取り留めのない烏賊の話
烏賊の近縁に蛸といふ生き物がゐる。烏賊は十足で蛸は八足で、頭の形が違つて見える、といふのが人間から見たときの違ひである。當の烏賊や蛸がどう思つてゐるのかは分らない。
蛸焼きが丸い形をした食べ物であることは日本中で知られるやうになつてゐると思つてゐるが、烏賊焼きについての認識はどうなのだらう。上方で烏賊焼きといへば、クレープみたく薄い生地の中に烏賊の切つたのが入つてゐる食べ物で、所謂粉物の一つである。烏賊だけ焼いたものは姿焼きとか呼ばなければならない。ただ、余所に行くとこの