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【声劇】陰(いん)な恋愛(キュン)(3人用)

利用規約:https://note.com/actors_off/n/n759c2c3b1f08
♂:♀:男女不問=1:1:1
約15分~30分
上演の際は作者名とリンクの記載をお願いします。

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シャイなキャラってよく出てくるよね?
それが恋愛ものになると、なんで積極的になるんだろ?
陰キャのリアル(?)の恋愛を元に書いたシナリオです。
それじゃあ台詞が無くなるので「悩み騒談」の「カオル」が大活躍します。
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【配役表】
カオル :男女不問。男性推奨。 とにかくノリと勢いだけで生きている。 だから友達はほぼいない。
シオリ :シャイな女子高生。 好きな子がいるけど、そりゃあ勇気はないよ。 たぶんキレたら恐い(?)
ユウキ :シャイな男子学生。 好きな子がいるけど、勇気はない。********************************************

カオル:「良いから良いから♪ もう呼び出して、待たせてるんだから、ほらほらほらほらっユウキも早く! 走れ!! ダッシュ!! ウォーキン!!!」

ユウキ:「い、いや……で、ででも僕、何も喋れないし……む、無理だって……」

カオル:「大丈夫大丈夫、大腸部分だって♪
このカオル様に任せときゃあ、どんな難事件も万事解決の迷宮入り♪ (扉を開ける) うぃ〜っす!!」

シオリ:「あっ……」

カオル:「おっ待たせぇ♪
ユウキがなかなか見付からなくて、天岩戸(あまのいわと)の中を覗いたら、ミラーボール片手にフラダンスをダンシングピーポーしてたから『何やってんだ!!』って左の頬を思いっきりぶん殴って連れて来たっ──てのは冗談だから、そんな怯えた目で見ないでくれ!!」

シオリ:「え? う、うん……」

カオル:「ほらユウキ!! シオリに伝える事があるだろ!! 俺もある!!
ノートを貸してくれてありがとうな!! ノートの端っこに描いてあったタヌキに、ヒゲを描き足しておいた♪その謝罪は後々記者会見を開く予定にしてる。
って事で『放送部』に行く予定なんだけど、化学室の隣にあるコンビニを左折したら良いんだよな?」

シオリ:「コン、ビニ……?」

カオル:「違うよ!! 間違えただけだよ!! 化学準備室だよ!! 先生を『お、お母さん、なのか? 僕を産んですぐに僕を捨てて行った……僕の、僕のお母さんなのか? お、お母さぁぁぁん!!!』って呼んじゃう程度のお茶目なミスだから、そこはアレだよ! どれだよ!!」

シオリ:「あ……うん、ゴメン……」

カオル:「って事で!!! シオリの事が、好きで好きでたまらないって言うユウキを連れて来たから!!」

ユウキ:「えっ!?」

カオル:「ユウキ!! その密かな本人に言えない恋心を、思う存分伝えたら良いと俺は思う!!
今はまだシオリも、ユウキの気持ちに気付いていないフリをしてくれているから!! まだバレてないはずだから!! さっき俺、ポロッと言っちゃった気がするけど、大丈夫だ! シオリは俺より全然空気が読める子のはずだ!! なっ?」

シオリ:「え? あ……え?」

カオル:「──うん、無理みたいだけど大丈夫!! 俺が『大丈夫だ』って言ったら、何度も何度も何度も何度も『ホントにぃ??』って確認されるくらいに信頼度が薄いっていうか、全く無いけど、大丈夫!!! 勇気を出せ!!!
──違うっ!! 今のは『ユウキ』と『勇気』をかけた訳じゃない!! 事故だ!!! いつか絶対に言ってやろうと思っていたけど、今のこのタイミングじゃない!! ノーカウントで頼む!! 頼む……お願いだ……頼むよ……なぁ? どうか……どうか無かった事に……してくれよぉ〜……なぁ、ユウキィ〜……」

ユウキ:「う、うん……」

カオル:「それも含めて、放送部に行って謝罪してくるから、あとはお若いお二人で!!! (出て行く)」

ユウキ:「あっ……あぁ……」

シオリ:「……」

ユウキ:「えっと……その……」

シオリ:「う、うん……」

ユウキ:「……」

シオリ:「……」

カオル:「(扉が開く) はいっ思った通りで想像した通りの予想外!!」

ユウキ:「っ!?」

カオル:「絶対に総理はあの人になると思ってたし、大統領は絶対にあの人になると思っていたんだ!! これからの日本は明るいぜぇ!! どれくらい明るいかって、俺くらい明るい!! その分ウザい!!!
え? 入口で突っ立ったまんまで、これは何の順番待ち?」

ユウキ:「いや……」

カオル:「せっかく教室に2人っきりなんだから、隣に!! 隣に!! 座ってくれよぉ〜!! ただでさえ人口密度が俺以外の所は濃いんだ!! 俺の周りだけ常にドーナツ化現象!! ほらほらこっちのレディの横に──」

