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あなたは料理派?掃除派?・その1

 家事の得意不得意や好き嫌いについて話していると、気がつくのは料理が得意な人と、掃除が得意な人は別だと言うことです。「新しいカテイカ研究会」を始めたメンバー3人も、料理が得意ですが、掃除は苦手だと分かりました。家事全般について考えると言いつつ、掃除は苦手ってどういうことでしょう(笑)。

 なぜ、料理が得意な人は掃除が苦手で、掃除が得意な人は料理が苦手なのでしょうか? もちろん、「家事全般全部好き」という人もいるでしょうし、「家事と名のつくものは全部嫌い」という人もいるでしょう。みんながきれいに2派に分かれるわけではありません。でも、一般的に、この二つは両立が難しい傾向はあるよう。なぜ、分かれるのでしょうか? 今回は、その理由について考えてみたいと思います。

 初回のこの記事では、自分も入る料理派の理由を考えてみたいと思います。カテイカの創設メンバーについて考えてみます。有賀薫さんは、今とても人気が高いスープ作家です。まるで爆発したみたいに、さまざまな媒体でスープのレシピを発表し、次々とレシピ本を出すのはすごいなと思ってみていますが、そのアイデアはクリエイティブそのものです。

 伊藤尚子さんは、レシピ文化研究家を名のって活動していますが、料理人であり、料理を教える人でもあります。得意なのは台湾料理で、毎年のように台湾へ通い、料理を研究しています。点心を特に熱心に研究しているそうです。自分で料理を考えて人に提供する、教える、それもクリエイティブなお仕事です。

 私は、作家・生活史研究家の肩書で仕事をしています。おかげさまで、ここ数年は毎年本を出しています。それは、自分で言うのもなんですが、やっぱりクリエイティブ系です。

 料理が好きな人は、自分で何かを考えて生み出すことが得意な人が多いのではないでしょうか? 『ずらり 料理上手の台所』という本がありましたが、ここに出てくる人は、デザイナーなどクリエイティブ系の仕事の人が目立ちました。そういえば、いつもおいしい料理を出してくれる私の叔母も、デザイナーです。料理上手なことが伝説化している向田邦子さんも、売れっ子の脚本家であり作家でした。

 でも、料理上手は必ずしも、仕事に結びついているとは限りません。仕事はたまたまクリエイティブ系ではないけれど、何かをつくる趣味を持っている人や、報酬はもらっていないけれど、主婦で料理上手な人もたくさんいます。一昔前まで、料理研究家はそんな主婦たちの中から生まれてきていました。栗原はるみさんだってそうですし、小林カツ代さんも、大御所の城戸崎愛さんもそうです。小林カツ代さんは料理研究家になる前、カードデザイナーになろうと学校に通っていました。

 料理は家事の中で最もクリエイティブなものです。私はうつがひどかった頃、そのために料理が全くできなくなっていました。どんな料理を出すのか、どんな献立にするのか、何を食べたいのか、まるで考えることができなくなっていたのです。

 あり合わせでつくるにせよ、材料を選んで買うところから始めるにせよ、どのような食材を使い、どんな調味料で味つけし、どのようなプロセス(焼く、煮るなど)で仕上げていくのか、一つ一つ考え組み合わせてつくりだしていくのです。

 「料理をつくる」と言いますよね。まさに、つくるのです。そのままでは食べられないものを、バラバラな状態では特に魅力的ではないものを、組み合わせておいしいものに仕上げる、その仕上がりのイメージがあるからこそ、料理は上手につくれるのです。逆に、イメージがない場合は、おいしく仕上げるのは難しくなるでしょう。味つけが苦手だと言う人がいます。もしかすると、イメージが十分にないのかもしれません。初めてつくるもの、食べたことがないものを料理するのは難しいですよね。それは、イメージがなかったりぼんやりしていたりするからです。

 何かをつくることが好きな人は、料理が得意か、その可能性をいっぱい持っている人と言えるのではないでしょうか?

 

 

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