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【役員コラム#1】 理事 山岡義卓さん

こんにちは。
アクションポート 横浜です。

普段は役員としてアクションポート横浜の組織を支えてくださる皆さんにコラムとしてアクションポートへの関わりや思いを書いてもらいました。

第一弾は理事山岡先生です。

山岡先生は神奈川大学で地域やNPOでの学生コーディネーションに関わられており、NPOインターンシップでも神奈川大学の担当としてお世話になっています。

アクションポートではアクションフォーラムなどを担当いただいており、
最近ではオンラインでの学生ボランティア活動でご一緒しています。

今回は「コロナ危機に考えたこと」というテーマでコラムを書いてもらいました。

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コロナ危機に考えたこと

理事の持ち回りでコラムを書くことになり、最初は自己紹介的なことをと案内があったのだけど、やはりこの非常事態宣言下で持ち上がったコラム企画であり、新型コロナウイルスの感染拡大に触れないわけにはいかないだろう。  

また、この危機に私たちが何を考え、何を伝えるかということがそのままアクションポート横浜とはどのような組織なのかを伝えることにつながるだろうとも考える。

ゼミの学生から届いた一通のメール

ところで、4月下旬から私のゼミと認定NPO法人びーのびーのさんとアクションポート横浜との連携で、オンラインで子どもと遊ぶボランティア活動を実施している。

外出自粛と休校により一日中自宅にいて退屈している子どもたちに、学生たちがボランティアとしてゲームやクイズなどの遊びの時間を提供するプログラムだ。この活動の経緯を紹介しながらここ最近に考えたことを述べたいと思う。

今回の新型コロナウイルス感染拡大によりどこもかしこも大変なことになっているのは言うまでもない。医療機関のように日々の仕事が厳しい環境にあるところもあれば、飲食店に代表されるサービス業のように著しく売り上げが減少している事業者もある。NPOもしかりだろう。

こうした危機に自分は何をすべきかと考えつつ、なるべく知己のある飲食店で食事をするなどごくささやかな「できること」をしていた4月中旬、ゼミの学生から一通のメールが届いた。

「件名:暇です。暇すぎます。」と書かれたこのメールには外出もできないし授業も始まらないしバイトも減らされて暇だということが綴られていた。

多くの人たちが大変な思いをしているさ中に何を甘えたことを言っているのだと思われるかもしれないし、学生なんて気楽な身分なんだから暇ぐらい黙ってやり過ごしなさいとお叱りを受けるかもしれない。

しかし、私はこれは切実なことだと感じた。

暇と言うのは時間的な暇のことだけではないだろう。心の暇というか精神的な空白がこの訴えの背後にはあるのだろう。 

そして、わざわざこんなメールを送ってくるのだから「心の暇」による浸食はかなり深刻だと推測される。

ではその「心の暇」は何により生まれるのかと考えれば、それは社会とのつながりの欠如ではないだろうか。平時であれば学生たちはバイトやサークル、授業、ゼミ、ボランティア等さまざまな形で社会との関りを持っている。

そうした経験を通じて無意識のうちに他者との関係の中に自分を位置付け、社会の見方を形作る作業をしているのだと思う。

だからこれまでアクションポート横浜は、そういう機会をもっと意識的に積極的に生み出していく必要があるのだと訴えさまざまな実践を続けてきた。

「社会とのつながり」が全く遮断されたことにより生まれる「心の暇」は個人レベルの問題ではない。何しろ、今日本中(あるいは世界中)の若者が同じような状況に置かれている。

多くを吸収し学び成長し、自己を形成していく大切な時期にある10代後半から20代前半の若者が数か月にわたり社会との関りを絶たれるということは、長期的にみて社会全体に大きな損失をもたらすだろう。

そうであれば、その現状に対して自分は何をしているのか。大学に身を置きながら学生たちの危機に寄り添えていないのではないか。 急遽決まったオンライン授業の準備にあわただしくばたばたと対応しているけれども果たしてそれでよいのだろうか。そういうことを考えた。

他方でニュース等では地域のNPO等がこの危機にそれぞれの現場で今求められる活動を迅速に行っていることが紹介され始めていた。地域の医療機関から欲しいものリストを提示してもらい、マスクや衛生用品等を届けているNPO、休校が決まると同時に地域の子どもたちにお弁当の提供を始めた市民活動団体等。どれもささやかなことかもしれないけど、当事者にとって今必要なサービスだろう。

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神奈川大学経営学部山岡ゼミの様子。facebookページより

学生と子どもたちをつなぐ交流企画をスタート

そうしたニュース等を見聞きしながら考えていた時、びーのびーのさんよりお子さんのいるご家庭のニーズをご紹介いただき、学生たちに相談し、始まったのが冒頭に紹介した活動だ。

ちなみに、こんなニーズがありそうですよ、と最初に情報提供いただいたのが4/23夕刻、初回の企画実施が4/27午後。

このスピードで実施できたことに意味がある。危機なのだから今すぐやることに意味があるのであって、時間をかけて議論して中身を詰めて抜かりなくやることが求められているわけではない。               そしてそれができるメンバー(学生たちを含む)が集まっているからできたことだ。

今回のことを通して思うのは、危機に「平時と同じ」を目指すことはまったく効果的でないということ。なぜなら平時と同じことをしようとしてもさまざまな制約があるのだから同じレベルでできるはずがないし、そもそも危機には平時と同じことは求められない。

危機にすべきは、当初の計画にとらわれずに今求められていることをできるだけ迅速に実施することだろう。

そう考えると大学のオンライン授業は平時につくられたシラバスに沿って進めるのだから「平時と同じ」を志向している。

その点において無理があるのは自明であり、できる限りのことをしつつも歯がゆさが伴う。

理事コラム写真①

↑オンラインボランティアの様子

話を戻そう。アクションポート横浜は「まちにたくさんの主人公を」というミッションを掲げている。

しかし、今それを実現するために平時に用意した事業は計画通りに実施できないかもしれない。

そのような時にこうして求められることをささやかだけれど形にできるのはこれまでの蓄積があるからで、そこにアクションポート横浜の本質が見えるように思う。

私自身は今回このような活動に関わり、学生たちに機会を提供し、実践を通して考える機会を得られたことは役得だ。

役得は享受するだけでなく、返していかなければいけない。今はそういうことを考えている。

2010年4月30日

山岡先生

理事
山岡 義卓
Yamaoka Yoshitaku
1970年生まれ。神奈川大学経営学部。専門はキャリアデザイン、大学の地域連携。食品メーカー勤務の後、中小企業の事業支援や大学の地域連携コーディネートに携わり、2013年より現職。プロジェクト型授業やゼミ活動等を通じて若者の地域活動への参加を後押しするとともその学習効果や地域への波及効果等の検証を進めている。

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