ユウキ:「ちょ、ちょっと……カオル君──」

カオル:「はいどぉ〜も! カオルって言いますぅ♪ お隣失礼しちゃって良いですか? って聞いちゃって良いですか? って言っちゃって良いですか? ってか感じで良いですか?」

シオリ:「は、い……」

カオル:「──あんらぁ〜!! シオリさんっておっしゃるんですねぇ!! どうも、俺っカオル☆
『仮を、返しに来たぜ』の『か!!』、『おぉ、返却ボックスはそこだから──って、期限切れてんじゃねぇか!! 延滞料、払ってもらわないと困るから、レジに持ってきて!!!』の『お!!』、『る──る……? る〜……る?』の『る!!』でカオルで、こっちは……」

ユウキ:「……」

カオル:「自己紹介ぃぃぃ!!!」

ユウキ:「え!? いや、同じ、クラスだし……」

カオル:「こういうのは『ふいいき』が必要だったり必要じゃなかったり──ん? 俺、今なんて言った?」

シオリ:「え……? あ……『雰囲気』?」

カオル:「ちっがぁぁう!!! 『放送部』に行くって言ったんだ!! 行かなくちゃいけないのは『放送室』なのに!!!
まったく! こんなところで、二人の為にロマンティックな『ふいいき』を作ってる場合じゃないんだ!!! 俺、実は忙しいフリをしてるだけなの!!! いい加減に分かってくれよ!! 友達だろ!!!!」

ユウキ:「……」

シオリ:「……」

カオル:「友、だち……
……
……うん、ツバサの所で、泣いてくる (部屋を出て行く)」

ユウキ:「あ……」

シオリ:「……友達、なんですか?」

ユウキ:「え? あ……ん〜……良く、分からないです……」

シオリ:「うん……私も……」

ユウキ:「……」

シオリ:「……」

ユウキ:「……」

シオリ:「……あの」

ユウキ:「──ひゃい!?」

シオリ:「……さっき、カオル君が、言ってた……その……」

ユウキ:「あ、あぁ……うん……」

シオリ:「『勇気』と『ユウキ』……私も、思ってた……」

ユウキ:「え……そっち?」

シオリ:「え?」

ユウキ:「あ、いや……あぁ〜……そうなんだ」

シオリ:「うん……」

ユウキ:「……」

シオリ:「……」

ユウキ:「ふふ……」

シオリ:「……?」

ユウキ:「あ、ごめん……なんか、その……」

シオリ:「うん……」

ユウキ:「ユウキの……勇気……面白い、ね?」

シオリ:「え? あ……うん……

ユウキ:「……」

シオリ:「あの……」

ユウキ:「っ! ……な、なに?」

シオリ:「えっと……ユウキ、君……あの、私の事……その……」

ユウキ:「あ、あぁ〜……う、うん」

カオル:「ピンポンパンポポポォ〜!!
勝手に放送室を使ったら怒られるから、三組のカオルは『三組のユウキ』という偽名を使って放送しようと思っています!!!
トゥキ♡
ピンポンパパパパァァン!!!」

ユウキ:「あ……え?」

シオリ:「あ、あぁ〜……えっと……」

ユウキ:「あ〜……う、うん……そういう事、なんです」

シオリ:「うん……ありが、とう」

ユウキ:「っ……どう、いたし、まして……」

シオリ:「……」

ユウキ:「……」

シオリ:「……ふふ……」

ユウキ:「……?」

シオリ:「ん〜ん……その、私も──」

カオル:「ピピピピンポン──パン!!!
アチシ、カオルが扮(ふん)したシオリよん♡ 三組のシオリなのよん♡
アチシも──アチシも!
アチシもぉぉぉ!!!
トゥキ♡
あぁぁぁあ!!! スカートの腹回りキッツイ!!! スースーする!!! 声しか送り届けて無いのに『なんでわざわざ女子の制服に着替えているのか』っていう質問は、三組の担任に、ドシドシご応募してくれたら、後で俺が怒られるから、やめてくれたらすっごく助かる!!! あまり接点の無い一組の担任にしてくれ!!!
ってか、ヒラヒラした布だけなのに、スカートって高いのな!!! なんで男子のズボンより高ぇ〜の!!! バイト代がすっ飛んじまった!!! 昨日の強風で全額!!! 毎日毎週毎月毎年親の肩もみ頑張ったのに!!!
──あっパンツな!!! ズボンって言うと『歳、誤魔化してる?』って親から言われたから『パンツ』の方を採用!!! でも、パンツの下のパンツもくい込んで──キッツ!!! グイッてなってキッツい!!! あ、パンティな!!! パンツっていうと──(ブツッ)」

