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ガッチャードデイブレイクという戦慄

Xでガッチャード夏映画の話をした。

仮面ライダーが敗北したIFルートを妄想しまくって、
そのファンアートを描きまくっていた身として、
ついに公式が正面から叩きつけてきた絵面が

・右目を潰されて絶叫しながら流血する主人公
 (ライダー歴僅か3ヶ月の17歳)

・地平線まで続くおびただしい数の墓標

なのは流石に白目剥いた。

誰がここまでしろと。

しかもこれ、Vシネ後日談じゃなくて普通に戦隊と同時上映の夏映画だからな。映画館を埋めつくす数のちびっ子たちにこの絵面ぶつけるんだよな。

嘘だろ。

全年齢対象の夏映画でここまでやっていいんだ……という驚きがデカい。
元から年齢制限のあるアマゾンズやブラックサンとは訳が違う。
仮面ライダーという巨大IPのメインストリームである、子供向け通年作品の劇場版で、ここまでやる。
覚悟と凄み。

本筋がここまでエグいと、小島よしおのキャスティングが子供たちを引き留めるための唯一の清涼剤に思えてくるな。
「どう見ても小島よしおな海パン一丁の錬金術師」
くらいバカげた画をぶつけないと、この惨劇を中和できない。

個人的なガッチャードの魅力は、いつもソフトで明るい雰囲気なぶん、要所要所で死ぬほどハードかつ陰惨な光景を叩きつけてくるメリハリだと思っているのだけど、夏映画でこれが極まった感じがする。
錆丸ドレッドみたいなハード展開を挟みつつ、基本的に明るく楽しくやってきた1クール目のガッチャード時空が、16話にして唐突に最終回を迎えていた可能性がある と明言されるのがヤバい。

世界は時に、信じられないほど呆気なく終わる。
ある世界は、既に終わった。



宝太郎の目の話。

20年後の宝太郎が片目を失ってるの、
イグナイターの原型にして彼の宝物だったアイテムが

ゴーグル(目を守るための道具)

なのを踏まえるとなかなかに食らう。

さらに彼はニジゴンとも出会っていないっぽいのだが、
「光学現象である虹を感知するための器官を1つ失っている」
のだと思うと、これもまた意味が増す。





クウガ・電王・W・オーズの登場すら逆に辛くなったもんな。

正史を守り抜いた栄光のレジェンドたちの御影が、デイブレイクの悲劇性をより一層際立たせる。

「いつもの」面子が「いつもの」ように巨悪を打ち倒した正史が存在するならば、デイブレイクのような地獄のIFルートも、彼らの世界のすぐそばで全く等価に存在している と公式が明言する意味の重さ。

ヒーローの勝利は、必ずしも「いつもの」展開とは約束されていない。
視聴者が見てきた正史はたまたま諸条件が上手く噛み合ったルートに過ぎず、全ての過去作の裏側で「仮面ライダー○○デイブレイク」に相当する存在が絶叫しているのかもしれない……と考えると、これほど恐ろしいことはない。

「仮面ライダーは必ず勝つ」という慣例が相対化される戦慄。

ガッチャードデイブレイクは、間違いなく令和ライダー史に残るキャラクターの1人だと言いたい。ここまで感情を揺さぶってくるキャラも珍しい。



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