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【小説】人を感動させる薬(全13話完結)

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とある出版社の編集者であるジェイ編集は、ある日『人を感動させる薬』を手に入れた。 彼の担当する売れない若手小説家エル氏の駄作を大ヒットさせるため、ジェイ編集の戦いが今、はじまる・… もっと読む
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【小説】人を感動させる薬(いっぺんに読みたい人向け)

#創作大賞2022 約20000字(500字/分で読んで40分程度) 「叔父さん、例の薬は用意できていま…

acros
2年前
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【小説】人を感動させる薬(1)

「叔父さん、例の薬は用意できていますか。」 叔父のケイ博士の研究室をたずねたジェイ編集は…

acros
2年前
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【小説】人を感動させる薬(2)

(前回)人を感動させる薬(1) ジェイ編集の担当している若手小説家のエル氏は現在スランプ中…

acros
2年前

【小説】人を感動させる薬(3)

(前回)人を感動させる薬(2) 「はぁ。エル先生には困ったもんだ。」 エル氏の住むアパート…

acros
2年前
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【小説】人を感動させる薬(4)

(前回)人を感動させる薬(3) そしていよいよ、エル氏の三作目が本屋に並んだ。 デビュー作…

acros
2年前
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【小説】人を感動させる薬(5)

(前回)人を感動させる薬(4) そのうち、エル氏の三作目の小説を映画化したいというオファー…

acros
2年前
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【小説】人を感動させる薬(6)

(前回)人を感動させる薬(5) ジェイ編集が忙しい日々を過ごすうち、世間はいつのまにか年の瀬を迎えていた。 ジェイ編集の出版社では年末になると、ホテルのホールにて作家を含めた出版社の関係者を集めての忘年会が催される。 皆がグラスを手に乾杯したあとは、今年活躍した作家らが壇上でスピーチすることになっており、エル氏も初めて今年活躍した作家の一人としてスピーチした。 エル氏のスピーチ原稿を事前にジェイ編集が確認した時、エル氏の自信過剰な性格から予想された通りかなり尊大な内容

【小説】人を感動させる薬(7)

(前回)人を感動させる薬(6) 年が明けると、映画化されたエル氏の作品がテレビで全国放送さ…

acros
2年前

【小説】人を感動させる薬(8)

(前回)人を感動させる薬(7) テレビ放送の一件はエル氏にとってかなりショックだったらしい…

acros
2年前
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【小説】人を感動させる薬(9)

(前回)人を感動させる薬(8) ジェイ編集がエル氏に本当のことを告げたのは、単に頭に血が上…

acros
2年前
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【小説】人を感動させる薬(10)

(前回)人を感動させる薬(9) ジェイ編集がエル氏に『人を感動させる薬』のことを打ち明けた…

acros
2年前

【小説】人を感動させる薬(11)

(前回)人を感動させる薬(10) エル氏が一日中ゲームばかりして次回作に手を付ける様子が無い…

acros
2年前
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【小説】人を感動させる薬(12)

(前回)人を感動させる薬(11) 今日もジェイ編集はエル氏のアパートを訪れた。 今日はいつも…

acros
2年前
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【小説】人を感動させる薬(13完)

(前回)人を感動させる薬(12) 次の日、ジェイ編集がエル氏の家を訪れると、部屋の明かりがついており、エル氏は机に向かって思案していた。 パソコンの画面はいつものFPSゲームではなくワープロソフトの画面だった。 キーボードを打ちながらエル氏はジェイ編集に語りかけた。 「ジェイさん、どうやら僕はこれまでひどい勘違いをしていたようだ。 もともと僕が純文学にこだわっていたのは、純文学がエンターテイメント小説よりも高尚なものだと思っていたからだ。 純文学小説家として人間の