見出し画像

夢のキッチン・その3

 私が勝手に自分好みの理想を語る「夢のキッチン」第3弾は、冷蔵庫です。上の写真はわが家の今朝の冷凍庫。パンだらけです。ご存知の方もいるかもしれませんが、私は『なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか パンと日本人の150年』(NHK出版)という記事を書いた後、パンの記事を書く機会があるので、気になるパン屋さんへ行くと、買い込んでしまいます。もともとパン好きということもありますが(笑)。

 でもご覧の通り、パンだけで冷凍庫はほぼパンパンです。洒落じゃないですよ。引き出しのところに、西川口のチャイナタウンで買った水餃子が入ってはいるのですが、本を書いていて一番多かったときは、ちょうど冬場だったこともあり、氷のところもパンが入っておりました。

 パン好きの冷凍庫は似た状況のときがあるかもしれません。一方、マメに常備菜をつくったり、キノコ類を冷凍するなど、多忙なときの助っ人として冷凍庫を活用している人は、それらフリージング食材・料理でいっぱいかもしれません。子どもが食べ盛りでかつ料理する人が多忙な場合は冷凍食品があふれかえっているかもしれません。冷凍食品好きな人もね。

 最近の冷蔵庫は3ドア以上になると、野菜室は冷蔵室と別になっています。わが家も今の3ドアに替えてから野菜室つきデビュー。冷蔵室と別になるだけで、野菜が長持ちするようになりました。野菜室もしばしばあふれかえっています。私のように野菜好きな人、あるいは産地から直接まとめ買いをする、産地に親その他親しい人がいて、大量の野菜が送られてくるという人も、きっと野菜室はいっぱいです。

私が欲しい冷蔵庫

 冷蔵室はうちでは、最近ジャムがいっぱいのとき以外は、あんまり出番がありません。野菜がなくなっただけえでスカスカです。だから、私の理想は、冷凍室と野菜室を一回りずつ大きくして、替わりに冷蔵室を小さくしたサイズです。冷蔵庫自体を大きくすればもちろんもっと容量は大きくなりますが、大きくなると冷蔵庫自体の値段が高いし電気代もかかるし、何よりものが多いときに捜索が大変です。現状でも、冷凍室と野菜室の捜索は大変なのですから

 10年ほど前、冷蔵庫に対する要望を何人かの利用者に聞いたことがありました。そのとき、「日本の冷蔵庫は使いにくい。ポケットとかいらないから、シンプルな棚だけのハイアールの冷蔵庫を買った」という人や「コスト個でまとめ買いするので、冷凍庫がもっと大きいのが欲しい」といった人がいました。日本の冷蔵庫メーカーは、ユーザー調査をたくさん行っているはずで、だからいろいろときめ細かな配慮があるのですが、あまりに細かく工夫した冷蔵庫は、かえって使い方を特定してしまうようです。

 1996年に出た写真集で、潮田登久子さんの『冷蔵庫』を観てみましょう。

 潮田さんが東京のさまざまな家庭に取材し、冷蔵庫を開けて撮ったというもの。よく皆さん、見せてくださったなと思います。

 これを観ると、ペットボトル置き場がポケットでは足りなくなっている人、野菜室が足りなくてミニ冷蔵庫を横に置いている人、保存食らしき大きなプラスチック容器がいくつも入っている人、冷凍庫がスカスカの人、もうごちゃごちゃと入っていて、たぶん毎回捜索していると思われる人、卵が何パックも入っている人などさまざまです。

 90年代前半は、ライフスタイルが多様化し始めた頃ですが、まだ家族数人で暮らす人が多かった時期。この写真集の冷蔵庫もファミリーサイズばかりです。それでもこれだけ多様な使い方をしているのです。食べるものの好みや、暮らし方は、家族構成以上に多様です。冷蔵庫にもっと、冷凍室大きいもの、野菜室大きいものなどの選択肢があったら、どれだけ使いやすいことでしょう! 今のところ、特定の食品をたくさんストックする人は、小型冷蔵庫を買うしか方法はなさそうですが……。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?