さいたま市民がセブンイレブンのビャンビャン麺を買いにわざわざGOTO東京したくなる理由。
セブンイレブンが先週から、ビャンビャン麺を東京全域で発売を開始し、ちょっとした話題になっている。実は自分もドハマリしている麺類のニューウェーブである。この不思議な麺料理の魅力とは何か、体験記風にまとめてみた。
ビャンビャン麺とは何か
自分がこのビャンビャン麺の存在を認識したのは、6月中旬。毎朝の日課であるテレビ朝日の「じゅん散歩」で取り上げられたのがきっかけだった。そこで紹介されていたのはやたらと画数の多い漢字2つが並んだ、なんとも不思議な名前の麺料理だった。その漢字がこれ↓。
しんにょうやらあなかんむりやらにくづきやらしたごころやら部位大集合の漢字の権化とでも言うべきこの字の画数は全部で57画(56画とも)。なんでこんな字が使われているのか、詳細はウィキペディアでも参照していただきたい。
ていうか、中国人たちはこんな難解文字をちゃんと書けるのかと素朴に思うが、これを書くための絵描き歌のようなものがあるらしい。絵描き歌があるラーメンなんて、テレビCM大国日本でもちょっと聞いたことがない。さすがは中国4000年の食文化、恐るべし。
恐るべし中国の麺文化
で、ビャンビャン麺の魅力は字面だけではない。最大の特徴は、いわゆる日本のひもかわうどん状の平麺をさらに倍以上広げた幅広の麺が使われていること。山梨名物のほうとうのようなものを想像されるかも知れないが、かん水が使われているからかちょっと経験したことのないモチモチ感がある。この食感がビャンビャン麺の命と言ってもいいだろう。
この超幅広麺を、もやしやニラなどの炒め野菜やひき肉、ちょっとピリ辛な調味料に醤油ベースのタレを混ぜ合わせて食べるのがビャンビャン麺なのである。汁なし麺ではあるが、冷やし中華のような冷麺として食べるものではないようだ(店によっては冷やしメニューもありそうだが)。
ビャンビャン麺がコンビニで食える、だと?
で、この日本の麺常識からは到底生まれようのないビャンビャン麺の魅力に取り憑かれてしまった自分は、手頃に食べられる店はないかと早速探索してみた(番組でやっていた横浜中華街の店は自宅の浦和からはちょっと遠いので)。すると何ということか!セブンイレブンで普通に売られているという情報があっさり引っかかった。
しかし、そんなもの、近所のセブンイレブンじゃ見たことないぞ。ちょくちょく出没する浅草でも見たことがない。さらに調べてみると、今年4月ごろから江東区などごく一部の地域で試験販売をしていたことがわかった。うーん、江東区のセブンイレブンまで弁当を買いに行くという行動はありなのか?それにコロナも収まってないし。などと妙な屁理屈を付けて躊躇する情けない自分。
アメ横のビャンビャン麺は良心価格!
