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料理上手のレベルとは?

 先日、友人たちとご飯を食べていて、「何をもって料理上手とするのか」という話題で盛り上がりました。

 もちろん、家庭で写真のような懐石料理をつくれる人は、料理上手なのに違いありません。レストランで出されるような手が込んだ料理をつくれる人は、だいたい料理上手だと言われます。

 レパートリーが多い人も、ほめられます。冷蔵庫のあり合わせであっという間に何品も料理を出せるとしたら、すごいですよね。「名前のない料理」ができると、なぜか料理がうまいと思われます。

 でももし、その料理が見栄えが良くても味がいまいちだったとすれば? 野菜が固かったり、肉が焦げ付いたりしていたら? もっと言えば、風邪で体調が悪い人に、こってりした脂たっぷりの肉を出す人は? 幼い子供に大きく切った野菜をすすめたら? 入れ歯をしているおじいちゃんに、かみ切りにくい肉を出すとか? 

 家庭料理、という分野に限定すれば、本当の料理上手は、必ずしもレパートリーが多彩な人でも、手が込んだ料理をつくれる人でもないのではないでしょうか?

 きっとその人は、一緒に食べる人が好きなものを、食べたいものを的確に出せる人です。いつもでなくてもいいのです。やりくり上手です。場に合ったものをちゃんとつくれれば、レパートリーがたくさんなくても、手が込んだものをつくれなくても構わないと思います。

 もしかすると、手が込んだものは、たまの機会にでもお店で食べられたらいいのではないでしょうか? そうすると外食も特別感がましますし、家でいろいろと感動を呼ばなくてもいいと思えば、単純な、あるいはマンネリな食卓が、意外といつも同じわが家の安心できる味になるかもしれません。もちろんそれは、ちゃんと素材に火が通り、焦げたりしていない、家族の好みの味付けで、好みの固さになっているのです。そんな決めになる料理を一つ二つマスターすれば、食卓は案外回していける。それは困ったときに助かる助っ人料理ともいえます。

 ルーチンの食卓を「当たり前」とか「ありがたい」と思わせることができたら、もしかすると、そのときこそあなたは本物の料理上手になったと言えるのかもしれません。


 

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