アクト・ビヨンド・トラスト

アクト・ビヨンド・トラスト(abt)は自然環境と人間生活の調和をめざし、市民やNPO・…

アクト・ビヨンド・トラスト

アクト・ビヨンド・トラスト(abt)は自然環境と人間生活の調和をめざし、市民やNPO・NGOによる問題解決のための具体的、効果的、創造的なアクションを応援しています。 noteでは、主業務の助成事業からちょっと離れた視点での情報を発信していきます。

マガジン

  • 【絵本の中の生きものたち】

    「絵本の中の生きものたち」は、abtのフェイスブック・ウェブサイトに2021年から連載しているコラムです。絵本と生きものが好きなabtスタッフが、さまざまな主題で数冊ずつ絵本を選んで、生きものの活躍を紹介しています。生態を描写するお話もあれば、人間の社会を見つめ直すようなお話も。小さいかたは、どうぞ絵本を片手に、生きものと出会える野山へ海へ。大きいかたは、はるか昔の忘れ物を取り戻して、見慣れた景色をちょっとだけ変えるきっかけになるといいな。そんな絵本を並べた小さな本棚です。

  • 「NGOの文章術」

    「NGOの文章術」は、abtのwebサイトに2014年1月から5月にかけて連載したものです。 abtの代表理事を務める星川が、80冊あまりの著訳書を手がけた作家・翻訳家でもあることはご存知の方が少なくないと思います。その星川が、前職の国際環境NGOグリーンピース・ジャパン事務局長時代とabtとを通して20年近く、著述のプロとして対外文書・内部文書のチェック役を続けた経験を活かし、まとめたものです。 元々はabtの部内用にまとめようとしたものですが、NPO/NGOに限らず様々な分野で文章表現に関わる人に役立つかもしれないと、公表することにしました。内容は、うっかり躓(つまず)きやすい技術的な問題点から、文章を書く上での心得まで、全10回の連載となりました。

最近の記事

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「NGOの文章術」第1回

言葉の森を守る一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川 淳 abtの代表理事を務める筆者は、作家・翻訳家として50年以上のキャリアで80冊あまりの著訳書を世に送り出すかたわら、環境・平和・人権などをテーマとする国内外の市民運動にも数多く関わってきました。2005年末、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの事務局長に就任する際、ある文芸雑誌のインタビューに「市民活動のチラシや声明、報告書、場合によっては内部文書まで、人を動かし社会に影響を与えるという意味で“文学

    • 【絵本の中の生きものたち】 自由にあこがれて(3)『ねずみ女房』(1977)福音館書店

      《2021.06.16 アクト・ビヨンド・トラストのWebに掲載》 abtの中の人(ヤギ)が、生きものの活躍する絵本を紹介する連載です。最初のテーマ「自由にあこがれて」の最後は、1匹のねずみの主婦(原題:Mousewife)の物語です。名前のない主人公の「めすねずみ」は、野外に生息するノネズミではなく、人間の家にひっそりと巣を作り、台所のおこぼれを集めて暮らすイエネズミです。ねずみの夫婦が暮らすウィルキンソンさんの家は、夫婦にとっての全世界でした。家のガラス窓の外には庭があ

      • 【絵本の中の生きものたち】自由にあこがれて(2)『ちいさな島』(1996)童話館出版

        《2021.04.07 アクト・ビヨンド・トラストのWebに掲載》 abtの中の人(ヤギ)が、生きものの活躍する絵本を紹介する連載です。最初のテーマ「自由にあこがれて」の第2回は、海に囲まれた小さな島のお話。家族や友人との関係に疲れたとき、仕事が行き詰まってしまったとき、自然の中に身を置いてみたくなることはありませんか。たとえば一人で海辺に波が打ち寄せるのを見ているだけでも、日常のしがらみの煩わしさからちょっとだけ解放されたような気持ちになるかもしれません。この絵本が見せて

        • 【絵本の中の生きものたち】自由にあこがれて(1)『九月姫とウグイス』(1954)岩波書店

          《021.03.16 アクト・ビヨンド・トラストのWebに掲載》 abtの中の人(ヤギ)が、生きものの活躍する絵本を紹介する連載です。最初のテーマは「自由にあこがれて」。さまざまな約束ごとにからめとられて生きなければならないニンゲンから見れば、野生動物は自由を象徴する存在にもなります。広い空を縦横に飛ぶ鳥はその代表格ですね。 『九月姫とウグイス』は、部屋に飛び込んできた小鳥と仲よくなったお姫様の物語。窓を開けておくと気まぐれに飛んできては歌を聞かせてくれるウグイスが二度と

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        • 【絵本の中の生きものたち】
          3本
        • 「NGOの文章術」
          11本

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          「NGOの文章術」あとがき

          note版あとがき(e-book巻末の「電子版あとがき」より抜粋) 最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。「いまどき、こんな小難しい内容を読もうという人がいるかな?」と躊躇(ためら)いながらも、キャリアの節目に自分で自分の背中を押した連載でした。 話し言葉や私的な書き言葉がどれだけ変化しようと、言語の自然ななりゆきですし、筆者も面白がっているところがあり、たまに若い人たちのスラングを真似てみたりもします。しかし、一定の公式性を帯びた外向きの文章は、そういうわ

