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「ていねいな暮らし」って何?

数年前から、「ていねいな暮らし」という言い方が流行りました。それが家事の分担や内容に関する議論、私は家事論争と呼んでいるのですが、が活発になってから、「ていねいな暮らし」批判が激しくなってきました。

それはきっと、「ていねいな暮らし」が、梅仕事やジャム作りなど、買えるものをわざわざつくる生活を、具体的な方法として挙げてきたからではないでしょうか。

私は梅仕事好きです。梅干しや梅酢が私の生活に必須だからというのが理由です。味噌も毎年味噌作り教室に行って作ります。ジャム作りも好きです。でもそれは、子どもの頃からそういう「手づくり」を遊ぶ趣味を持っていて、今少しだけ時間をつくる余裕があるからです。あと、アトピー性皮膚炎の持病があって食べものに気を使わざるを得ないからでもあります。どうせなら自分が楽しいことをしたい、おいしく食べたいからです。ちょっとだけ幸せになれるからです。くり返しますが、それは趣味です。

でも、掃除はきらいです。いかにサボるかばかり考えています。洗濯も適当。アイロンなんてほとんど使いません。散らかった部屋、汚れが気になるけど目をつぶる床。それってメディアが宣伝している「ていねいな暮らし」とはちょっと違うみたいです。

本当は、「ていねいな暮らし」というのは、自分や家族の日常を大切にすることだと思うんです。家族との時間も大事にする。自分だけの時間も大事にする。だったら、コンサートに行く、遊園地に行く、公園で遊ぶ、テレビをみんなで楽しむ。そういう遊びだって、存分に楽しんだらていねいに自分たちの時間を過ごしているといえないでしょうか?おいしいものを食べに行く、いつもの定食屋でお店の人や常連さんとおしゃべりする。それだって自分の時間を大切にしていることです。

暮らしの中身は自分で決める。大切なのは、生活を楽しむ心のゆとりを持つことです。子どものために料理を一生懸命つくっているのに、その子どもが話しかけることを全部無視してしまえば、暮らしは疎かになっているのかもしれません。でも、ちょっとおしゃべりを楽しんだら、ちょっと「みてみて!」という声に応えてあげれば子どもたちは喜ぶでしょう。たぶん、そういうことです。

生活の中の小さな積み重ねは、やがてその人の人生そのものの軌跡になる。だからこそ、楽しむ、味わう一瞬がほしいのです。今日は夕焼けがきれいだった。鳥の声を聞いた。子どもがうれしそうだった。立った。歩いた。夫が今日はやさしかった。友達と笑い合えた。そんな時間があるとちょっと幸せになるかもしれません。そういう時間があなたの「ていねいな暮らし」の瞬間です。









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