Kenji Ito

ブルワー/アートディレクター 埼玉県飯能市に戻りました。今後の活動はまだ未定ですが毎日…

Kenji Ito

ブルワー/アートディレクター 埼玉県飯能市に戻りました。今後の活動はまだ未定ですが毎日1時間と決めて公開しない文章を書いています。リハビリみたいな感じです。

マガジン

最近の記事

現代詩と思考

 写真の本はガメ・オベールことジェームス・フィッツロイ氏のブログからの書籍化で『ガメ・オベールの日本語練習帳』。プロフィールによれば英国生まれで幼少のころ日本に滞在し、長じて再び来日、主に義理の叔父から日本語や日本文化を学び、日本語の練習にと叔父のゲーム会社のHPにブログを書き始める。現在はNZで暮らす。投資家。  そんな経歴と、Twitterによるとおそらくまだ30代後半という年齢から考えて、この書籍の空恐ろしくなるほどの知識量と洞察力、そして文章力に圧倒された。  い

    • 「好きを仕事にする」について

       2年ほど前のことだが、りこぴんさんという人のnote「好きを仕事にって言うけど結局どういうことなのか」を読んだ。  「好きなことを仕事にする」については賛否両論ある。「やってみないと何が好きかなんてわからない」という意見もあるし、「嫌だと思っていたのがやってるうちに好きになった」ということも結構あるだろう。そもそも「好きに職を選べる状況じゃない」場合だって多い。とはいえ現在ほど様々な職を選べる社会というのは歴史上あまりなかったとも思う。自分自身は比較的恵まれた時代でもあり

      • 書くことと読むこと

        本をある程度読んでいるとセレンディピティというのか、偶然の出会いみたいなことは結構ある。 だから昨日久しぶりにnoteに記事を書いて「本が読めない」だの「そんなときはまず書いてみる」だの「呼吸と一緒でまず吐く」だのと書いてみて、その後でいつか読もうと思って先延ばしにしていたこの本を開くと第一章にそのままのことが書いてあったのだが、けっして驚かない。そういうものだから。欲しいときに欲しいことが書いてある本に出会うものなのだ。 ところで「それにしても最近本が読めなくなったなぁ

        • noteを再開します。

          べつにわざわざ宣言しなくてもいいんだけど、弾みをつけるために書いています。久しぶりに自分のページを開いてみると2019年の11月で途切れている。なぜ続かなくなったのかは全く思い出せないけれど、時期的には新型コロナのパンデミックと一致しているなぁ。 この間、FacebookとTwitterはなんとなく続けているけれど、書いたりツイートする頻度はずいぶん減った。ただ惰性で続けているだけだ。 原因はいろいろあるが、やはり新型コロナによる環境の変化が大きいのだと思う。仕事は幸いに

        現代詩と思考

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        • 2本

        記事

          今更ながら「サピエンス全史」を読み始めました。

           上巻の半分ほどを読んだのですが、評判通り面白い。人類が狩猟採集社会から農耕社会に驚くほどの短期間で移行した事実についてハラリは「小麦が人間を家畜化した」と看破する。これは衝撃的だった。「野蛮で不安定な狩猟採集社会」に対して「より洗練され、安全で安定した生活が可能になった農耕社会」が受け入れられたのは当然だというのがこれまでの定説だったが、実は農耕社会になっても平均寿命が伸びたわけではなく、餓死するケースも却って増えたという。不作の年にそなえて余剰生産と備蓄が必要になり、その

          今更ながら「サピエンス全史」を読み始めました。

          佐賀県に住んでます

           16年住んだ世田谷区から埼玉県の飯能市に移住して3年。今度はついに九州は佐賀県佐賀市に移住することになった。どうしても地方移住がしたかったわけではなくて、たまたまブルワーとしてビールがつくれる場所がそこであったというだけで、自分で場所を選んだわけではない。佐賀には一度2日間行ってみただけで、アパートも見もしないでWebの情報だけで決めた。自分でもかなり行き当たりばったりだったと思うけど、なんだかそんな気分だった。新しい事を始めてみたかったから、知らない場所に行くのも悪くない

          佐賀県に住んでます

          佐賀で出会う

           昨日、Tさんというカメラマンを訪ねた。広告の仕事をしていた頃にクルマの撮影をお願いしたカメラマンのFさんが、かつて彼のアシスタントをしていてその後郷里の佐賀に戻って仕事をしているTさんを紹介してくださったのだ。仕事を終えて作業着のままでTさんの仕事場を兼ねたご自宅を訪問した。今後ブルワリーを建設しビールを醸造していく過程や完成品の撮影をお願いしたいのと、単純に佐賀で色々な人と出会いたかったからだ。  僕は元来さほど社交的な人間だとは思わないのだけれど、この歳になるといつま

          佐賀で出会う

          農への興味

          6~7年前だろうか。なんとなく地方移住を意識するようになってから色々な本を読んだ。地方移住、農業、狩猟など。漁業はあまりに馴染みがなく遠い世界なので除外した。船酔いするし。僕は子供の頃から何かを始めるときはまず本を読んで調べる傾向がある。小学校2年生の時にアルフレッド・ノーベルの伝記を読んでダイナマイトの作り方を小冊子にまとめた時は流石に親は心配したようだがその時は別にテロリストになろうと思ったわけではない。単なる知的好奇心だ。 農業と狩猟については強い興味がある。やはり自

