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NFTを使って坂本龍一氏が戦メリを595音に分けたのは『発明』!?

「だれにでもわかるNFTの解説書」の著者、足立明穂です。毎日、NFTに関連したプレスリリースがドカスカでてきて、いろいろなアイデアが生まれているのが面白いなぁ!って思ってます。

そんな中、あの坂本龍一氏が映画『戦場のメリークリスマス』で世界的にも有名になった曲を音符1つ1つに分割して、それぞれの音をNFTとして販売しました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003426.000000136.html

このニュースを見た時に、「おぉ!! さすが坂本教授!! やるなぁ!!」って感激しましたよ!! って、何を言ってるのか分からないですよねw

日テレ系情報「スッキリ!」から急遽リモート取材があって、「今回の坂本龍一さんのNFT販売についてコメントください!」と言われました。1時間ほど話をしたのですが、番組中では写真とテキストで16秒w 動いている私は放送されませんでしたwww

それじゃ伝わらないよなぁってことで、こちらにまとめておきます。

「音」を買う? どういうこと?

まず、NFTって何?って話は、私の本を読んでくださいw これを説明してたら長くなっちゃうので、デジタルデータが唯一のものであるという証明であり、誰が所有しているのか証明できるものだと思っておいてください(デジタルの証明書、鑑定書みたいなものです)。

では、坂本龍一氏が曲を595音に分割して販売したというのは、その音の「所有権」を販売しているのであって、著作権ではありません。ここ、重要なのでもう一度書きますが、著作権を販売しているのではありません!!

その音を所有してるだけなので、持っているからといって他の人に聞かせないとか、テレビで放送されたら料金払え!というような権利はありません。

そもそも、今回販売されたNFTマーケットプレイスのAdamには、それぞれの音が置いてあり、誰でも聴くことができます。

だれでも聴ける音なのですが、「坂本龍一さん本人が認めた音、売り出した音で、世界で1つしかない音を自分は持っている!」という満足感は半端ない!

特に、坂本龍一さんのファンであれば、そのファンの仲間内で、戦メリの曲が流れる度に、「あぁ・・ この音、俺のだよなぁ・・・」って、坂本龍一さんと繋がっているような感情が沸き上がるので、その高揚感はたまらないと思いますよ。

さらに、音を買った人の中には、「どうせなら、この1小節のすべての音を手に入れたい!」とか、「最初の1音は、なんとしてでも手に入れたい!」とか思うようになります。

コレクターの「コンプリートしたい!」って欲求が掻き立てられるのです!w

音を分割してNFT販売するのは「発明」!!

音楽をNFTとして販売するというのは、これまでも行われています。

https://newscast.jp/news/0760727

販売開始から51分で完売! ヘビーメタルバンド「LOUDNESS」の第2弾公式NF
T、大好評につきSOLD OUT!


https://news.yahoo.co.jp/articles/f94aebe7acc4614cf24d50286001829ecf35a178


NFT音楽を専門に扱う会社も出てきているような状態です。

https://www.value-press.com/pressrelease/267760


ただ、これらは1曲すべてを提供していてCDやストリーミングで聞くことができる音楽と何ら違いはありません。

それだとなかなか価値が伝わりにくいので、サイン入りのCDとかコンサートのチケットなどを特典としてつけて販売していることが多いです。

音楽なんだから、「1曲」全体を提供するのが当たり前という常識をぶち破って、「1音」を提供するという坂本龍一氏のアイデアは、もう「発明」!

最近、スポーツの分野で選手のスーパー・プレイの動画をNFTトーレディング・カードどして販売する動きが活発になってきていますが、これもよくよく考えたら、「1試合」全体の動画を提供するのではなく、「1動作」を提供するというのがトレーディング・カードです。

確かに、野球選手がホームランを打ったシーンや、バスケ選手がダンクを決めたシーンはカッコいいですが、その試合を見たファンにとっては試合の流れやその1本で流れが変わったことなどを思い出して熱い想いが蘇ってくるのです。

これと同じように、今回の坂本龍一氏の「1音」は音楽のトレーディングカードを作ったのと同じだと思います。先にも書きましたが、ファンにとっては、戦メリが流れてくるたびに、その「音」を聴くたびに坂本龍一氏との関係性や特別感を思い起こして感動するのです。

ここが、音楽の新しい鑑賞方法であり、発明だと思います。

とは言っても・・・・

はい、その通り!(え?)

とは言っても、「ポン」とか「ポロローン」という音に何万円も出すなんて、意味わからないって思いますよね?w

それは、それで正しいです。

勘違いしている人がいるので敢えて説明しておきますが、NFTを大量生産されるコモディティ商品に応用する意味はありません。例えば、歯ブラシだとか、トイレットペーパーなど、日用品をNFTに販売する意味はないのです。

これらの商品は同じものが大量に作られて、誰もが使っている、持っているもの。希少価値とは違います。

NFTは唯一無二という希少価値を付けるものであって、量産されるものには適さないのです。一つひとつが違うとか、個性があるとか、一つしかないというところを証明するための、希少性を際立たせるためのNFTであることはしっかりと認識してください。

この希少性というのは、面白いことに「人によって価値が異なる」という点にあります。

まさに、オークションがその典型で、美術作品のオークションで何億円で落札されたというニュースがありますが、それは1点しかないものであり、それを『欲しい』というファンやコレクターが競うことで高値になります。

しかし、その美術品に関心のない人にとっては、「1億円で落札された油絵だけど、破格の1000万円で譲るよ!」と言われたところで買わないですよね?w

NFTアートや今回のようなNFT音楽(音?)が販売されて高額になるのを理解できないって言っている人は、それはそれで正しい感覚です。

NFTの本質を理解する

あなたにとっては1円の価値もないかもしれないけれど、欲しい人にとっては競ってお金を出して手に入れたいものなんだということを理解しないと、なかなかNFTの本質が理解できないのではないかなって思いますよ。

その本質を理解できれば、さまざまなビジネスに応用できるし、これまでどうやって価値を提供すればいいかわからなかったものに値段をつけることができるようになります。

ぜひ、本質を理解してくださいね!!


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