生成AIのセミナーをやっていて、一番困る質問・・・(^^;
京都の大塚商会さんのフェアで特別セミナーで登壇させていただいた足立明穂です。
「ChatGPT活用法 ~チャットGPTが社会を変える前に何をすべきか?~」ってことで、会場の100席が、ほぼ満席の状態になり、企業の方々の関心の高さがうかがえます。
この手のセミナーをやるときに、いつも最初に質問させていただいているのが、これ。
「ChatGPTを使ったことありますか? 少しでも触ったことのある人、手をあげてください。」
半年ほど前までは、参加者の2割いるかどうかでした。しかし、大塚商会さんのセミナーでは、手を挙げていない人を探すのが難しいほどでした。
時代が変化してきているのを感じます。
さて、そんな生成AIのセミナーで、講師が回答に困ってしまう質問。こっそり、お伝えします(え?w)。
生成AIを世界に広めたChatGPT
生成AIの歴史を語る上で外せない論文があります。論文「キャットペーパー」。
2012年6月にGoogleが発表したもので、ディープラーニングの技術を使って、猫の画像を大量に見せたら、「猫」を判別できるようになったという内容です。そのため、「キャットペーパー」とも呼ばれています。
Googleの論文なので、ここは、Googleが開発した生成AIであるGemini(ジェミニ)に探してもらいましょう。
クオック・リーのキャットペーパーを、ネット上に公開されているか探して
あれ?? なんか、完全におかしなことを言ってますね・・・
Googleの検索ができるのに、シンプルに「キャットペーパー=猫の紙」にひっぱられて、研究者クオック・リーが無視されてますw
面白くなってきたので、この記事の主題と外れますが、突っ込んでみますw
クオック・リーのキャットペーパーって、何かわかってる?
猫の爪とぎ用の紙???? 壁掛けタイプとかポールタイプとか、これは、これで見てみたいw
Googleさん、自分のところの超有名な研究者や論文を勘違いするなんて、素敵です! ある意味、人間っぽい?www
でも、ここは、正しく認識してもらわないと!!
クオック・リーの論文「キャットペーパー」と呼ばれているものですよ?
うひゃーーーー! もう、完全にハルシネーション(幻覚)に惑わされまくってます!! 人間のように「思い込み」に陥っていますw
これは、現実に引き戻さないと!! 催眠状態から目覚めさせましょう!w
え? Googleの論文なのに知らないの?
ふーっ・・・ AIを使いこなすのも大変だぜぇ!w
余談ついでに・・・
このように生成AIがいくら検索できるとか、最新の情報を学習するとかいったところで、「勘違い」や「思い込み」をします。
今回のように、調べる「キャットペーパー」がどのようなものか知っているから間違いに気が付きますが、まったく知らない単語や出来事を生成AIに質問すると、それが正しいのか間違っているのかわかりません。
いや、もっと危険なのが、人間側も中途半端に知っていることだと、AIが出したいいかげんな情報を使って補正し、正しい情報と間違った情報をごちゃごちゃにして、「記憶」してしまうことです。
こうなってくると、その記憶が、自分が調べて知ったことなのか、生成AIによって間違った情報を植え付けられたものか、区別などできなくなって、人間の感情が絡んできて、「思い込み」に固執するようになります。
ええ、そこから、対立が生まれてくるのですよね・・・
いかに冷静に、客観的に物事をみるのか、人間側が「感情の使い方」を学ばなければ、これからのAI時代を生き抜くのが難しくなっていきます。
これが、AI時代に必須となる「感情の教育」ですね(って、そうなんか?w)。
横道にそれまくってますが、「キャットペーパー」では、猫が何かということを教えることなく、大量に猫の写真を見せるだけで、「猫」を識別できるようになったということです。
2012年のことだったのですが、当時は、一部のAI研究者、AIに関心を持っている人たちだけが、「すっげーーーー!」って盛り上がっていました。
それまでは、「猫は、丸い顔で、耳が頭についていて、髭があって、丸い目で、明るいと瞳が細くなって・・・・」などなど、いろいろな「猫の定義」を人間がプログラムにして組み込まないと、猫を識別することができませんでした。
これって、めちゃくちゃ面倒くさい。
有名な寓話で、目の見えない人たちが象を触って説明するというのがありますよね?
鼻を触った人 「象は、細長くてぐにゃぐにゃ動いて、蛇みたいだぞ」
耳を触った人 「平べったく大きなウチワみたいなものだなぁ・・・」
足を触った人 「太くてどっしりした柱みたいだ」
尻尾を触った人 「こんなに細いんだねぇ!」
どれも正しくて、どれも間違っています。
あなたなら、どのように目の見えない人に象を説明しますか?
これと同じで、「猫」を区別できるようにコンピュータに説明しようとすると大変な作業が必要なのです。
ところが、先の論文キャットペーパーでは、猫の画像を大量に見せるだけで、「ははーん。なるほどね。こういうのが猫なんだ。」って区別できるようになったのです。
ある意味、人間に似ています。
小さな子供に
「ほら! あそこに、にゃんにゃんが、いるよー」
とかって、教えますよね?
そうやって、何度も、いろいろな猫を見るたびに、「にゃんにゃん」っていう言葉と、「猫」とう特徴とを結びつけていきます。
そうやって、三毛だろうが、白だろうが、サバトラだろうが、ちゃんと「にゃんにゃん!」って指さすようになります。
さらにすごいことは、トイプーやミニチュアダックスを見ても、「にゃんにゃん」とは言わないことです!!
またまた、横道にそれますが、「猫ではないもの」と区別できるということは、当たり前って思っているかもしれませんが、実はすごいことなんです。
関係ないことを区別するスキルでもあり、「関係ないこと」を決めるのは、生物が生きていく上で、ものすごく大事な能力なんですよね!!
この辺に関して興味のある人は、「フレーム問題」とか「ロボット三原則」について調べてみてください。
あー、ぜんぜん、話が本筋に戻れない(^^;
さて、2012年にコンピュータに「猫」を認識させることができるようになったという論文が出てから、実は、劇的にAIが進化し、2023年のChatGPTで世界が沸くことになったのです。
ChatGPTが出てくるまでは、AIって特別な技術をもったエンジニアしか使えませんでした。
それが、誰でも、日常会話のようにAIに話しかけることができるようになりました。
プログラミング言語など覚える必要はなく、エクセルのような関数とかマクロとかも不要。そもそも、ワードとかメールのような操作方法を学ぶこともありません。
ここが、ChatGPTのすごいところ!
アレクサ、Siri、Gooleと何が違う?
「え? でも、スマホとかでも、話しかければ、答えてくれるよね!」
ええ、おっしゃる通り。アマゾンの「アレクサ」、iPhoneの「ヘイ、Siri」、アンドロイドスマホの「OK、グーグル」って話しかければ、音楽をかけてくれたり、検索して結果を読み上げたり、デバイスを付ければ照明のオン/オフもやってくれます。
でも・・・・
ChatGPTは、違いますから!!!!
何が違うのかというと、アレクサやSiri、Googleは、「一問一答」。つまり、一つ質問したら、一つ回答して終わり。
ただ、最近は、ChatGPTなどの影響もあって、少しずつ前の質問から引き継ぐような回答もできるようになりつつあります(日々変化してるので、気になる人は調べてみてねw)。
一方、ChatGPTは、「Chat」(対話)とあるように、話の流れを理解して(いるような)対応が可能になります。
例えば、
「猫ってどんな動物?」
「猫は哺乳類で、科学的には「フェリス・カトゥス」と分類されます。彼らは肉食動物で、特に小さな哺乳類や鳥を狩る能力がありますが、ペットとして飼われることが多いです。
猫の体は柔軟で、非常に敏捷です。彼らは優れた夜間視力と鋭い聴覚を持ち、独特のヒゲを使って狭い空間を感知することができます。猫はまた、縄張り意識が強く、マーキングや鳴き声によって他の猫とコミュニケーションを取ります。
社会性は個体によって異なり、一部の猫は非常に友好的で人懐っこい一方で、他の猫はより独立しており人間との接触を控えめにします。猫はまた、清潔を保つために自分の体を舐める習慣があり、このグルーミング行動は彼らの健康を維持するのにも役立ちます。
猫は世界中で愛されているペットであり、彼らの魅力的な振る舞い、独立した性格、そして愛くるしい外見が多くの人々に喜びを提供しています。」
「小さい子供に説明するには難しすぎるよー」
「猫はとてもかわいい動物で、柔らかい毛とシャープなヒゲがあります。猫はよくじゃれて遊ぶのが好きで、体をクネクネと動かしてネズミや小さなおもちゃを捕まえるのが上手です。夜になると、目がピカピカと光って、とてもよく見えるんだよ。
猫は自分の体をきれいに保つために、舌で毛をなめることがよくあります。猫は一人で遊ぶことも好きだけど、人間と一緒にいるのも好きな子がたくさんいるよ。とっても甘えん坊で、撫でてもらうとゴロゴロと喉を鳴らすのが聞こえることもあるよ。」
「犬とどうちがうの?」
「子供に犬と猫の違いを説明するなら、こんな風に話すとわかりやすいかもしれませんね!
