名賀月晃嗣

何に使ふべきか模索中(模索してゐるとは言つてない) アイコンはPicrewの「YSD…

名賀月晃嗣

何に使ふべきか模索中(模索してゐるとは言つてない) アイコンはPicrewの「YSDメーカー」で作成。https://picrew.me/share?cd=TS0RUxcxsH #Picrew #YSDメーカー

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    過去にどこかで發表した文章の再利用。

最近の記事

闘牛

 我は闘牛である。肉にされて了ふやうな奴等とは育ちが違ふ。立派に闘ふことが出来るやうに、猛々しくなるやうに飼育されてきた。其の成果あつて、我が体躯は他に引けを取らない。四肢に力を込め、角で一突きすれば、平気な者はゐないだらう。其所までせずとも、後脚で蹴りつければ、ひ弱な生き物どもは一溜りもないに決つてゐる。  我は闘牛である。闘ふために生きてきた。其の我に勝てる者など、さうさうゐるまい。  其の我は、今、人間どもが衆を成して観てゐる前に連れ出された。眼前には、布をひらひらと

    • 取り留めのない烏賊の話

       烏賊の近縁に蛸といふ生き物がゐる。烏賊は十足で蛸は八足で、頭の形が違つて見える、といふのが人間から見たときの違ひである。當の烏賊や蛸がどう思つてゐるのかは分らない。  蛸焼きが丸い形をした食べ物であることは日本中で知られるやうになつてゐると思つてゐるが、烏賊焼きについての認識はどうなのだらう。上方で烏賊焼きといへば、クレープみたく薄い生地の中に烏賊の切つたのが入つてゐる食べ物で、所謂粉物の一つである。烏賊だけ焼いたものは姿焼きとか呼ばなければならない。ただ、余所に行くとこの

      • 正かなづかひで入力する手引 ATOK篇

        2011年に、同人誌に向けて書いたものだが、as is でどうぞ。 http://www.hiemalis.org/~acy/kokugo/seikana-atok.pdf (初出: 『正かなづかひ 理論と實踐』創刊號、編: 押井德馬、監修: 野嵜健秀、平成23年11月)

        • 吾輩ハ猫ヲ好ク

           我家にはペットといふものがゐた例が殆どない。犬猫は皆無で、祭の屋台で掬つた金魚が何年か水槽の中で泳いでゐたとか、かぶと蟲だのくはがた蟲だのが観察箱の中で這ひ廻つてゐたくらゐである。  猫がゐたのは祖父の家で、物心ついた頃から、祖母がいよいよ老いて猫どころではなくなる頃まで、ずつと飼うてゐた。ペット屋で買うて来たといふ話は聞かない。どこかで貰つてきたとか、従弟が野良を餌付けしたのを引き取つたとか、さういふ加減の猫ばかりである。  祖父の家に行つても、大概の場合猫が家の中にゐた

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