アクタージュが終わった

本日8月11日火曜日、週刊少年ジャンプ36号37号にてアクタージュが最終回を迎えました。被害者の方の心身の回復および宇佐崎先生や編集の方のご多幸をお祈り申し上げます。私の初めてのnoteは、アクタージュへの想いと思い出をまとめたいなとおもい、今筆を執っています。駄文ですが、どうかよろしくお願いします。

私が初めてマツキ先生と宇佐崎先生の作品に出会ったのは2017年のことでした。

「阿佐ヶ谷芸術高校映像科へようこそ」というタイトルのその作品は、アクタージュの前身ともいえるもので、映画監督の卵たちにスポットを当てた作品です。何を撮ればいいのかもがく主人公の雪が、ネグレクト気味の母との対話を通して自分の感情を知ります。何に私は怒るんだろう、何が私を悲しくさせるんだろう。そうして知ったその感情を彼女は自分の作品としてさらけ出します。

この作品に出会った当時の私は小説家を目指していました。作品を書いて書いて書き続けて…しかし、どれだけ書いても私は人に自分の小説を見せられませんでした。怖かったんです。私の小説は何の価値も持たないゴミだと言われるんじゃないか、私の頭の中の傑作は世に出した瞬間に駄作へと変わるのではないか、とても恐かった。

そんな時、私は「阿佐ヶ谷芸術高校映像科へようこそ」を読みました。作中で黒山監督が言った「自分の映画を誰かに見せた人間が 自ら映画監督を名乗る覚悟を持ったとき 映画監督は生まれる」というメッセージ、感動しました。


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雪ちゃんは乱暴で、それでいて素直に自分の感情を作品へ昇華させていました。覚悟を以て、映画監督になっていました。恐怖に沈み続ける私に、彼女は作品を見せる姿をみせてくれた。靄が晴れたようでした。やっと前に進めたような気がしました。

この読み切りを手元に残しておきたい。読み切りのまま終わらせるなんてもったいない。私は生まれて初めてジャンプを購入しました。(立ち読みがほとんどでして…すいません)

私の中で漫画が単なる娯楽じゃなく、道しるべになった瞬間でした。

今も臆病風に吹かれたとき、この作品を読み返しています。


それからだいたい1年ほど経った頃でしょうか、週刊少年ジャンプにてマツキ先生と宇佐崎先生の作品「アクタージュ」が始まりました。

仮面のような美しさの裏に誰よりも熱さを秘めた千世子ちゃん。不器用でフルチンで必死で手を伸ばし続けるアキラ君。最も誠実に役作りへ向き合う阿良也。カリスマであり続ける自分をとらえなおす選択をした王賀美。自分の執念を成し遂げるために役者の成長を見守る黒山。役者を名乗る覚悟をもった景ちゃん。

数え切れないくらい素敵なキャラクターがアクタージュの世界にはいます。

私は銀河鉄道の夜が大好きでした。役者かどうかは覚悟が決める。「阿佐ヶ谷芸術高校映像科へようこそ」で私の胸を打ったメッセージはアクタージュにも活きていました。

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巌さんは、劇団天球のみんなに自分の代役をさせるため景ちゃんを引っ張ってきた、エゴの深い人です。家庭も何も顧みず、芝居だけに懸けていた演出家。きっと、巌さんはろくでもない人で、そして世界一素敵な演出家さんなんだと思います。私は大好きでした。

アクタージュは本当に素晴らしい作品です。面白くて感動して嬉しくて…この作品を読める人生がもう本当に本当にうれしかった。

この作品のすばらしさを語りたいと思って私はTwitterを始めました。

たくさんの人とアクタージュを通して出会うことが出来ました。

私がアクタージュを勧めたことに感謝してくれる人がいてくれました。

つらいことがあったとき、世の中に絶望した時、何度もアクタージュを読み返しました。そのたびに、私はアクタージュの続きを読むまで死ねないなと思うことができました。来週また読める。続きが読める。そう思ったらいくらでも頑張れる気がしました。

所詮漫画、所詮娯楽、そういう人もいるかもしれません。

そうです。娯楽です。食べ物でも着るものでも住処でもない。

でも、でも私にとっては間違いなくアクタージュは人生の支えとなっていました。大げさでもなんでもなく、アクタージュが私を救ってくれました。


ニュースを聞いたとき、絶望しました。

私の愛した漫画が消えてしまうと思いました。怖くて怖くてたまらなかった。昨日は何度も書店に行って、アクタージュがあるかどうか確かめるために街中を駆けずり回っていました。意味はないです。わかっています。

でも、書店にアクタージュが並べてある光景をみたかった。回った6軒すべてにアクタージュが置いてあった時、私は心から安堵しました。消えていない。私の愛した漫画は消えていないと安心しました。

私の中でアクタージュは誰かと語り合いながら自分を支えてくれる作品だったからこそ、世界から消えるのが怖かったとその時分かりました。


連載終了。もう続きは出ません。

二度とアクタージュの続編は読めないでしょう。

悔しいです、本当に。悔しい。

人生の支えを創り出してくれた原作者を、恨んでしまう。憎んでしまう。なぜそんなことをしたのか、なぜ人を傷つけてしまったのか。意味のない問いかけが頭から離れません。

原作者への怒りや悲しみが二度と消えることはないでしょう。


でも、何度読み直してもアクタージュは私が大好きな漫画でした。

ニュースを見た後でも、面白さは微塵も色褪せていませんでした。


私は自分の愛した漫画を生涯覚えていたいです。

できればアクタージュを知るすべての人にずっと覚えていてほしいです。

知らない人に、どうか偏見を持たず一度読んでほしい。

傲慢だろうと非常識だろうと私はこの作品をこの世から消したくないんです。

私はアクタージュが大好きです。

本当に本当に大好きです。大好きです。

何ができるわけでもないけれど、私はずっとこの作品を忘れません。

大好きです。

この記事をここまで読んでくださった風変わりな方、せっかくなのでどうかアクタージュを読んでください。読んだことのある方は読み直してください。読んだことがない人は手に取ってみてください。

必ずこの作品は何かをくれますから。


改めて、アクタージュを作ってくださったすべての方々、ありがとうございました。

ありがとうございました。


https://twitter.com/actagelove 筆


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