          農への興味

          ブルワー修行 2

          身辺に色々ありすぎて随分と間が空いてしまった。どこまで書いたっけ?あ、全然始まってないじゃないか。困ったな。とりあえず3年前のことを思い出して書いてみる。 甲府のOUTSIDER BREWERYは日本のクラフトビール界でもかなりの知名度を持つ丹羽智さん(通称トシさん)がヘッドブルワーを務めるブルワリー。この当時は女性ブルワーの桃ちゃんと二人で醸造しながら、僕のような研修生を受け入れていた。ビール醸造の教育機関のない日本では貴重な存在だ。ちょうど師匠の記事が ALWAYS L

          ブルワー修行 2

          ブルワー修行 1

          僕のブルワーとしての−公式な−修行は(公式な、というのはまぁ分かる人には分かるやつです)山梨県甲府市のアウトサイダーブルーイングで始まった。日本でブルワリーを開業するにはビール醸造の経験があることを証明する書類を提出する必要があるのだが、この国は自家醸造は禁止されているし、ビール醸造を学ぶ教育機関もないので、どこかのブルワーで働いてビール醸造を覚えるしかないのが現状だ。クラフトビールの市場はブームといっても日本のビールのシェアのほんの2パーセント未満なのだから、受け入れてくれ

          ブルワー修行 1

          外国っぽいデザインって

          先日、僕が所属するCARVAAN BREWERYがはじめてさいたま新都心で行われる国内有数のビアフェス「けやきひろば春のビールまつり」に出店した。看板を自作し、6連のタップを組んで重い古材と真鍮のレリーフで装飾をし、独自のアラビアンな雰囲気を醸し出すしつらえ。デザインはすべて僕が担当するので当然他のブルワリーの追随を許さないかっこよさ。のはずだった。販売に立ってみるとお客様が口々に「これ、どこのビールですか?」と尋ねる。無理もない。CARVAANのロゴにはベドウィンの族長の横

          外国っぽいデザインって

          ネガとポジ

          決してnoteのせいではないのだけれども、noteに何か書こうとするとちょっと構えてしまう。もちろん全部がそうという訳ではないのだけれど、自分が好きな記事を書く人はみんなすごく素敵で、文章も上手くて、面白くて、品もある。そして何より読んで深く共感したり、人生に役立つような気がしたり、自分にはない体験をしていたりするからつい、何かいい事を書かないといけないような意識が生まれてしまう。で、「やっぱりたいした事書けないなぁ」とキーボードを打つ手が止まってしまう。ちなみにブラインドタ

          ネガとポジ

          デザインとビール

          ...というテーマについてここのところ何も書いてなかった。反省している。 なんというかちょっと今どちらも停滞していてあまりポジティブなことが書けそうにないのだ。SNSではネガティブなことは書かない方がいいというのが定説だ。書かないぞ。 ...しかし人間誰でも愚痴をこぼしたり辛いことを吐き出したりすることはあるし、それって必要なことなんじゃないか、とも思う。 匿名でTwitterでひたすら愚痴をこぼす、というのもなんだかせつないしな。どうしよう。 Facebookで繋がっ

          デザインとビール

          ショウメイ

          noteではデザインとビールについて書こうと思っていたのだが、関係のないことばかり書いている気がする。 今の職場での僕の肩書きは「ブランディングディレクター/ブルワー」となっている。ディレクターといっても部下がいるわけではないので全部やる。チラシの文言の文字詰めまでやる。余談だが昨年のブルワーズカップで出会ったボランティアスタッフの女の子が〜その子はお父さんがフォントデザイナーで本人も美大でグラフィックデザインを学んだそうだが〜ウチのチラシをブルワーの僕が自分で作っていると

          ショウメイ

          扉を直すということ

          今日、扉を直した。というのはなにかのメタファーではなく、文字通りレストランのドアを修繕したというそのまんまの意味だ。僕が働いているブルワリーのレストランは10mの吹き抜けがある大空間で、ドアが大きく重いうえに気圧の関係もあってドアクローザーがすぐに傷んでしまうのだ。閉まるときの音がうるさいので調整しようとしたら取り付けネジが脱落していてかろうじて止まっているという危なっかしい状態だった。さっそくネジを取り寄せて修理したのだけれど、修理しながら考えた。僕が気づいていたドアの音に

          扉を直すということ

          FACT FULNESS 〜10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣〜

          ベストセラーに飛びついて書評のようなものを書くのは気恥ずかしいし難しいのだけれども、この本にはかなり感銘を受けたので少し長くなりそうだけど書いてみる。この本が世界を変えるかどうかは知らないけれど、あくまで僕という個人の中での変化の話だ。 僕に関して言えば、2011年3月11日以降、Twitterに代表されるSNSとの付き合い方がすっかり変わってしまった。それ以前はどんな使い方をしていたかすら思い出せないが、たぶんのんびりしたものだったと思う。糸井重里氏の飼い犬のエピソードと

          FACT FULNESS 〜10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣〜