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植栽デザインの基本を学び、みんなで冬春花壇のテーマについて考える【紅葉丘】

第5回目のテーマは『植栽デザインの基本と季節のテーマ決め』でした。


ハサミと紙、ノリを使って花壇デザインの基本を学びました。

とにかく暑かった8月。ボランティアデーを挟んでの久しぶりの開催となった第5回は、興味津々の植栽デザインがテーマでした。

今回は班替えをし、少しだけフレッシュな気持ちでスタートとなりました。

まずは軽く自己紹介をすると、それぞれの班でお話に花が咲き、和やかな雰囲気の始まりとなりました。

前回(7月の第4回と8月のボランティアデー)の振り返りでは、ブラジルコミカンソウやハマスゲなど、どちらも暑い中での草との闘い!?や、公会堂へ戻ってきてからのラベンダーを使ったサシュ作りなども楽しみました。

限られた時間の中で、みんなで効率よくお手入れをするための3つの大切なポイントもおさらいです。

1, 茶色い物を取り除く
2,エッジを際立たせる
3,大きな雑草を取る(選択的除草)

雑草をなかなか覚えられない人には、三浦先生から「1種類を決めて取る」とのありがたいアドバイスもありました。

また、みんなでの効率よく作業を行うために、作業シートを使って『今日は何をするのか。何をしたのか』

を全員で共有するといいというお話もありました。

レクチャーのなかでは、生物多様性の話や、草が生える仕組みなども振り返り、取った草を使った『草マルチ』で太陽光を遮り、草が生えるのを防ぐとともに、土をよくする効果もあるという、即実践できるテクニックも振り返りました。

まずはここまでが前回のおさらいです。

7月のアンケートのなかに、

「この暑さの続く中でも、花が咲きよく育つのが不思議です。土作りの時に古い木くずの入った腐葉土を使っていましたが、地中の空気循環や日最近で根の状態がよいからでしょうか?」という質問がありました。

これに対して三浦先生からは、「そのとおりです」とのこと。

コミュニティガーデンの花壇で使っている腐葉土は、すべて府中の落ち葉銀銀行という制度からいただいている府中産の腐葉土。そこに炭を入れて使用しているとのことでした。

有機物と炭を組み合わせることにより、土壌の微生物が活発になり、結果的に植物がしっかり根をはります。これによって、月1回の手入れでも綺麗な景色が維持できる、ローメンテナンスなガーデンが維持できるのです。

それに加えて、谷村先生からは、「野の花花壇の方は、一段下がっていることにより、雨水が溜まりやすく、植物にとっていい環境になっている感じもします」との補足もありました。


さて、ここからは本日の講座、デザインワークについてです。

テキストのP13にデザインワークの流れが載っているので、まずはここを確認。どういう手順で進めて行くのかを把握してから、細かな内容へと移っていきます。

デザインを学ぶデザインワークの流れ

北海道や調布など、実際のガーデンを実例にしつつ、写真と図解で植物の組み合わせがとてもわかりやすく、展開されていきます。

また、調布での事例について、受講生の中で、調布の花壇に携わっている方から直接お話しいただくこともできました。

『平面ではなく立体空間に植物で絵を描くこと』が花壇デザイン

いろいろな植物使って、街の風景をデザインする。なんとも素敵ですね。

その中でも、あらかじめテーマを決めておけば、それに対するカラーも決まるので、花壇づくりや植物選びがスムーズに進められるということも教えていただきました。

みんなで考え、みんなで決める。コミュニティガーデンを作っていく上で、とても大切なことです。

●植栽デザインの基礎知識(テキストP21~27)

ポイント

植物の形や大きさには個性がある→特徴をパーツにして定型化して考える
植物の個性を生かす

→その植物がどっちの方向に伸びるかなど、成長したときの様子を想像しながら
形のパーツとして捉えてデザインする。

ライン(シュンシュンとした線状の葉)、テクスチャー(質感)上級者向き、高さなども考える
→色の組み合わせで変化をつけたり、表情を変えたりすることができる
花色をつなぐカラーリーフなど使うと色の渋滞を防ぐことができる

