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戦う役者100人展について

あけましておめでとうございます。

戦う役者100人展とは、私が所属している俳優クリエーターチームであるgekichap(げきちゃぷ)の7回目の写真展です。「役者100人展」のシリーズとしては昨年末12月で3年連続3回目の開催となりました。

コロナ禍で開催自体も危ぶまれた中、幸い濃厚接触が起こりにくい「写真展」というスタイル。展示は滞ることなく終えることができました。参加した役者たちは舞台を中心に活動している方も多く、軒並み公演中止となり、中には本業は一切無くアルバイトにだけ明け暮れて自分の無力さに途方に暮れる人も居たと思います。逆に食べることはできても、何もできなかったなんて人も居たでしょう。役者という仕事にとってこんなに辛い1年は無かったのではないでしょうか。

この企画が始まったのは2020年夏でした。私たちは次の役者100人展でステップアップを図るべく、とある会場を下見して方策を練っていたのですが、コロナのことを考えると最悪の事態になった場合や、最悪でなくとも開催だけはできる状態を確保したいという思いから、結果昨年までと同じギャラリールデコさんに甘えさせていただくことになりました。チケットレスでの統一、チケット代の値上げ、物販を全てネットショップにて、など考えうることを全てシミュレーションしてこの形態に落ち着きました。ルデコさんのご厚意もあり展示は3フロアに拡大、さまざまな制約がある中、それでも1000人以上の方にご来場いただきました。ご来場が叶わなくとも応援の声も頂きました。改めて感謝致します。

今回の役者100人展は例年では絶対できない2020年にしか出来ないことを表現しました。「戦う」というフレーズはメンバーの富田が帰り道にボソッと言った一言がきっかけでした。役者だけではなく、万人が戦った2020。中でも役者は様々な苦境に立たされ、今まで以上に戦った年だったように思います。不要不急のエンタメ、急な公演中止、トラブルの多いリモートドラマ、感染対策でやりにくい稽古場、関係者に感染が発覚し止まる撮影現場、消毒される撮影所。彼ら役者は下請けです。最も陽の当たる場所でありながら、最も弱い立場の職業でもあるのです。それでいて繊細な方も多いです。言葉を選ばずに言うなら、亡くなった役者さんのニュースを見るたびに「くらって」しまって精神的に不安定になった方も多かったようです。仕事が無くなっている状態に追い討ちをかけるように。

そんな中、よく戦ったしよく戦いきってくれた、そんな100人を展示したい。役者100人展はこの1年のご褒美と表現して下さった方も居ましたが、そんな展示になればいいと細部にまで拘りました。一つ一つのセクションを解説することは、しません。見た人が感じたことが全て、それが僕が思うアートなので、語りません。それは3日まで予約販売していたフォトブックにとじこめることにしています。

でもせっかくなので2つだけ。

キービジュアルと動画インタビューのことだけここに記録しておこうと思います。

◆キービジュアル

WEB_L_縦_戦う役者100人展メインビジュ

このビジュアルにはディレクション・デザインの今までの経験を詰め込んだつもりです。そして100人の想いが全部詰まっていますし、とても気に入っています。

ちなみに上記はWEB縦用、スマホ用で、ポスターの際は左上に(今年も多大なご協力を頂いた)FUJIFILMさまのロゴ、右下にコピーです。

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▶︎キャッチコピーについて

「役者として、生きる道。」というコピーには様々な意味を込めています。お客様にとって今回の展示が一人の役者として生きる道の追体験になる、擬似体験になるようなイメージ。そしてこの100人それぞれの生き方や生き様が垣間見えるような展示への決意でした。

▶︎デザインコンセプトと配置

見ての通り、この100人が「役者」という一つの「競技」に対して、同じ方向に向かっているよう配置しました。それぞれの歩き方、走り方、飛び方で進んでいる。どんな臨み方でも、それぞれの個性であること、そんな表現です。

配置順は一定のルールにしていて基本は左下から右上にかけて撮影担当者が同じ役者となるように配置しています。(一部法則崩しあり)