「猫と犬は友達になれる動物だけど、ちょっと違うところがあるんだよ。猫は一人でいるのが好きで、静かに過ごすことが多いよ。でも、犬はもっと活発で、人と一緒に遊んだり、外で散歩したりするのが大好きだよ。猫は自分で体をきれいにするけど、犬は人がブラシで毛をとかしてあげないといけないんだ。
そして、猫は小さい声で「ニャー」と鳴くけど、犬はもっと大きな声で「ワンワン」と鳴くね。猫は高いところが好きで、よくジャンプして棚の上に登ったりするけど、犬はそんなに高くは跳べないよ。それに、猫はヒゲが長くて感じがいいけど、犬はヒゲが短いんだ。
だから、猫も犬もそれぞれ違うけど、どちらもとてもかわいくて、人にたくさんの幸せをくれる特別な動物なんだよ。」」
このように、最初に「猫」について質問したのを、ずっと引き継いでいます。
なので、最初に「馬」について質問して、そのあと、同じ質問をしたら、最後は、馬と犬の違いを説明します。
ChatGPTの競合が、次から次へと出てきている!
1年前(2023年2月ごろ)に、世界中でChatGPTが注目され、会話できるAIが出てきたってすごいとかになってきました。しかも、それが、誰でも使える状態ですからね!!
開発したのはOpenAIですが、当然、他社も負けてられないので、さまざまな生成AIが雨後の筍のように誕生しています。
マイクロソフトのCpilot(コパイロット)、GoogleのGemini(ジェミニ)、MetaのLlama(ラマ)、そして、ベンチャー企業Anthropic(アンスロピック)のClaude(クロード)もChatGPTを上回る性能といわれています。
これ以外にも、中国でも生成AIのサービスはありますし、アマゾンも当然ながら取り組んでいて、AWSのサービスなどに組み込まれています。もちろん、イーロン・マスクも開発していますし、LINEでもサービスが始まっています。
それ以外にも、異業種からも、ベンチャーからも、そして産学官のプロジェクトなどなど、本当に数えきれないほど出てきています。
IT関連のニュースでも、ChatGPTと同等とか、性能が上回るとか、毎日のように報道されています。
そうなってくると、どれを使えばいいのか、悩みませんか?w
「いろんなAIがあるんですけど、どれが、仕事で使かうのに一番いいですか?」
でました!! これ! この質問をされると、本当に答えに困りますw
(ようやく、本題に戻りましたw)
いや、わかりますよ。そういう質問したい心境。
ニュースやSNSを見れば、新しいAIサービスが次から次へと出てきていて、「一体、どれを使えばいいんだよー!」ってなりますよねw
「どれが一番いいのか?」って、ほんと難しい。だって、AI技術って日進月歩どころか、秒進分歩ぐらいのスピードで変化しています。
コンピュータの性能も上がっていて、さらに、AIの技術も進化しているから、相乗効果で爆速で変化しています。
今日はできなくても、明日には、当たり前のようにできるようになってることもあります。
ChatGPTだって、去年の今頃は、まだテキスト生成だけしかできておらず、今の無料版レベルのことしかできていませんでした。
それが、画像も描けるし(というか、別のサービスだったのが統合されました)、画像やPDFファイルも読み込めるし、プログラムを作って内部で動作させることもできます(素数の計算とかやってくれます)。さらに、GPTsでカスタマイズまでできるようになっています。
たった1年で、これだけ変化するので、「今なら、これがいい」って言えても、それを聞いた参加者が、登録しようとしたころには、もう別のAIの方が進んでいる可能性があります。
ましてや、その参加者が、使い方に慣れてきて、プロンプトなどを覚えたころには、ぜんぜん違う使い方や、聞いたこともないベンチャー企業のサービスが主流になっていることだってありえます。
「あの講師、嘘つきやがって! 専門家とかいいながら、何も知らないじゃないか!」
とか思われてもねぇ・・・(^^;
これって、スマホとかと似てますよね。
「どのスマホがいい?」とかきかれても、答えようがないです。今なら、これがいい!といえるかもしれないけど、半年先、1年先、ましてや2年先とかなんて、まったくわからない。
新しい機能やサービスが組み合わさっていくし、今の世界情勢からしても、いつどこで部品が調達できないとか、サービスが停止するとか起きる可能性があるのです。
じゃあ、どうすりゃいいのよ!