葉の色とテクスチャーで変化をつける。同じ色合いや形の中に、
異なる色や形の植物が入ると、一気に雰囲気が変わる。

花壇デザインについての一通りの情報を学んだところで、実際に手を動かすワークに入ります。

ひとり1枚ずつ配布された紙には、花壇と植物を模したパーツが書かれています。これをハサミで切り取り、植物の形をどうやって捉えるのがよいのかを考えつつ、植物の配置について考え、自分なりの花壇デザインをつくっていきます。

この段階では、細かな植物名は限定せず、植物を形で捉えて配置する練習です。

お金もかからず、デザインの基礎を考えることもできて、工作気分で楽しいお勧めの方法です。

これなら、季節も場所も関係ないので、いつでも自宅で取り組めそうですね。


皆さんとても真剣! 植物のパーツを切って、何度もいろんな場所に置いて確かめている方、
一発でのり付けする方など、それぞれ個性が溢れていましたよ。


自分のデザインが完成したら、今度は他の人たちがどんなデザインをつくりあげたのか、
見て回りましたよ。


「背の高い植物をどこに配置するかが、それぞれ個性的」

「グループで何となく似てる!」

「あれ?こっちの方がいいかな?ちょっと直そうかな~」

花壇の外にも配置してみたり、と

良い悪いや正解もなく、パーツを配置するだけでたくさんのデザインが生まれることを実感できます。

「慣れてくると、これをもとにガーデンの絵を描いたり、頭の中でデザインをイメージして
平面図にすることもできますよ」とのこと。そこまでいけるといいですねー。


いろいろな人が集まるコミュニティガーデンでは、植物知識のレベルが違うことも当然あります。しかし、

植物を形で捉えてデザインする方法なら、レベルの違いにかかわらず参加でき、決まったあとから、形と色にあった植物を探す、という逆引きで組み立てることができます。

これなら、みんなで花壇デザインに参加できますね。

地域のみんなで育て、楽しんでいく上では、こういった工夫がとても大切になってくると思います。

受講生の皆さんも熱心に聞き入っていました。


それぞれのデザインが完成したところで、公園移動します。

まずはガーデンツアー。前回、ボランティアデーのときの花壇の様子をみんなで思い出しながら、パッとみた印象を三浦先生から伝えていただきました。

「野の花花壇は、もともとあったアオイロフジバカマ(ユーパトリウム)もよく育ってきて秋の景色になっている」
「道路側花壇は、日当たりが強いところの雑草も抑えられており、皆さんの夏の手入れが功を奏している印象」
とのこと。おおむね順調です。

お手入れに入る前に、先生から1つ質問が。

「なぜお手入れが必要なのでしょう?」

答えは、綺麗にするため!

これをみんなで共有し、短い時間で見た目をきれいにしていきます。
優先順位をつけて15分くらいで行うやり方は振り返りでも出ましたね。


多年草の切り戻しと枝透かしのポイントは
『ちょうどいい高さにもどす。倒れこんだ植物を切り戻して自立させること』

一年草花壇について、谷村先生からお話がありました。

「今の日本では、夏に強い一年草を植えることが大切、今年の夏はニチニチソウ、ジニアなどがとても元気に育った一方、これまで夏の一年草と呼ばれていたマリーゴールドなどは、暑さにやられていました。近年、夏が35度を超えるようになっているので、千日紅、ユーフォルビアダイアモンドフロスト、アンゲロニアなど、暑さに強い植物を何種類か植えておくと失敗がないとのことです。

今年の夏も一年草には過酷でした。
夏を乗り切った草花の茶色いものを取り除いて切り戻します。

一年草花壇の今日のお手入れをまとめてみました。

クリスマスローズ
葉が茶色になっても、8月いっぱいまでは切らずにおいて葉焼けが広がるのを防ぐ新芽がまだ出ていない株は周りの茶色いところだけ取る

サルビア
花穂が多少あっても、切り戻すことにより次回のお手入れまで綺麗な姿に元気なわき目が出ているところの上を切るように

ジニア
前回同様、真ん中の雄しべが黒くなったものは切る
倒れたものは地際から切る、根の方の土を荒らしてしまうので根からは抜かない

アンゲロニア 
サルビアと同じ

千日紅
花がら半分くらいになったものは切る

アオイロフジバカマ
他の植物を覆うほど生育旺盛なので、切り戻して周りの植物が見えるようにする

トレニア
こぼれ種で増えてきたものも見えるよう、周りの植物を少し切る

一年草が大きく成長しているので、前回は目立った草がほとんどありません。それでも出てきたものは抜いておきます。また、切り戻しの際は、切る箇所についてや、どのような状態のものを切るべきなのか、受講生全員に切ったものを実際に手渡し、おぼえられるようにしてくださいました。

