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1日5分の免疫学(31)ストレスと免疫

本「ストレスと免疫についてやるで」
大林「ストレスって分類したら色々あるんだよね。生物学的ストレッサー、物理的ストレッサー、、、」
本「ストレスがかかるとその刺激海馬扁桃体というところで処理され、視床下部へ届き、大脳(青斑核など)へ伝わる」
大林「覚えられない……」
本「ストレスに対する生体反応の1つとして、視床下部交感神経を刺激してノルアドレナリンが産生、その一部副腎髄質アドレナリンに変換」
大林「えぇと……ノルアドレナリンアドレナリンは、血圧や心拍数を上げ、瞳孔を開き、血糖値を上げ、筋肉にエネルギーを送る……!つまり、『逃走と闘争』の準備!!!!」

本「カテコラミンステロイド2大ストレスホルモンや、覚えとき」
大林「うぃっす。ストレスがかかると出されるホルモンで、免疫にも影響あるやつですな」
本「カテコラミンは免疫細胞(特にTh1系)の働きを抑制する」
大林「おぉ、推し!Th1系ということは細胞性免疫!」
Wiki「カテコラミンは、多くの神経伝達物質等(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン)の基本骨格」

本「ストレスがかかった時、ノルアドレナリンやアドレナリンなどのカテコラミンが出されるのは視床下部交感神経経路。SNS経路ともいう」
大林「SNS経路?!Twitter???」
Wiki「交感神経系(sympathetic nervous system)。自律神経系の一つ。『闘争と逃走の神経(Fight and Flight)』と呼ばれるように、激しい活動を行っている時に活性化する」


本「SNS経路すなわち交感神経は、胸腺・脾臓・リンパ節へ直接入っていて、カテコラミンをマクロファージやDC、Tregなどに浴びせて免疫の働きを抑制する」※DC:樹状細胞dendritic cell、Treg:制御性T細胞regulatory T cell
大林「ストレスがかかると免疫が弱るってそういう仕組みか……」
本「ちなみに、Th1にはノルアドレナリンの受容体があるのに、Th2にはない!」※Th1、Th2…ヘルパーT細胞。Th1は細胞性免疫を、Th2は液性免疫を担う。
大林「ということは……Th1はノルアドレナリンの影響を受けて、働きを抑制される。けど、Th2は影響を受けない……?
本「B細胞にもノルアドレナリンの受容体があるが、こっちは寧ろB細胞を刺激して形質細胞からのIgE産生が増加することが報告されている」
大林「えぇ……Th2は抑制されず、B細胞は刺激されてIgEを産生する形質細胞になる……?つまり、ストレスでアレルギーがひどくなる?聞いたことある話だ」

本「SNS経路のほかに、HPA経路というのもある。視床下部→下垂体→副腎経路な。副腎皮質ステロイド(コルチゾール)が作られる」
WEB「hypothalamic-pituitary-adrenal axis」
大林「hypothalamic視床下部ーpituitary下垂体ーadrenal副腎の……直訳ゥ!」

本「一方、ステロイドすべての免疫細胞の活性化を抑制する。ただ、ちょっと覚えておいて欲しいんやけど、ステロイドを抗原刺激の前に使うと、相対的にTh2が優位になることが報告されている」
大林「えっ……Th22大ストレスホルモンで優位すぎでは?」
本「まぁ、病院の処方でステロイド使うときって、大体抗原刺激の後だから問題ないけど、一応覚えておいて」
大林「ほぉん……」

《今回のポイント》
ストレスで免疫が弱まるというのは、
ストレス→体が「闘争と逃走」モードに切り替わる→免疫が抑制される
※免疫より闘争と逃走が優先される

二大ストレスホルモンは、カテコラミンとステロイド。
カテコラミンはSNS経路(視床下部交感神経経路)で、ステロイドはHPA経路で作られる。


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