【小説】人を感動させる薬(7)
(前回)人を感動させる薬(6)
年が明けると、映画化されたエル氏の作品がテレビで全国放送されることになった。
このことに関しては、どう頭をひねってもお茶の間のテレビ一台一台に『人を感動させる薬』を仕込むことなど不可能なため、ジェイ編集はなんとかもっともらしい理由をでっち上げて猛反対し、テレビ放送を阻止するため再び『人を感動させる薬』を提案書に仕込んで関係者にプレゼンして回った。
しかしながら、製作委員会の中にはテレビ局もメンバーに入っており、ヒットした場合は放映権を独占