冬から春の花壇に大変身!! 今年最後のコミュニティガーデン講座@紅葉丘 第7回
4月にスタートした紅葉丘中央公園のコミュニティガーデン講座も、早いもので
今年度最終回の第7回を迎えました。1月と3月にお手入れデーがありますが、講座としては、実は今回が1年目の最後となります。
春に植えつけた草花を抜き取り、冬から春にかけて咲く一年草を植えつけます。受講生の皆さんにとっては、2度目の植えつけです。
前回、前々回のデザインワークや、みんなで考え、話し合いを経て決まったテーマ「キラキラときめきホッとする」の通り、とても素敵な花壇となりました。
紅葉丘公会堂に集まって座学からスタート。
前回の振り返りの後、三浦先生から、前回のアンケートに土についての質問があったことから、その回答とともに、土づくりのお話をすることにしますと説明がありました。
また、混同しやすい「テーマ」と「コンセプト」についても少し。
テーマとは、あくまでそのシーズンの花壇のデザインやカラーにまつわるもの。一方のコンセプトは、花壇やガーデンの〝名前〟ともいうべき大事なもので、来年度、みんなで話し合って決めていくことになっています。
ちなみに、今年のカラーは、赤、ピンク系でしたね。
次に谷村先生から、各班で考えたデザインの植物の発表がありました。
各班が提出した植物のリストを元に、先生が選び用意してくれた1区画の21ポットづつの苗。そのデザインの説明をしてくださいました。なお、ここには球根は入っていません。
パンジー、ビオラ、ストック、デージー、スイセン、リナリア、そしてシロタエギク
冬を彩り、春に華やかに咲き誇るであろう花苗たちに、想像が膨らみます。
続いて、三浦先生から今日の作業の流れ。
一年草の摘み取り、抜き取り。腐葉土を入れての土づくり。配置して各班の花壇の植え付け。多年草の整理と球根植え。片付けです。
一年草はすべて抜き取ってしまうのですが、その前にみんなで心置きなくお花摘みをし、その後抜き取りましょうといわれ、皆さん表情がフッと緩みました!
植え替えだけでなく、摘んだお花のお土産まであるなんて!
思わず笑みがこぼれます( ´∀` )
植え付け前の土作りのお話
紅葉丘の花壇、初回は、市役所の協力のもと、スタッフが耕し、その後府中産の腐葉土を入れて、講座で植え付けをしました。
つまり、植物を植える上で大事な、土はすべてできあがった状態で講座がスタートしていたのです。
そこで、今回は自分たちでも再現できるよう、土作りについての学びです。
「土づくりがうまくいけば、植物を育てるうちの60%が完了!」
なんと!
というのも、土作りがきちんとできていることにより、結果的に【いつもきれいで簡単楽ちんな庭作り】が実現するとのこと。
土の中で暮らす微生物の助けを借りて、団粒構造のふかふかの土をつくることが、植物を育てる上でとても大切なんだそうです。
また、土が酸性に偏ったり、アルカリ性に偏ったりすることでも、植物の生育に影響が出ることも教えていただきました。酸性に偏ったときは、石灰を使って中和し、反対にアルカリ性に偏ったときは、昔はピートモスを使っていました。ただ、ピートモスは地球環境によくないことから、使われなくなっていることと、もともと火山性土壌でできている日本では、そこまで必要がないとのことでした。
また、腐葉土と堆肥の違いは、原材料の違い。一般売りされている培養土についても説明がありました。皆さんが今後のお庭づくりでも生かせる知識をたくさん学ぶことができました。特に赤玉土6と腐葉土4で基本の培養土は簡単に作れるというお話はすぐに使える技ですね。
それから、コミュニティガーデン講座はおなじみの府中産腐葉土。
腐葉土は完熟してることが大事で、さらにその土地の微生物が作ってくれた腐葉土であれば、間違いなくその土地での植物栽培に適しているというお話は納得! です。市販の腐葉土の中には、海外でつくられたものも多く、そういったものには海外の微生物が入っているので、合わないこともあるようです。
また、最近話題に上がることの多い『不耕起栽培』についてもお話がありました。不耕起とは「耕さない」ことで、ようは耕さずに栽培するという方法です。これはもともと農業で研究されていた手法で、最近はこれを園芸にも応用しているガーデン関係者が増えているそう。紅葉丘の多年草エリアもこのやり方で育てています。
なぜ不耕起のほうがよいのか。
「耕す」と一時的に微生物層を壊すことになってしまうのが大きな理由です。ただ、耕すことで土壌に空気を入れ、有機物などの栄養素を行き渡らせるという効果もあります。それを不耕起で実現するために、取った草や切り戻した枝などの有機物をマルチングして重ね、今の土壌を破壊することなく、土を良くしていくのです。
コンポストも不耕起栽培を支えるツールの一つになるそうです。ゴミの削減にもなりますし、良い土作りのための腐葉土を自分で作ることができるので、植物好きの講座生の皆さんなら、もうすでにやっている方もいるかもしれないですね。
座学の最後は植えつけに大事な「千鳥植え」の再確認。
なぜ千鳥植えで配置するのか?
