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『植栽ワーク』で一気に華やぎ、素敵になった、みんなの紅葉丘中央公園

2回目を迎えた紅葉丘の府中コミュニティガーデン講座。

今回は、早くも植えつけの実践となりましたが、普段なかなかお目にかかれない、華やかでセンスの良い植物たちとの出会いがありました。

●まずは、紅葉丘公会堂に集まっての座学からスタート。

今回から初めて参加となった3名の方々から、お名前、お住まいの地域、参加動機など、自己紹介をしていただき、全体の一体感を共有。お花に対する皆さんの熱い想いを受けて、今日も温かなコミュニティガーデンになりそうな予感です♡。

講師の三浦先生から、前回の振り返りとして、コミュニティガーデンから始まる緑のまちづくりについての説明がありました。

みなさんと一緒につくっていきたいということ。そして、みなさんが自宅のお庭をきれいにしていくことや、まちづくりに繋がっているということなどもお話しいただきました。

続いて谷村先生からは、第1回目で紅葉丘中央公園を見たときに、皆さんから出していただいた「この公園をどんな風にしていきたいか」という想いを紹介していただきました。

谷村先生が、ガーデン予定地を見た皆さんの思いをとりまとめてくださいました。

コミュニティガーデンでは、参加するメンバーの想いをガーデンに反映させるために、「飛行機モデル」という手法を使います。これは、いうなれば皆さんの思いを「ガーデンづくりの推進力」に変えるとっておきのテクニック。飛行機モデルは、内部条件と外部条件に、参加するメンバーや周囲の人たちを含めた愛情や想いが加わって、強い推進力になります。

前回、約30名の受講生の皆さんがどんな想いを描いたのかざっくりまとめてみると……

・四季折々の季節感があって、いろいろな花々が咲く明るい華やかな花壇に

・紅葉丘ならではの独自の映えスポットに

→地元出身で昭和に活躍し、童謡『ぶんぶんぶん』の作詞家としても知られる村野四郎さんにちなんだ、子どもたちが楽しく遊ぶ築山など)

それらのアイデアをもとに、先生方が植栽デザインをし、植えつけるための植物を選んでくださいました。これはこの後、実際に公園に行って植えつけ作業をすることとし、まずはそのための植えつけ方法のレクチャーです。

●花壇に草花を植える際は、「千鳥植え」が基本。

千鳥植えとは、千鳥が歩く姿と同じように、苗をジグザグに配置していく植え方です。

公共の花壇などでは、田の字のように苗をまっすぐ均等に植えるケースも多いのですが、千鳥植えにすると、均等に植えるときよりも少ない苗で空間を埋めることができます。そのほかにも、苗同士の感覚が一定なので、風通しや日当たりが均等になりやすいというメリットがあります(受講生の方は、テキストの35ページ下をおさらいしましょう!)。

実際に植えつける際は、以下のステップをたどります。

1. ポットよりも一回り大きな穴を掘る

2. ポットの周りを少し揉んで、株元を人さし指と中指の間に差し入れ、2本指で支えてひっくり返す

3. 今回は根をほぐさず、掘った穴に苗を入れ、土をかぶせる(苗によっては根をほぐすものもある)

4. 苗のまわりの土を平らにならす

植えつけ後は、たっぷり水やりが基本です。

三浦先生や谷村先生からは、「1株につき、10秒たっぷり水やりしてください」とのこと。

根鉢の底までしっかり水が行き渡ることで、根が地下にある湿った層まで伸びるのを助ける役割を果たします。一度根が地下の湿った層までたどり着けば、その後は水やりをしなくても、雨水だけで管理でき、結果ローメンテナンスな花壇となります。

植えつけ時にたっぷりと水やりすることで、
根が地下の湿ったところまでしっかり伸びていくことを図で説明する三浦先生。

座学を手短に終えたら、受講生みんなで講演へ移動。いよいよ植えつけ作業です。


●公園に、ついに新しい植物が植えつけられる!

道路に面した長い花壇は、前回はツツジなどの街路樹が植えられていたエリアですが、府中市の公園緑地課の皆さんのおかげで、ふかふかの花壇になっています。また、「野の花」の銅像の下は、ナデシコやチューリップなど、春の草花が植えられていましたが、これらもきれいに片づけられ、代わりに先生方がたくさんの苗を仮置きしてくださっています。

花壇のまわりに集まった受講生に、先生たちから植栽デザインについての説明がありました。

紅葉丘中央公園で先生方の説明を聞く受講生の皆さん

どんな植物を選んで、どう植えたらセンスあふれる見栄えのよい花壇になるのか?

みんな気になるところですよね! やっぱり皆さん熱心に聞き入っていました。

先生方からいわれた植栽デザインのポイントは次の通り!

