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1日5分の免疫学(29)後天性免疫不全
本「先天性免疫不全について話したら次は…」
大林「後天性免疫不全…?」
本「後天性免疫不全症候群(AIDS:Acquired Immunodeficiency Syndrome)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV:Human Immunodeficiency Virus)の感染によって生じる疾患」
大林「HIVはCD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)に侵入感染するんでしょ、指揮官を狙うとは……」
本「せや。感染したCD4陽性T細胞は、破壊されるかアポトーシスを起こし、減ってしまう……」
大林「ヘルパーT細胞がなくなると、細胞性免疫も体液性免疫も働かない……免疫軍の指揮官不在!」
<復習>=====
①敵侵入
②樹状細胞等が、敵を捉えてペプチドまで分解し、T細胞に提示
③特異的に反応したT細胞が活性化して増殖し、免疫反応を起こす
④ヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)は、キラーT細胞※(CD8陽性T細胞)やB細胞(正確には形質細胞)を活性化する。
※キラーT細胞とは、CTL、Tc細胞、細胞傷害性T細胞のこと。
=====
本「AIDSは、CD4陽性T細胞の低下で感染防御が著しく弱った時に感染症として発症する」
大林「健康な人なら発症することないような感染症に発症するんでしょ」
本「日和見感染という。ニューモシスチス肺炎やサイトメガロウイルス感染による感染症発症して命を落とす…」
大林「HIVの感染初期に細胞性免疫で対応できない?つまり、感染したThをTcで排除できないの?」Th…ヘルパーT細胞。Tc…細胞傷害性T細胞、別名CTL、キラーT細胞。
本「初期ならば一時的に抑えることができるけど、HIVはCD4陽性T細胞の中で生き残って、少しずつ感染を継続して、最終的にはCD4はなくなってしまう」
大林「ヒェ…」
本「しかも!その間にHIVは変異して抗原性を変化させているので…」
大林「その変異に細胞性免疫の防御が追いつかない?」
本「あたり!そしてその変異ゆえにワクチンの開発が難しい」
大林「そういうことか…なんかワクチン開発可能とかツイッターで見たな、今週末は別冊日経サイエンス読もう」
ワクチン開発が長いこと遅れているのは,研究不足のせいでも資金不足のせいでもない。問題はHIVがこれまで科学者が扱ってきた他のウイルスと違うことにある。「ついに見えたHIV予防ワクチン」
— 日経サイエンス (@NikkeiScience) August 21, 2019
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本「明日はがんについてやるで」
大林「イェッサ」
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