ですよねー(^^;
私のような専門家は、「好きにしてください」ともいえないので、私なりの答えはあります。
「まずは、ChatGPTの有料版を使いこなしてください」
これが、私の回答。
「え? でも、ChatGPTを上回るAIとかあるんでしょ?」
はいはい、そうですね。ChatGPTを抜いたとかいうAIも出てきてます。
しかし、そういうニュース記事を、よーーーーーーーーく見てください。
「ChatGPTと同等の・・・・」
「ChatGPTを抜いた・・・」
気が付きましたよね? ChatGPTが「生成AIの基準」になっているのです。
まずは、その「基準」を知らなければ、それを上回るAIがあったとしても使いこなせません。
ビジネスで、マイクロソフトのワードやエクセルを知っているからこそ、Googleのスプレッドシートとか、MacのPagesとか使えるのです。また、ビジネスでは、「ワードで送ってください」というので会話が成り立つのです。
同じように、これから数年は、まだまだChatGPTが「基準」。だって、人間側の学習能力は加速できないので、数年はChatGPTと大きくかけ離れた使い方ができるAIは出てこないでしょう。
そういうことを言うと、
「考えただけで使えるようなAIが出てきたら、変わるでしょ? すでに、イーロン・マスクが、脳にチップを入れて臨床試験してるし・・・」
さすが、よくご存じで!
でもですねー・・・ あなたは、脳にチップを埋め込む手術、受けますか?
日本では手術を受けられないので(認可がおりていない)、アメリカ行って、いろんな手続きをして、めちゃくちゃ高額な手術を受けますか?
やらないですよねw
中には、そういうのをやる人が出てくるでしょうが、手や腕にマイクロチップを埋め込むよりも、はるかに少ない人数です。
なので、「普及する」とはいいがたい。
まだまだ、ChatGPTが基準になるのです。
まずは、ChatGPTに慣れること、「Chat」(会話)をやってみることがとても大事。それが分かってくれば、他のAIが出てきたときに、何が違うのか、どこが優れているのかがわかってきます。
またまた、余談w メタバースでは、仮想空間セカンドライフが「基準」
ChatGPTが基準になっていく話は、妄想でもなんでもなくて、メタバースでも同じようなことがあったからなのです。
2006年から2008年ごろに、メタバース(というか、当時はバーチャル・ワールドとか、仮想空間とか言ってました)が世界的に盛り上がり、その火付け役になったのが、リンデンラボが提供していた仮想空間セカンドライフというサービスでした。
当時、現在の生成AIのように、メタバースのサービスが次から次へと登場していました。大手のIT企業、ベンチャー企業、異業種からの参入と、ほんと似ていますw
そして、新しいメタバースが出てくるたびに、「セカンドライフと違う点は・・・」、「弊社のサービスでは、セカンドライフではできなかった・・・・」みたいな説明ばかりでした。
仮想空間セカンドライフが、基準になっていたのですね。
そして、ブームが去り、次々に当時のメタバースはサービス終了を迎えるのですが、基準となったセカンドライフは、今も続いています。やっぱ「基準」は強い!w
そういうことで、ひょっとしたら、今の生成AIブームも、5年もすれば、ChatGPTが基準になって、それをベースにしたサービス、あるいは、準拠したAIばかりになってるかもしれません。
そういう意味でも、今は、ChatGPTを使うことは、必須だと思うのです。
今年、来年で、企業にChatGPTを使える社員を育てておかないと、売上を維持するどころか、経営を継続させることすら難しくなっていくかもね・・・
AIを使える社員を育成していきましょう!
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