とりあえずコンビニでの案件はペンディングにし、普通に食べられる中華料理店を改めて探索してみたら、アメ横に扱っている店を発見!ここならコロナ下でもそこそこ安心していけるし、元台東区民の自分にとってはところ知ったる準ホームグラウンドだ。ということでさっそく、京浜東北線にのって御徒町へ。行き着いたのはこのアメ横の平成福順というお店だ↓。そういえばここ、以前立ち寄った気がするぞ。まあそれはいい。
アメ横ならではのオープンテーブルのスタイルの店。早速席について、メニューを覗き込んだが「ビャンビャン麺」を名乗る品はどこにも書いてない。お店のお姉さんに「ビャンビャン麺ってどれ?」と聞いたら、指差したのは「西安風ペペロンチーノ手打ちラーメン」と書かれた写真。一見、テレビでやってたビャンビャン麺ぽくはないのだが、言われるがままに注文することにした。そして、しばらくして運ばれてきたのが、野菜ひき肉炒めが上に乗り器の奥に広めの麺が見え隠れするまぜ麺的なもの。これだ!それがこれだ↓。
値段は600円とこの手の店ならではの破格値。これで流行の最先端を行くビャンビャン麺を体験できるなんて夢みたいだ。もうこれならセブンイレブン案件はどうでもいい。
7−11ビャンビャン麺の逆襲
とは思ったものの、自宅の浦和からこれを食べたさに往復800円の電車賃をかけるのは合理的とは言えない。行ったついでに上野のガード下で昼飲みするのは楽しいのだが、やはりもっと手頃に日常的にビャンビャン麺が手に届く生活にありつきたい。そんなモヤッとした気持ちを抱えながら、いつになく虚しい夏のおわりを迎えようとしていた8月下旬、にわかに、TwitterやFacebookにビャンビャン麺にまつわる書き込みが。その情報源がこれだった。
同じ頃、浅草の行きつけの飲み屋「鳥椿」の早苗ちゃんからも同じ情報がもたらされた。これはついに家でも食えるか?と思って、家から徒歩圏のセブンイレブン計5軒を巡ってみたが、影も形も拝めなかった。やはり荒川鉄橋を超えることはできなかったか。
ならば仕方がない!試験販売時の江東区よりははるかに近い台東区や北区に行けばいいではないか。ということで一念発起、8月最後の日、仕事そっちのけで真っ昼間の上野へ向かった。今度は京浜東北線ではなく、上野東京ラインでだ!気合の入り方が違うのだ。
でも、たかだかセブンイレブンで麺を買うだけの理由でGOTO東京するのも味気ない。まずは前戯。普段のように上野のガード下の大衆酒場「ほていちゃん」で飲み友達兼ライター仲間のきんちゃんといっぱい酌み交わす。毎度の通り救いようのないバカ話を交わしながらホッピーをがぶがぶやっていると、気がつけば時刻は3時過ぎ。
やっとありつけた7−11ビャンビャン麺、どこで食うか
すっかりいい気分になって上野駅前できんちゃんと別れ、駅舎の中へ足を向けようとしたその時、我に返った。「そうだ、ビャンビャン麺だ!(何やってるんだオレ)」。すかさず駅に向いてた踵を上野公園方向へ回し、公園手前のセブンイレブンに入店。しかし、時刻はすでに3時過ぎ。ランチタイムもとっくに終わり、その手のものはとっくに売り切れていてもおかしくない。だが、あった!しかも3つくらい残ってる。え?ひょっとして不人気? まあそのへんの事情はよくわからないが、とにかくとうとう、ビャンビャン麺をゲットした。しかも価格は500円でお釣りが来る安さ。ありがとうセブンイレブン!
ということで紆余曲折の末に手に入れたセブンイレブンのビャンビャン麺を、さてどこで食べようか。まず視野に入ったのは上野公園。西郷さんの前でチュルチュルやるのもオツだが、この日は最高気温34度の真夏日。炎天下でビャンビャン麺を食べながら熱中症で果てるのも悪くはなかったが、このあと何度もビャンビャン麺を食べたいと考えるとそうもいかない。
暑さをしのいで上野駅構内を彷徨い、気がつけば改札を通って地上ホームへ足が。で、結局行き着いたのは15番線に停車していた上野始発の宇都宮線の車内。改札から一番手前の最後尾車両はボックスシートがあるので、ここに着席した。なんか昭和の駅弁な気分だ。ということで、さっそくフタを開けて麺と具をまんべんなくかき混ぜ、いよいよ食べる!
うん、これはまさしく、アメ横のあの店で食べたのとほぼ同じ、正真正銘のビャンビャン麺だ。麺の食感はモチモチで、味は程よくピリ辛。これほど完成度の高い汁なし麺はないかも知れない。高田馬場の油そばなど足元にも及ばない美味しさだ。
俺たちのビャンビャン麺はこれからだ!
まだ昼の3時でも売れ残るほど認知度の低いビャンビャン麺だが、次第に浸透すれば間違いなく人気はじわりと上がっていくに違いない。今はまだ東京都内限定だが、荒川鉄橋を渡ってさいたまに到達する日も決して遠くないはずだ。その前に別のコンビニが模倣品を出す可能性もある。いずれにせよ、この秋以降、ビャンビャン麺ブームの広がりに期待せずにいられない。さて、次はいつ買いに行くか。
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