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台湾茶を嗜む

台湾式喫茶セットを衝動買いした。

雨が続きむしゃくしゃしていた週末、近所の台湾のお茶屋さんへ足を運び、鉄観音をご馳走になった。
店員さんのお茶を淹れる所作が美しく優雅で、この台湾茶沼(であろうと直感した)に足を突っ込んでみたい欲が突如爆発した。

お店に置いてある茶葉を一通り説明してもらい、情報量の多さに溺れながらも、どうやら中国式の茶葉と台湾式の茶葉があるらしいこと、茶葉は若いほど安く、年代物は高いということを学んだ。

印象的だったのは、餅茶というもので、プーアールの茶葉が平たい円状にぎゅっと詰められているのだが、これを半分に割り、片方は今楽しむ用に、もう片方は何年、何十年とたった後に楽しむ用にするそうだ。時の変化を茶葉から感じ、異なる美味しさを楽しむらしい。なんと趣味がいいのだろう。残念ながら、その茶葉はたっぷり100gで15000円くらいしたので素人の私は怖じ気づいてしまった。

そうして一番安い新茶の茶葉を手に取る。
それでも20g2500円ほどするので、どうせなら美味しく淹れてしっかり味わいたいと思い、茶器についても伺った。

台湾茶を嗜めるような、小さな急須を持っていないと話すと、熱が逃げるからできるだけ小さいので淹れるべきと諭され、一押しの蓋椀を見せていただく。私はこれまで知らなかったのだが、蓋椀は急須のように使うらしい。上にある蓋は、飲んでいるお茶が冷めないようにある蓋ではなく、茶葉を抑えるために使うのだ。
親指と中指で椀を持ち、人差し指で蓋を抑えてじゃーっとお茶を注ぐ。
繊細な蓋椀に、大胆な淹れ方が良い。
蓋椀は、急須のようにすぼまって洗いにくいところがないのも実用的でまた良い。
私は気に入って、購入を決意した。

さらに、お店に入ったときから気になっていた、黒い筒のようなマットな茶碗と、真っ白の素地に青い光が刺す青磁の茶碗もひとつずつ買ってしまうことにする。

これでばっちり、おうちでも台湾茶を楽しむことができる。

淹れ方としては、私の購入した野放烏龍だと、3gぐらいの茶葉に、100ccのお湯(沸騰からすこし冷まして90℃ぐらいのもの)を、1~3回目はお湯を入れたらすぐ注ぐ勢いで淹れ、4回目以降は10秒ずつ蒸らす時間を伸ばしてお気に入りの濃さを探すように淹れるよう教わった。

実際に試してみた結果は以下のとおり。

1回目
白湯に近いが、お茶の香りがふわりとする。
純粋に香りを楽しむことができる。

2回目
さっきより風味がしっかりとする。
こっくり、栗のような味わいを感じた。

3回目
さらに風味というか、味覚をしっかり感じられる。
コクがある。

4回目
蒸らしの時間が加わるのでいよいよ自分好みにカスタムできるのが楽しい。
10秒おくと、味に安定感があり、なんというか、比較的飲み親しんだお茶、感がある。繊細さは薄れた。

ここで限界がきた。お腹いっぱい。
100ccのお茶を少しずつ、くいっくいっと400cc、一気に飲むと結構苦しい。
次がどんなお茶になるのか楽しくて、わんこそばのようにかっ食らってしまったが、もう少しゆっくり味わってもいいのかもしれない。
しかしお茶は熱いのがやっぱり美味しいので、一度淹れたら一気にいくべきである。自分の良いペースを見つけて、うまいこと味わっていきたい。

さらに、残った茶殻は、食べてほしいというお話をされた。こだわって作られた無農薬の茶葉で、土にもこだわっているのでと。茶殻は乾燥させ、塩と混ぜて茶塩にしたり、豚肉と合わせて蒸して臭みをとったり、ワンタンや餃子など蒸し物にいっしょに包んでも美味しいそう。あとは消臭剤としても使えるとか。無駄にしないマインド、すばらしい。

そんな感じで、私は台湾茶を嗜みはじめた。

今後旅行にいったら茶葉を探したり、茶器を漁ったりするんだろうなあと思うと、またひとつ楽しみが増えた。

合計16000円くらいのお買い物で、日常のなかにゆったりお茶を飲む時間が作れるのだから、そんなに高くないのかなと思う。思うことにする。

どれも作家さんの個性があって、茶器は結構お気に入り。

大切に、お茶と時を刻んでいこう。

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