・日当たりや通気性が均等になる。
・ 同じ株数を使っても密に見える。
植えつけ時のポイント
・背の高いものは後ろ、低いものは前に配置する
・ 背の高い、目立つ植物から配置する
・カラーリーフは3株づつではなく、ところどころに配置するとアクセントになってよい
・中心を3株決めて、その隣にまた3株という風に位置決めていく
公園へ移動し、みんなの作業で花壇が大変身!
公園へ移動し、2班づつに分かれて一年草の抜き取りと多年草の整理をしました。
野の花花壇には、まだまだ咲いているお花たちがたくさんあります。これをどんどん切ってバケツに入れ、水揚げをしてきます。
「お花が咲いてると切るのがかわいそう~」と、躊躇する受講生に、「切ったお花で、後からブーケを作りますからね~」と、先生のお言葉。ハサミを持つ手が軽くなります。
一とおりお花を摘んだら、抜き取り作業です。
まずは抜き方のレクチャーから。
株元に対して、シャベルを使って口の字になるようにまっすぐ土に刺し、てこの原理で株を持ち上げる。これだと簡単に抜けます。
アオイロフジバカマ、ユーフォルビア、千日紅、トレニアなどの一年草または一年草扱いの植物を抜いていきます。ただし、クリスマスローズやヒメアガパンサス、ヤブランなど、冬を越せる多年草は抜きません。
ここは要注意ですよ!!
また、地上部が枯れ込むピンク色のサルビアは地際から1センチ位残して切り戻します。
一年草を抜き取り、宿根草の一部を地際で切ったら、花壇がすっきりしてきました。ここに腐葉土を入れて、平らにならしたら、植えつけ前の準備完了です。
まずは、先生による、苗の配置方法のデモンストレーション。
1 中心を決め、メインになるパンジー3株を中心から中心までを30センチづつ空けて次の3株を置く。
2 ストックは縦に伸びて横には広がらないので、30センチ空けなくても大丈夫。
3 カラーリーフは端にならないように、一直線に置かず散らすように株と株の間に入れる。
基本をつかんだら、班ごとにわかれて配置です。
このとき大事なのが、「植える場所の中心をみんなで確認しておくこと」です。
そこで、花壇のレンガを端から数え、中心を探して、そこにスコップを立てて全員で確認。そこを中心にバランスを取りながら、配置していきました。銅像や反対側の班との兼ね合いなど、色々なことに気を配りながらポット苗を置いていきます。
考える事いっぱい、相談もいっぱいの皆さんでした。
道路側の花壇は、多年草の整理と球根を植える場所を作るための準備をしました。落ち葉を取り、腐葉土をまんべんなくまいて、土作りをします。
その後球根と苗を植える説明を受け、1人1個づつスイセンの球根を手にし、ここに咲いたらいいなぁと思う場所に球根を置いていきました。
球根の植えつけのコツは、球根の3倍の深さに植えること。ただし、3倍も掘れないところでは、2倍の深さで球根を置き、上からギュッと押し込めて埋めます。深さが必要なのは、地上部の芽が出て草丈が高く伸びてきた時に、根でしっかり支えて倒れ込まないようにするためなんですね。
球根を植えつけたら、こちらも腐葉土をまきます。
●最後にみんなでお楽しみのブーケづくり!
最初に摘んだお花を入れたバケツをみんなで囲み、好きなお花を選んだら、輪ゴムでくるくるっと結んで、かわいいミニブーケが完成。それぞれ思い思いのブーケをつくってビニール袋でお持ち帰りです。あっという間になくなって、ホッと一息つきました。
春にみんなで植え、公園を訪れる人たちを明るい気持ちにしてくれたお花たち。受講生のみなさんのおうちを彩り、最後まで大切にしてもらえたら、きっとお花たちも喜んでくれることでしょう。
1年目の紅葉丘中央公園でのコミュニティガーデン講座、皆様ご出席ありがとうございました。先生方やスタッフの皆様も本当にありがとうございました!!
冬の間のお手入れデーにもぜひ参加くださいね。
2年目の講座開始まで、たくさん愛情を注いで、春の草花の成長をみんなで楽しみに待ちましょう!
文・佐藤益美/編集・小林 渡