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ブルワー修行 2

身辺に色々ありすぎて随分と間が空いてしまった。どこまで書いたっけ?あ、全然始まってないじゃないか。困ったな。とりあえず3年前のことを思い出して書いてみる。

甲府のOUTSIDER BREWERYは日本のクラフトビール界でもかなりの知名度を持つ丹羽智さん(通称トシさん)がヘッドブルワーを務めるブルワリー。この当時は女性ブルワーの桃ちゃんと二人で醸造しながら、僕のような研修生を受け入れていた。ビール醸造の教育機関のない日本では貴重な存在だ。ちょうど師匠の記事が ALWAYS LOVE BEER に出ていたのでリンクを貼っておく。興味のある方は是非。
https://www.alwayslovebeer.com/brewers-life-outsiderbrewing-2018-01/

朝は通常7時、仕込みのある日は6時半に始まって昼の休憩を挟み、だいたい4時くらいには作業が終わる。丹羽さんはその後書類仕事等を行っていたようだけれど、何しろ丹羽さんはブルワリーの3階に住んでいたのでいつからいつまで働いていたのかはよくわからない。どちらにせよ、今までの広告業界とは全く違う時間帯での仕事になる。僕はどちらかというと朝型なので早起きは苦にならないのだが、夕方早くに仕事が終わる感覚に全く慣れず困った。まだ明るいのに帰るの?って。つくづく因果な性格である。

ブルワリーの仕事は大雑把に言うとこんな流れだ。

・モルトの破砕 ......原料のモルトをちょうどいい粗さにミルで挽く
・ビールの仕込み......モルトから麦汁を絞り出して煮沸し、ホップ等を加えてビールの元になる液を作り、酵母を投入する
・発酵管理   ......発酵タンク内で発酵させてビールを作る
・ビールの移送 ......発酵タンクから貯酒タンクに移動し、熟成する
・樽詰め    ......貯酒タンクから樽(瓶、缶など)にビールを詰める
・出荷     ......樽(瓶、缶など)を出荷する

その合間にはタンクの洗浄、樽の洗浄、仕込み装置の洗浄などの工程が付いて回るのでまぁ毎日何かを洗浄している感じになる。また税務署に提出する書類が多岐にわたり、これも毎日の仕事になる。

丹羽さんからはブルワーとして大切なことをたくさん教わったが、まず最初に言われたのが洗浄の大切さだった。ビール醸造の大敵はコンタミネーション(雑菌汚染)と酸化。それを避けるために徹底した洗浄と機器の取り扱いの手順を何度も繰り返し習う。またサニタリー配管の扱いやボイラーの調整、樽洗浄機の扱いや樽の分解洗浄など1日があっという間に過ぎていった。

夕方、スーパーや近くの無人販売所で食材を買い、アパートに戻ってその日の復習をし、ノートにまとめる。並行してCARVAANのロゴなどのデザイン開発や、醸造装置の購入などを行い、簡単な夕食を済ませて11時くらいには寝てしまう。そんな健康的な暮らしが始まった。



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