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夢のキッチン・最終回

 これまで5回にわたり、現在私が使っているキッチンの問題点から、「夢のキッチン」について考えてきました。それを総合した私にとっての理想のキッチンについて最後に考えてみたいと思います。

一番大事なのは動線

 キッチンは、とにかく猶予を許さない作業が多いので、無駄のない動線をつくることが一番大事になります。ダイニングキッチンが考案された際にも、旧来の台所が広すぎるために動線が長く、無駄な動きを産んでしまっていることが問題になりました。

 その意味で、自分の台所を持って20年の段階で引っ越した今の部屋でのキッチンは、ある程度動きやすくなっているかと思います。調理道具も、調味料も取り出しやすいところにあります。冷蔵庫が少し離れてはいるのですが、あらかじめ必要なものを出しておけば何とかなります。ただ問題は、たくさんの食材を使う際、それらを置いておくのに十分なスペースが足りないことです。肉や皿はよく、調味料棚の前に置いてしまうので、塩を取り出しにくいなと思っています。いつか皿を割ってしまうかも、という危険と隣り合わせです。

 それから、独立型のキッチンで、扉があり、廊下を出て、もう一つ扉を開けてリビングダイニングという構造のため、エアコンを使っている夏と冬は、二つも扉を開けないと、ダイニングと往復ができません。一応カウンター式なので、カウンターから食器などを出すことはできますが、それは手伝ってくれる人がダイニングに居なければ機能しません。私が料理するとき、たいてい夫は別の部屋で仕事をしているので、作業は一人です。配膳の旅に、ドア二つを開け閉めするのが面倒です。

 できれば、独立型キッチンの隣にダイニングがあるといいなと思います。キッチンがダイニングの端っこにある場合もそれなりに使いやすいですが、来客があったときに、やはり恥ずかしいです。

次に大事なのが、一時置き場

 スペース不足は日々の悩みの種です。そのように、肉や皿の置き場に困ることはしょっちゅうあります。焼いた肉と付け合わせの野菜、といった組み合わせの料理をするときは、配膳の際に大きな皿を置く場所を確保するのが大変で、その隣に置いたまな板のほとんどが、シンクにはみ出していることがよくあります。

 料理はいろいろなものを広げる必要があります。食材を置く場所、鍋を置く場所、食器を置く場所。わが家のキッチンは絶対的なスペースが狭いため、どうしてもここはクリアになりません。それでモノを落としたり、探すのに苦労したりと、イライラすることも多い。せめて今の倍ぐらい一時置き場に使えるスペースがあればいいのに、とよく思います。

 では、アイランドキッチンがベストな選択でしょうか。もしかすると違うかもしれません。都会のマンションは、少し広くなるだけで、家賃が大きく上がります。あるいは物件の条件が悪くなります。わが家の場合は日当たりがあまりよくないため、割安でした。

 アイランドキッチンがあると作業スペースは広くなりますし、家族で協力し合って料理するには必要なスペースが確保できるかもしれません。しかし、わが家のように料理を交代制でつくる場合は、一人の作業スペースがあればいい。たぶん、2列型のキッチンにして、シンクやコンロと反対側に、同じ高さで、鍋類や食器などを収納するスペースを内蔵した棚があればいい。そうすれば、切った食材を入れたザルや、出汁をつくったなど下ごしらえ済みのものが入った鍋、配膳用の食器を置いておくことができ、かつ作業は素早くできます。

 私が欲しいのは、あと50センチの棚1列と、50センチほど幅が長いキッチンです。そうすると洗い籠を別にしたまま、作業スペースを確保しつつ、鍋やボウルを置くスペースを余裕を持ってつくれるのです。

 そして三口コンロも!

環境も大事

 わが家のキッチンは今、一番冷暖房が届きにくい場所のようで、特に冬場は寒くて、冷え性の私はたまに気が遠くなりかけています。かといってヒーターを置くと、狭いので蹴飛ばしそうで危ない。あまり暖かくなり過ぎると、場所の性質上問題はありますが、もう少し冬場に暖かい環境が欲しいなと思います。 

 それからもう少し明るいといいなと思います。少なくともキッチンから見えるダイニングに光が差していると、気持ちが良いだろうと思います。今、ちょっとだけうれしいのは、キッチンに立っているときだけ見える三角の出窓の向こうに夾竹桃があって、夏場は花が見られることです。そういうちょっとした憩いの景色は欲しいですね。

 こうして、私にとっての理想が見えてきました。ある程度はあるものを工夫してできるので、理想まではあと少し。その少しを手に入れるのが実は大変なようにも思いますが、順番に現在の不満点を考えていった結果、欲しい条件がはっきりしました。あと少しということは、それなりに今のキッチンに満足しているともいえます。やはり悩みごとは、何が問題なのか一つ一つクリアにすることに尽きるように思います。


 

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