伊藤の知る限り最も尖っている谷口賢志先輩を1番上に、そして知る限り最もポリバレントな生き方をしている友人・富田麻帆を1番下に配置。妊婦の渡壁さんは目立ちそうなマホの右に配置。勢いよく飛んでる蓮井くんは最前線、ウォーリーは適当、などなど私情を入れながらポーズを見ながら伊藤なりにこうだ!と思う配置をしています。

gekichapメンバーはど真ん中を歩いています。最も群衆に紛れていて目立たなく、それでいて本企画の中心線である場所にしたかったのです。ちょうどgekichapメンバーは基本黒スーツ縛りだったので良い感じに目立ちません。役者100人展はgekichapが主催ではありますが、参加してくれた能動的な役者達にこそ目立ってほしいという想いも乗ってます。

なによりも道田里羽さんの題字が素晴らしいこと、役者それぞれが素晴らしいことをシンプルに伝えたいのでそれ以外の情報は極力カット。潔く白バックに落ち着きました。題字は何度も書いていただいた候補から、一度リクエストさせて頂き、また何度も書いていただきました。その中でもこの採用した題字は特に「100」という数字部分が気に入ってます。書は普通、漢数字で書くところなのですが、敢えて今まで通りの数字を書いて頂きました。この「1」の入れ方は非常に秀逸で、道田さんのセンスが爆発してます。「00」のカスレも最高です。「戦う」だけならまだしも「戦う役者100人展」という文字を成立させてしまうセンスには脱帽です。

また、役者写真のレタッチはクールな印象にしたくて青に寄せています。

▶︎100人目の役者

今回の役者100人展、実は100人居ません。gekichap9人が各10人のモデルを撮影しているので、メンバー合わせて99人なのです。残りの1人は芸能活動をお休み中のgekichapメンバー中塚です。彼女は今回撮影やモデルとして参加はしていませんが、メンバーとしてカウントしています。合わせてちょうど役者100人展となるのです。(蛇足ですが過去の100人展は100人をわりかし超えてます。キャスティングしすぎた)

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(上 ポスターデザイン・ 下 WEB横デザイン)

◆動画インタビュー
Q.1 あなたにとってプロの役者とは?
Q.2 あなたは今、何と戦っていますか?
Q.3 役者100人展とは何だと思いますか?

自分含め99人にこの質問をぶつけて、それをインタビュー形式で収録しました。これは2020年の役者達を単純に取材したい想いと、それを淡々と並べたアートであり、そのときに浮かび上がるものは何なのか知りたかったのです。若手は軽やかだったり、丁寧だったり、真摯だったり、ボケてくれたり様々で本当に見ているだけで面白かったです。中堅になると工夫があり、自分の出し方や表現が洗練されている印象がありました。若くとも芸歴がベテランだったり年齢が高いベテランの方々はとにかく重みが違い、内容が濃厚でした。こりゃ役者はワインだな、と。シャトームートンの熟した深さも、ピノ・ノワールの軽やかな口当たりも、最高なのです。ちなみに伊藤はほぼ下戸です。適当なこと言ってます。

全ての動画は来場時またはフォトブックでのみお楽しみ頂けるので、ダイジェストだけYouTubeにUPしています。

一人一人がもがきながら、悩みながら答えている。インタビュー慣れしていない人も小慣れた人もいる。(伊藤目線ですが、まばたきとかで大体わかります)そんな演技をしていない役者を記録したい想いもありました。貴重なインタビュー集です。マジで再生されてないの勿体ないので拡散お願いします。頼むからこの素晴らしさ伝われ。

撮影は各メンバー。質問内容、ディレクション、編集は伊藤が担当しました。

というわけで、どうしても記録しておきたかった2点についてでした。

何しろ伊藤は特捜戦隊デカレンジャーでデビューした俳優ですから、戦、には想いがしこたま乗ってます。伊藤が撮影を担当した役者が全員ヒーロー出身なのもそのためです。

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(伊藤がポートレート写真にハマるきっかけをくれた最初のモデルで役者の尾崎桃子さんが来てくれた)

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(下 海老澤健次 左 碓井将大)

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思い出はだいたいインスタのストーリーでまとまってるのでインスタフォローよろしくお願いします。

展示を観ることが叶わななった役者にも今年少しずつ現場の好評を伝えられたらと思います。

最後に、今回ご尽力頂いた各役者様と所属事務所様ほかご協力頂きました皆様に改めて御礼を申し上げます。

gekichapの次回展示は2月。お楽しみに。


伊藤陽佑Twitter