたり追い求めた価値あるものだった。)
香りはオリエンタル。
草原の雄、蒼き狼、ユーラシア大陸の縦横無尽な文化の融合、そのようなスケールを感じさせてくれる。
これもまたメンズフレグランスとして世に出たようだけれど、現代なら性別は問わずで味わえる。
楽しむというより味わうという表現がが相応しい香り。
財を欲しなかったチンギス・カンの名を冠した贅と技巧を凝らしたコレクタブルなボトル。
その取り合わせもまた妙味。
人知れず、英雄の誕生日まで出番を待っていた至高の香水。
モンゴルにも、オーベルニュのブルスレにもいきたくなった。皐月尽。

香り、思い、呼吸。
5月31日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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