1植物の将来的なサイズや育ち方などに合わせてグループ分け

2背の低いもの、こんもりしたものは手前、高いものは奥

3「野の花」の銅像に合わせて、蜂が来る植物と風に揺れる野の花イメージの花をチョイス

4三角形の連続をつくって千鳥植えに

5ユーフォルビア・ダイアモンドフロストなど、小さくチラチラと揺れるものがお花の間に入ると、上品で軽やか、またはかわいらしく華やかになる

6ピンク系ブルーとイエロー系の2つの色を効果的に配置している

7たくさんの種類を入れることで病害虫などからの全滅を防ぎ、多種多様な生物を呼び寄せる

8とはいえ、大きさや株数など最終的に、現場に合わせて調整。これを「現場合わせ」という!

「野の花」の銅像の下に仮置きされた草花のポットたち。

ちなみに、「野の花」の銅像の下の花壇は、宿根草に一年草を入れ、華やかさを出したとのこと(野の花像なので風にそよぐ感じの野の花も入れた)。あんず通りに面した道路側の花壇は、宿根草のみで一年を通してさまざま花や草姿が楽しめるローメンテナンスな花壇にしたそうです。

先生方からデザインについて説明があると、参加者からも積極的に質問が飛びだし、先生方もそれに答えていました。

受講生「日陰を好む植物が日向に配置されているのでは?」

先生方 →環境に適応するものもあるので、まずは様子をみましょう。

受講生「希望の花を入れたいです!」

先生方 →今後の講座でデザインなどを学んだ後にやりましょう。

秋の植え替えの際は、受講生の皆さんに自分たちで花壇のデザインワークをしながら、植物選びもできるので「乞うご期待!」とのこと。今後の講座ががぜん楽しみになってきますね!

公会堂でパワーポイントで学んだことを、谷村先生がデモンストレーションで実際の植えつけを見せてくださいます。その都度、受講生の方々から先生方へ質問が飛び交い、この講座に対する皆さんの熱い想いと愛を感じました。

谷村先生のデモンストレーションとレクチャーを聞く受講生の皆さん。


●デモンストレーションで理解したら、いよいよみんなで植えつけ。

でも、実際にやってみると、いろいろな疑問に浮かび、その都度声をかける受講生に対して、先生方が丁寧に教えてくださいます。

受講生「先生、ポットの根鉢は崩したほうがよいのですか?」

先生「1年に一度しか咲かない花は、植えつけ時に根を崩してしまうと、その年に咲かないことが多いので、そのまま植えましょう」

などなど。

みんなで植えつけ作業! 銅像も心なしか嬉しそう?

植えつけ作業が終わったら、花壇のまわりのお掃除です。

先生曰く「ガーデンニング作業はお掃除が大事!」とのことで、受講生の皆さんは、それぞれ花壇のまわりの土や落ち葉など、丁寧にきれいにしていました。

中には自前の小さい竹帚で細かなところまで綺麗にしてくださる方もいて感激。植物への豊かな愛情を感じました! やっぱりきれいにすると花壇もうれしそう。輝いて見えます。

さらに、植物の根元を腐葉土で覆う“マルチング”をしました。この腐葉土は、府中市の「落ち葉銀行」という制度から提供されたもので、市民が集めた公園などの落ち葉を市に回収してもらい、後から腐葉土として受け取れるというもの。ちなみに、マルチングをすることで、株元の表土を守ることができ、これからの高温が続く季節でも、土壌の乾燥からくる水不足を防ぐ効果が期待できます。そのため、道路やレンガのそばなど、日ざしの照り返しが強いところは多めにマルチングをしました。

マルチングが終わったら、みんなで水やりです。

じょうろの水圧が強いと、株元の土がえぐれてしまうので、ジョウロの先を手で押さえて、水流を弱めるのがコツ。こういった先生からの助言も、一つ一つしっかり実践です。

ジョウロにハス口がない場合は、先端を手で押さえて水流を押さえる。1株あたり10秒たっぷりと。

1株10秒ごと、しっかり水やりをしたら、最後は全員でふせんに今日の感想を書き出して、即席の班ごとに意見をまとめて発表しました。

「これまで植えつけたことのない大量の苗と、見たことのない色の花にびっくりでした」

「一人では大変だと思うけれど、みんなと一緒に植えると楽しくあっという間だった」

「とても素敵な景色になったので、足を止める人が出てくるはず!」

「これから紅葉丘中央公園に来るのが楽しみになりました」

などなど。

ひとりでやるのではなく、みんなで考え、みんなで話し合い、みんなでつくって、楽しむのがコミュニティガーデンの神髄です。

皆さんが協力しあう姿と笑顔に、コミュニティガーデンの素敵さを感じながら第2回目は終了となりました。

皆さん、自然と笑顔がこぼれます!


文・佐藤益美/編集・小林 渡

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