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アクティビストのオアシスが自動車部品業界に殴り込み!?


アクティビストファンドのオアシス・マネジメントが自動車用シート材の大手、セーレン株を6.28%取得したと発表しました。

まず興味深いのが、株主にまったくオアシスの気配がなかったということです。通常、5%超えるまで気づかれないようにゴールドマン・サックスなど外資系証券のカストディの名義で4.9%まで水面下で買い集め、5%を超えた時点で大量報告の報告というパターンが多いのですが、今回はその兆しはありませんでした。

大株主を見ても、取引先でがっちり経営者の邪魔をしない株主で盤石でした。

https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100TOXY.pdf?sv=2020-08-04&st=2024-09-07T03%3A22%3A40Z&se=2034-06-21T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=cdEijTQJ9tjrRKcPvCmE%2F8X1%2BG2%2FZEewD06xtiCHgdA%3D

外資系証券のカストディは見当たりませんね。


では、オアシスはどのようにしてセーレン株を6.28%まで買い集めたのでしょうか?
答えはこちらです。

https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100UBH9.pdf?sv=2020-08-04&st=2024-09-07T03%3A17%3A45Z&se=2029-09-06T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=8hU8J6wJVj99O%2B%2FE9ngKoy5WglnNPe38h3q0kLzSjNQ%3D

オアシスは8月に新株予約権付社債(いわゆるCB)を買っていた、ということになります。

似たような話だと、昔、村上ファンドが阪神電鉄のCBを買い集め株に転換、し、10%以上の取得を気づかれずに行ったことが有名ですね。

なかなかこの取得方法は目にすることはありませんでした。
おそらくセーレン経営陣側もこれまで対話やレターなどもないまま、大量保有に至ったのかもしれません。

さて、今回オアシスがセーレン株を取得した目的はなんでしょうか?
それは
「業界再編」です。

トヨタがグループ会社の持ち合い株式を解消に向かっているというのは皆さんご存じのところです。

で、そんななか、鼻の効く投資家はさっそく行動にでます。

大阪の自動車部品メーカーのエクセディ、アイシンが保有していた34.5%の株を売却したとたん、村上ファンドが一気に16.62%まで保有を増やしました。

このニュース単体だけでは「ふーん」という感じですが、冒頭のオアシスのセーレン株の取得、また日本ゼオンの大量保有の発表を受け、これは明らかに景色が変わってきました。

他にも村上開明堂、ヨロズ、中央発條にもアクティビストが投資しております。


今後、予測される展開としては、アクティビストとしては
「利益率低いんだから、みんなくっついた方が利益率上がるんじゃない?」
「トヨタが大株主から抜けるんだから、自由にオーナーチェンジできるよね?」
「統合でも、同業に身売りでも、PEファンドに売却でもなんでもいいよ」
ということを経営陣にエンゲージメントしていくと思われます。

半導体商社の再編は10年近くにわたってかなり時間がかかって、まだまだ途中ではありますが、近年の東証改革や金融庁の強権ぶりは未だかつて見ないほどのトーンですので、自動車業界の再編は意外と早く何かアクションが起こるかもしれません。天下のトヨタが引き金ですし。

最後に、自動車部品業界で
・時価総額1,000億円以下
・PBR1倍以下
の銘柄を載せておきます。

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