秋のお手入れは、夏と違い、これからどんどん温度が下がるため、あまり切りすぎないのがポイント。

デモンストレーションとして先生方が切り戻す作業を、みんなで見ながら学んでいきます。

道路側の宿根草のお手入れもまとめてみました。

キャットミント
上に伸びているものは茎をもたない
これから寒くなっていくのでこの時期はばっさり切り戻しはしない
土に触れていると病気になり、株の中心部分の風通しも悪くなるので
倒れている枝から少しづつ切り、起き上がって自立ようにする
飛び出しているところはそこだけ切る
他の植物やエッジにかかっているものは、際から切るとこんもりとした形になる

ルドベキア・リトルヘンリー
倒れかかっている株は、まわりの枝を少しづつ切りながら、自立するように
切る時は、元気な葉の上で切る

ツルバキア、カラミンサ、アナスターシアなど、他の多年草についても、頂芽優勢の性質を考えながら切り戻す方法を実践をしながら教えていただきました。

ここで受講生から「倒れた植物に支柱はつかわないのですか??」という質問がありました。

「時と場合によって、枝などを使って支柱をするときもありますが、できれば、人工的な姿ではなく、切り戻しによって自然な景色を作ったほうが、よりきれいだと思いますよ」とのこと。ひもでくくると風通しが悪くなったり、見栄えが悪くなることも多いので、切り戻しによる自立がおすすめだそうです。

さて、先生のレクチャーのあとは、いよいよ班に分かれてお手入れです。

作業シートに今日の作業内容を記入して、野の花花壇と歩道花壇に2班ずつ入りました。


作業シートを書いてから作業に入ると、班での作業が明確になり、効率アップ!

花壇半分お手入れが終わったら、花壇を交代して、一年草花壇と多年草花壇の両方を全員がお手入れしました。

「この切り戻しやってみたい人?」

「ここは少し軽く風通しを良くしましょう」

など講師の声掛けに積極的に「やってみます!」の声が出て、お手入れのコツを身につけようという熱意であふれていました。

また、この日も強者ハマスゲとの戦いは続きました。

ハマスゲは地下茎を残さずに取ることで、少しずつ減っていきます。さて、次回はどうなるのか……。

切り戻しや草取りが終わったら、日当たりのよいところに、ハマスゲ以外の草を5~10㎝に切って土が見えないように置く、草マルチも実践しました。

キャットミントの切る箇所に悩んでいる受講生には、先生から

「引っ張らずに、自然の形を見ならがら切るところを決めるといいですよ。こんもりした本来の姿からはみ出ているところだけをチョンチョンと切って形を整えてみて」

「はい、いいですね~。」と講師からの嬉しいお言葉も出て勇気が湧きますね!
実際にやってみて目に見えて実感できると、身についていきます。


「植物たちが立ち上がってきて楽しい」そんな声も聞こえてきました。


片付けを終えたらみんなで集合して、季節のテーマ出しをしました。

班ごとに分かれて、この場所をどんなイメージにしていきたいのか、個々に付箋に書き出します。それを班のなかで共有し、班ごとに発表しました。

冬(11月植え付け)から春(5月抜き取る)までの季節が変わる期間。
皆さん悩みながら、イメージを考えていました。


班ごとの発表の様子。たくさん出てきた個々のイメージをまとめるのはなかなか難しい作業です。
発表がおわるとちょっとホッとしますね。

皆さんの色々なイメージが出そろい、次回はそれを一つにまとめあげ、テーマカラーも決減る予定です。

どうぞ、お楽しみに!

文:佐藤益美/編集:小林 渡

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