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スイス[43] 駅のアナウンス(その3)近鉄宇治山田駅

202302240018 スイス[43] 駅のアナウンス(その3)近鉄宇治山田駅

 これまたスイスという項目が入っていますがスイスねたではありません。ごめんなさい,ごめんなさい。日本それも田舎の駅のアナウンスの思い出話です。

 子供の頃,親に連れられて伊勢神宮に参拝したことがあります。その時の帰りに利用した近鉄(近畿日本鉄道,関西の私鉄最大手)宇治山田駅(三重県伊勢市)のアナウンスのことです。
 今は近鉄もアナウンスは自動音声が主だと聞いています。しかし私が子供の頃は駅のアナウンスは人による声でした。

 ここで近鉄宇治山田駅のことを少し記します。開業当時からしばらくの間は宇治山田駅は大阪や名古屋から伊勢に来た列車の終着駅でした。のちに宇治山田駅から鳥羽駅,さらに鳥羽駅から賢島駅まで近鉄の路線は伸びるのですが(*1)(*2)それはともかく外観も内部も現在に至るまで開業当時の建築様式の名残がわかる美しい駅です。

宇治山田駅 構内 出札窓口


 建築物としての駅の話はともかく,ここで話題にしたいのは駅のホームです。
 昔はターミナル駅(東京なら西武新宿駅、大阪なら阪急梅田駅のような行き止まりの駅)だったので,現在の1,2番ホームが行き止まりの始発・終着のホームになっています。大阪・名古屋方面に向かう始発列車(急行と各駅列車)はここから出発することがほとんどのようです(*3)。

宇治山田駅,左から1番線と2番線(行き止まり),3番線(鳥羽駅方面)

 問題は,宇治山田駅より鳥羽駅よりの駅,つまり五十鈴川(いすずがわ)駅・鳥羽駅・賢島駅始発の列車は全て4番ホームから出発することです。参拝客などの観光客の多くは長距離の特急列車に乗ることが多く,そのほとんどが4番ホームで帰りの列車を待つわけです。
 で、その4番ホームからは特急列車の行き先だけでも、大阪上本町,京都,名古屋と3方向がありますし,特急列車も普通の特急列車以外に途中停車駅が極端に少ない「ノンストップ」特急という種類の列車もあります。
 現在の列車ダイヤと子供の頃利用した当時のダイヤは相当に違いますが,一つのホームから多方向多種の列車が出発するということでは同じです。乗客にしてみれば乗る列車を間違えると下手すると「名古屋に帰るつもりが大阪まで連れていかれる」ことになりかねません。

宇治山田駅 4番線

 4番線のアナウンスはですからとても忙しいものでした。声から想像するに年輩の女性の声で
「次に参ります列車は大阪上本町行きの特急列車でございます。停車駅は伊勢市,伊勢中川,榊原温泉口,伊賀神戸…」
とか
「この列車は名古屋行きノンストップ特急でございます。途中の駅には止まりませんのでご注意下さい」
とかです。
 つまりは,一つのホームから(記憶している限りでは)少なくとも
・大阪上本町行特急
・大阪上本町行(快速)急行
・京都行特急
・名古屋行特急
・名古屋行急行
・各駅列車
と6種も7種もあるわけです。これらがひっきりなしに4番ホームから出発するのです。

 だから不慣れな観光客のためにも頻繁に列車案内のアナウンスが必要だったのだと思います。
 現在では近鉄も自動音声によるアナウンスが主流でそれが適切なのでしょう。それでも人の声による案内アナウンスも良かったな,と思います。国鉄渋谷駅のそれと違って少しダミ声のかなり年輩の女性と思われる声でしたが、通りが良いわかりやすい案内だったと記憶しています。

(ご注意:私がアナウンスを聴いて当時と今は列車ダイヤには大きく違いがあります。念のため)

(*1)(*2)


(*3)近鉄宇治山田駅構内図

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