シオリ:「あ……」

ユウキ:「……捕まった?」

シオリ:「……みたい、だね?」

ユウキ:「あぁ……」

シオリ:「……」

ユウキ:「……」

シオリ:「……」

ユウキ:「……私も?」

シオリ:「え?」

ユウキ:「あ、いや……さっき『私も』って、言ってたから……」

シオリ:「あ、あぁ……うん……言った」

ユウキ:「……うん」

シオリ:「カオル君に……言われちゃった、から……その……うん」

ユウキ:「あ……あぁ……僕も、だ」

シオリ:「……ふふっ」

ユウキ:「ははっ……」

カオル:「はぁ〜っはっはっはっ!!!!
教師共よっ!! 俺を捕まえてみろ!!! 嘘、ごめんなさい! 捕まえないで下さい!!
さすがにこれ以上迷惑かけたら、親に『今日、おやすみのチュー抜き!!!』って怒られるから!! 元々無いけど!!!『おかえりなさいのハグも抜きよ!!!』って怒鳴られるから!! 元々無いけど!!!
あっ忘れてた!! ピンポンパンポッ!! ポッ!!!!
そしてノートの端っこに描いてあったタヌキって言ってごめんなさい!!! どう見てもウサギでした!!! 上手過ぎて嫉妬したから顎髭(あごひげ)を書き足しまし── (ブツ)」

シオリ:「あ……」

ユウキ:「……もう一回……あるかな?」

シオリ:「……どうだろ……分からない」

ユウキ:「……」

シオリ:「……」

ユウキ:「……」

シオリ:「あの……それで?」

ユウキ:「え? ……あ、うん……」

シオリ:「……」

ユウキ:「えっと……」

シオリ:「……終わり?」

ユウキ:「い、いや──ま、まだ……」

シオリ:「……うん」

ユウキ:「(深呼吸) あ、あのっ」

シオリ:「っ……うん……」

ユウキ:「(深呼吸) そ、そのっ」

シオリ:「……うん……」

ユウキ:「(深呼吸) だ、だからっ」

シオリ:「……うん」

ユウキ:「(深呼吸) そのっ!!」

カオル:「うん!!!」

シオリ:「──ひっ!?」

カオル:「(深呼吸) 俺を!! 匿(かくま)って下さい!!!」

ユウキ:「え……」

カオル:「俺は今、国に追われているんだ!! 追われる様な事をしたってのが理由なんだけど!! 追われる様な事しかしてないってのも原因で要因なんだけど!!!
だから逆に、追いかけたら、逆に追いかけられない!! ってあるじゃん? 逆に!!
逆に追えば追うほど相手が引くから、そこは逆に駆け引き的な──でもそれは結局『恋』の駆け引きであって、結局リアルで追われてたら、逆に追いかけても、駆け引きにならなくて『来い』って事になるんだよな!!! 『来いのかけ合い』なんつって!!!」

シオリ:「…… (扉を開ける)」

ユウキ:「……」

カオル:「ダメだ……今日の俺は絶不調!!!! キレが悪い!! なんでだろ!!! あっ分かった!! スカートのせいだ!! なんかスースーすると思った!! 思ってた!! あなたの事を想ってた!!! だから──だからなんだわぁ〜♡!!!
……はぁ〜。ツッコミが……欲しい。
今の俺は……無性にツバサを求めている。今ならツバサだけでご飯が二杯はいける。あと漬物と味噌汁。ステーキとハンバーグ。お寿司もあったら、痛風への道、一直線!! ビール片手に独走状態でゴールまで──」

シオリ:「先生!! カオル君は、ここにいます」

ユウキ:「っ!?」

カオル:「人生とは裏切りの連続だ!!! 俺だから言える!!! 俺が裏切られて来たからじゃない!! 昨日の夕食がパンの耳だったから!!!
(先生に引きずられる) さ、砂糖をまぶしただけじゃないぞ!!! バターとマーガリンをつけて食べた!! 結局、バターとマーガリンって、何が違うのか分からなかった!! だったら森のマーガリンって── (フェードアウト)」

シオリ:「(扉を閉める) ふぅ〜……」

ユウキ:「あ……おぉ……」

シオリ:「……えっと……うん……続けて?」

ユウキ:「あ……う、うん……
あの……もし良かったら……その……」

シオリ:「……うん」

ユウキ:「(深呼吸) つ……つ……っ」

シオリ:「……う、うん」

ユウキ:「ぼ、僕と……付き合っ── (扉が開く)」

カオル:「──『ふいいき』じゃなくて!! 『ふんいき』だったという事を!! さっき先生に教えて貰っ── (胸ぐらを掴まれる) うぐぇ!?」

シオリ:「……だまれ……塗り潰すぞ (圧)」

カオル:「ひゃ……ひゃい……」

ユウキ:「……て、くだ……さい (ガクブル)」

シオリ:「……うん♪」

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