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取扱説明書は読みますか?

 先日、掃除をめぐって夫とケンカになりました。発端は、季節の変わり目になり、ふえた「抜け毛が洗面所に落ちていて気になる」、と夫が言い出したことでした。掃除がもともと嫌いで、幸か不幸か最近急激に目が悪くなって、細かい汚れが見えづらくなった私は、特に気にしていなかった。

 わが家で掃除機をかける掃除は週に1度しかありません。二人で分担する部屋を決め、それぞれが掃除機をかけます。前は週に二回やっていましたが、スケジュールの調整が面倒なのと、何より掃除をするモチベーションが上がらないので、結局ストレスをあまりかけずに掃除する現実的な頻度は週一回ということになったのです。

クイックルワイパーの説明書き

 掃除機をかける頻度は高めたくない。でも、髪の毛が気になるなら対処しなければならない。と思った私は「クイックルワイパーがあるから、シートを買ってくればそれで気になるときに掃除できるよ」と提案しました。それで、シートを買ってきて、入浴後にクイックルワイパーをかけたのです。

 ところがそれでもまだ髪の毛はたくさん落ちていたらしく、夫は「ちゃんとできてへんやん」と、私が掃除した洗面所をさらにクイックルワイパーをかけたのです。そのダメ出しにカチンと来てしまった私は怒りだし、ケンカになってしまいました。お恥ずかしい……。

 翌日、まだ自分がダメ出しされたことに傷ついていた私は、夫が「これ使い方の説明を読んだか?」と言いだしたとき、さらにダメ出しされるのかと思って「説明書なんて読まへん。女の人は取説なんて読まへんもんやねん!」と開き直って言い張りました。

 夫に根気よくなだめられて、ようやく自分がもう責められていないことを納得した私に、夫は言うのです。「『使用上の注意』のところに、『シートは吸水性がないので、ぬれた所には使わない』ってあるねん。風呂上がりに使ったら、床が濡れているから取り切れなかったんやと思う」

 結局私は「だってそんなんいちいち読まへんやん!」と主張し続け、結局気になる夫の方が掃除すべきだと説得し、やりだすと面白いのか、その後夫は毎日のように洗面所と、ついでに廊下をクイックルワイパーで掃除するようになったのです。

家事をシェアするからこそ

 クイックルワイパーの本体は、20年以上前に私が独り暮らしを始めたときに買ったものでした。それこそ掃除機をかけるのがめんどうだから、とときどきこれを使って掃除していたのです。でも、説明書は読みませんでした。ぬれたところでは使えないなんて、20年以上も知らなかったのです。

 家事は誰でも自己流のやり方を持っていると思います。得意不得意も好き嫌いもある。親から教わったやり方はあるかもしれないけど、ライフスタイルが違えば同じようにはできない。次々と便利な道具も出てきますし、昔ながらのやり方が通用しない場面は多々あります。

 そういうときに、説明書きをきちんと読む、ということが、私はさぼりがちです。でも、夫は使い慣れないものを使うときは、まず使い方を学ぶことから始めようとしました。自分と違う人は違う発想をします。家事をシェアしていると、ときには、お互いに相手の責任に押し付け合ってしまいますが、ときには、思わぬ発見を相手がしてくれることもあるのです。

 子どもの頃から、女の子は家事をするものと刷り込まれて育った私は、家事は自分のほうが得意で専門だと思い込んでいました。だから間違いを指摘されると怒ってしまったりする。でも、私にはない発想の夫のやり方からも、教わることは多いなと、冷静になってから改めて思いました。まだまだ精進が足りません。家事って奥が深いです。



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