          「NGOの文章術」第10回

          残りのエトセトラ一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川 淳 いよいよ最終回……ですが、主に技術面で雑多な積み残し事項が多すぎ、第8回に続いて箇条書きで駆け抜ける、体裁の悪い終わり方になりました。これまで9回の内容(たとえば「つねに読み手の理解を助けることを意識する」)を頭に置きながら読んでいただくと、くどくど説明しなくても納得できるのではないかと思います。おまけに文末には、いまのところだれに聞いても答えの得られない、筆者なりの疑問点も! 配慮と独自性のバラン

          「NGOの文章術」第9回

          第四権とアート一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川 淳 10回程度と考えていた本連載、今回が最後の奇数回になりそうで、「NGOの文章術」ならではの心得や心構えの核心に踏み込みます。本来はこの話を第1回にしてもおかしくなかったのですが、第8回までのウォーミングアップがあってはじめて通じやすくなる内容かもしれません。 第四権 まず、なぜ「NPO」でも「市民社会」でもなく「NGO」なのか――。どの回でも一読いただくとおわかりのとおり、この連載は小説などの創作系

          「NGOの文章術」第8回

          ネコは日向ぼっこしたり 一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川 淳 偶数回は再び技術・技法的な話題です。まだまだ取り上げたいことがたくさん残っているため、残り数回で連載を終えるには、かなり駆け足で進まないといけません。そこで、今回は箇条書きにしてみます。 たり・だが・思います 1. ~たり~たり プロの文章でも「~たり」を単体で用いる例を見かけますが、「~たり」は2回以上セットで使うのがルールです。 【×】ネコは日向ぼっこしたり、マイペースですごすのが好

          「NGOの文章術」第7回

          中空の竹一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川 淳 心得と技法を交互に取り上げる構成で、再び心得の回です。認定NPO高木仁三郎市民科学基金で長年、事務局長を務めてこられた菅波完(すげなみ・たもつ)さんから、本連載への感想コメントで「文章力をレベルアップするための心構えや具体的な工夫など」を取り上げてほしいとの要望をいただきました。同NPOは、市民活動の助成という分野においてabtの大先輩にあたります。 「心得」と「心構え」では若干ニュアンスが異なりますが、第

          「NGOの文章術」第6回

          音楽としての言葉 一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川 淳 “心得”と“技法”を交互に取り上げる順番から、今回は再び技術的な話です。とはいえ、連載を書き進めるうちに、“心得”と“技法”はすんなり分けられるものでもないことがわかってきました。 読点で息を継ぐ 言語の発生が音楽(歌)の発生と近かったかどうか、学術的に裏づけるのは意外と難しいようですが、筆者にとって文章はまぎれもなく音楽です。書き言葉を音楽と捉えることは、良い文章を書く必須条件ではないかもしれ

          「NGOの文章術」第5回

          文は自画像一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川 淳 心得(こころえ)と技法を交互に取り上げてきて、今回は心得の続きですが、だんだん境目が薄れ始めたような…… 敬語の罠 第3回の冒頭で、「可能な限り読み手の理解を助ける記述を心がけたい」と書きました。ところが、相手を意識する点では同じでも、日本語には敬語という悩ましい慣習があり、話し言葉も書き言葉も独特の縛りがかかって、不慣れだと意思疎通より上下関係の“逆マウント”(いかに自分を卑下するふりをするか)が目的

          「NGOの文章術」第4回

          アルゴリズム支配に縛られない 一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川 淳 “技術”と“心得”を交互に取り上げる順番から、第4回は前回の結びで予告した「漢字かひらがなか」の大問題を中心に―― 漢字の開き方 ご存知のとおり、漢字カタカナ混じりの文語体だった戦前の大日本帝国憲法に対し、現在の日本国憲法は、草案こそ旧憲法と同じ文体だったものの、「国民の国語運動連盟」の提案により漢字ひらがな混じりで句読点のある口語体で表現されることになりました。天皇の人間宣言と並ん

          「NGOの文章術」第3回

          読み手の海へ漕ぎ出す一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川 淳 第2回で技術的な詳細の入り口を覗いたので、今回は筆者が大切にする心構え的な導入です。 一番の大前提として、文章の書き手はつねに内容が読み手へ伝わるかどうかを意識し、可能な限り読み手の理解を助ける記述を心がけたいものです。仕事の同僚や仲間内なら通じる表現でも、そのまま業務のカウンターパートや一般の読み手に向けると頭をひねらせ、失礼になりかねない場合があります。一人ひとりの校閲能力にはバラつきも限界

          「NGOの文章術」第2回

          知ってか知らずか一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事 星川 淳 第2回は、この連載を思い立ったきっかけを含め、日本語を書く上での初歩的なルールに関わる問題点を2つ取り上げます。 改段落の扱い 近年の横書きウェブ書式では、現代の英語書式を真似て、段落冒頭の1字下げをしないことがほとんどです。これは変化する日本語の一端で、筆者も取り入れています。ところが、この書式で段落を改める場合、1行アキを取らずに次の段落を続ける例を数多く目にします。これには強烈な違和感があり