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認知的ウォークスルーとは?ワークショップ参加レポート

ワークショップ「ヒューリスティック評価と認知的ウォークスルー」に参加し、ユーザビリティ評価の手法について学ばせていただきました。
個人的に特に興味深かった「認知的ウォークスルー」について、備忘録として残しておこうと思います。
参加させていただいたワークショップはこちら▼

ユーザビリティの評価手法とは?

そもそもユーザビリティの評価手法には、大きく分析的手法と実験的手法の二種類があります。二者の大きな違いは、評価にユーザーが関与するかどうかという点です。

分析的評価(インスペクション)の特徴
・主観的評価
・評価結果は仮説に過ぎない(大事!) など
実験的手法(ユーザーテスト)の特徴
・客観的評価
・評価結果は事実 など

そして、分析的評価の代表的な手法が「ヒューリスティック評価」や「認知的ウォークスルー」になります。

詳しくはこちらを。とても勉強になります!▼

認知的ウォークスルーとは

人間がどのようなステップで物事を認知し行動するか、という認知プロセスを拠り所としてユーザビリティの評価を行う手法が「認知的ウォークスルー」です。

私は少し前にiPhoneを機種変したのですが、iPhoneって操作マニュアルとかついてないですよね。とりあえず電源を入れて、色々触っているうちに操作方法を覚えていくと思います。

このような、マニュアルを見ずに自分の経験に基づいて製品を使いながら使い方を学んでいく、という認知プロセスを「探査学習」と言います。
プロセスとしては、「誰のためのデザイン?」にある「行為の7段階理論」とほぼ同じ内容ですね。
探査学習のプロセスは大きく4つのステップに分けられます。

1:目標設定(何かをしようと思う)
2:探査(目標に対応するオブジェクトを探す)
3:選択(行動する)
4:評価(目標が達成できたか確認する)

例えば、友達のスマホで写真をとる、というシーンを思い浮かべてみると、以下のようなステップになります。

1:シャッターを押したい(目標設定)
2:シャッターらしきものを探す(探査)
3:シャッターらしきものをタップする(選択)
4:シャッター音がしたので写真が撮れたとわかる(評価)

認知的ウォークスルーでは、この4つのステップを下記のような質問項目に変換することでユーザビリティを評価します。

1:そもそもユーザは何をするべきかわ かっているだろうか?(目標設定)
2:ユーザはインタフェースを探索してやり方に気付くだろうか?(探査)
3:ユーザは目的と正しい操作方法を関連付けられるだろうか?(選択)
4:システムのフィードバックから、ユー ザ操作が順調に進んでいることがわかるだろうか?(評価)

ひとつひとつのタスクについて上記の問いかけを行い、問題のある箇所がないか、問題がある場合は何が問題なのか?を確認することで、ユーザビリティ上の問題点を洗い出していきます。

認知的ウォークスルーを行うときの事前準備

認知的ウォークスルーを行う際には、事前に以下の3点を定義することが必要です。想定するユーザーが想定する手順通りにタスクを実行することができるか?という観点で評価をしていきます。

1:想定ユーザーの「技能や経験」
2:ユーザーのタスク
3:「操作手順」と「画面」

認知的ウォークスルーの実施には比較的時間がかかるので、大事な機能に絞って行うのが良い、とのことでした。

認知的ウォークスルーを行うメリット

ワークショップの中で、認知的ウォークスルーを行うメリットとして以下の3点が挙げられていました。

・設計者でも(比較的)客観的に評価できる
・新たな要求開発に繋がる可能性
・設計初期段階で用いると効果的

デザイン初期の段階でウォークスルー評価をしてみるのは良さそうだなと思ったので、今後デザインフローに取り入れてみたいと思っています。

デメリット|インスペクションは仮説にすぎない

しかしながら、認知的ウォークスルーを含むインスペクション(分析的手法)にはデメリットもあります。それは、「評価が主観的である」という点です。

講師の樽本さんは、「インスペクション(分析的手法)から得られる課題は仮説でしかない」ということを繰り返し仰っており、今回のワークショップの主題のひとつはそこなのかな、と感じました。
主観的評価からは論争が生まれやすく、結果として納得する結論に至ることが難しいので、客観的な評価(ユーザーテスト)をするべき、ということですね。
ユーザーテストを中心に行い、それを補完する形でインスペクションを行うのが良さそう、ということを教えていただきました。

UIデザインスキル向上のために

デメリットがあることを理解しつつも、分析的観点をもってデザインすることは大切なことと思います。

ユーザビリティ上の問題点を見つける能力を向上させるには、UIはこうあるべきという知識(認知心理学や様々なデザイン原則)を身に付けるのが早いということでした!
学ぶことめちゃくちゃいっぱいありますが少しずつ勉強していこうと思います。

デザイン原則について参考になるサイト▼


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