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ときめきメモリアル Girl's Side 4th Heart 感想 本多行くん(真告白&通常告白)

ときメモGS4、 本多行くん真告白&通常告白の感想です!

※告白の返事は全パターン選択済
※ときメモシリーズはGS4が初めてです

「学力」を伸ばして初めて見えた世界と、「天才」じゃない彼のこと

普段ノベル系の乙女ゲームばかりやっているのでパラ上げのお約束がよくわかっておらず、学力×学力のカップルって珍しいなあと疑問に思いながらスタート。

下校会話で「教科書はもらったその日に読み切っちゃう」「その後は試験範囲とか関係なく、興味のある部分しか読まないんだ」と聞いたときは次元が違うなーすごいなーとぼんやり思っていたマリィだけど、勉強コマンドをある程度やっていると実技系以外はかなり早い段階で100点とれちゃうんだよね。

だけど、それでも行くんに追いつけた気があんまりしないし、一緒に話していて「すごい!」と思うことがまだまだたくさんある。

マリィは行くんと同じ100点を取れるようになって初めて、【私の100点と、行くんの100点は違う】ことがわかるんだよ…!!!
これに気付いて、めちゃくちゃ鳥肌が立った。

自分の100点が組み上げた塔なら、行くんの100点は高い上に裾野のうんと広い山。
これは100点を遠い世界のものだと思っている他の子には見えない、学年1位のマリィにしか見えない視界だよなあ。


■「天才」じゃない

教科書の話だけ聞くと誤解してしまうけど、デートを重ねるうちに、行くんは学んだことをすぐに覚えてしまう「天才」じゃないということを知ってすごく驚いた。

読んだ本だって、私たち凡人と同じように次々忘れてしまう。並外れた「映像記憶」があるわけでもないから、図版も同じ。それでもテスト前に教科書を開かなくても満点が取れるのは、さまざまな本で違う角度から学ぶうちに、結果的にテストで問われる内容を理解できるからだったんだね。

簡単に覚えてしまう「天才」ではないからこそ知識を綿密につなげて何度も繰り返し理解して定着させていく、この努力をたった一人でできる努力家の秀才だったんだね…!

クイズ王の孤独と、子ども時代の終わりとしての「将来」の夢

そんな行くんの頑張りが形になって認められるイベントであったクイズ王。
もちろん嬉しいし誇らしいことなんだけど、そこで彼の力が正当に評価されたとは言えない気がして、ちょっと素直に喜びきれない部分もあって。

クイズ番組の問題はエンターテイメントのために切り取ってデコレーションされた知識だから、テレビを見ているだけの素人も「あっこれなら知ってる!」と正解することはあるし、たまたま不正解だった出演者に「たいしたことないなあ」となんて気楽に言う。
だけど、その一問一問の答えの背景に横たわる膨大な知識の体系は、ある程度学んだことのある人にしかわからない。

よく一緒に出てくる七ツ森くんやみちひかちゃん、夜ノ介くん、一紀くんが高校に通いながらもプロの世界で評価されているのを見ているから(それはそれで別の苦労があるのはもちろんわかるのだけれど)なおさら、「学力」だけがイロモノ扱いされているようで見ていてもどかしかった。


■孤独と将来の夢

クイズ王イベ、感謝を伝えたい人の中に学ぶことをサポートしてくれた大人(先生とか憧れの研究者的な)がいないのがすごくショックで。

だって、中学の時からずっと、本だけで学んできたんだよね。例えば理科クラブや科学館の公開講座みたいに、誰かと一緒に研究して意見を交わしながら理解を深めたという経験が全くない。

しかも、クイズ王として名が知られても「すごい!憧れる!」って人は寄ってきても「君と一緒に面白い研究がしたい」みたいな人には出会えない。一問一答的な知識より深いところで彼の考えを理解してくれる大人って、高校時点では誰一人いないわけじゃん?
なんという孤独……!!!

しかもそんな道のりを越えてきて、将来の夢は「小学校の先生」(下校会話)って言うんだよ!

小学校の先生が良いとか悪いとかの問題じゃなく、修学旅行では「もっと専門を絞りたい」、深く学びたいって志した高校2年生が自分の可能性を伸ばしてくれる大人にこれ以上期待しないで「教える側」に回ってしまう、これが現状のシステムでの学びと自分に対する失望以外の何だっていうんだ……

私のプレイ順だとクイズ王→修学旅行→下校会話「将来」になるからかなあ、こんなに明るく語られているのに、なんだかとても辛かった。

水槽の中の高校生活と「流行」パラメーター、幸せのありかたについて

行くんは天才ゆえに空気が読めないと思われている…的な感じを出したいんだろうなーというのはわかるんだけど、実は彼の雰囲気って難関中高ならむしろ超普通、圧倒的多数派だからね!
なんなら1年次から研究室入りびたりでガンガン食らいついていく学生、一流大学なら「おー今年も元気な新入生が来たな!」って大歓迎だからね!??

だけど、行くんの両親は中受で彼の知的好奇心や探求心を伸ばしてくれる最難関校ではなく、育ちが良くて大きく逸脱しない範囲でさまざまな個性を持った子たちと関わる生き方をしてほしくてはば学に行かせたんだよね。

そこでふと、「水槽の中で、植物、昆虫、魚の小さな生態系を維持できていると、あまり手間はかからないんだ。」というセリフを思い出した。

管理された水槽の中にいる生き物たちは、自然の脅威から遠ざけられる代わりに持っている能力のごく一部しか発揮できないまま一生を終える。
だけど、行くんは水槽の中の生き物をかわいそうだとは全く思っていないし、プラネタリウムの星が実物に劣るとも思っていない。

そこでやっと、彼が「流行」パラメーターの人でもあったことに気付いてさあ!!!


行くんの「流行」って、七ツ森くんの「流行」とは違うなってずっと思ってたんだよね。
本屋でバイトしてるんだから女の子が喜ぶデートスポットや流行のファッションだって絶対知っているはずなのに、女の子といてもラーメンが食べたいし動きやすいカジュアル服が好き。

だけど、『初恋の行く道』の映画化はイメージと違うけどこれもいいなと受け入れられるし、家族やマリィの提案は驚くほどすんなり受け入れる。蟹を可愛いと思うことと、寿命を迎える前に食べて美味しいと思うことは矛盾しない。

肉や皮によって変わらない「骨格」のように何があっても変わらないものがあるからこそ、大胆な変化も柔軟に受け入れて楽しめる人。
それが「流行」パラメーターの正体だったんだ!!と、なんだか自分の中ですごく納得して。

「好きなことや得意なことを伸ばしてくれる学校に行くのが幸せなはず」という私(プレイヤー)の考え方も、「本ではなく実体験が大切」っていう行くんの母親の考え方も、どっちも形の違う水槽にすぎない。
行くんは、どんな水槽にいても幸せになれるって信じてるから、そこにこだわりを持たない柔軟性をもった人なんだよね。

それは風真くんの言う「正しく価値を評価してくれる人と一緒にいないと、不幸になる」の逆で、他者の評価によって幸せにも不幸にもならない、彼なりのしなやかな生き方。

一番好きなシーンの話

一番好きなイベントは、【「ふたり」の守り人】。

キアゲハが初めて飛ぶ瞬間に一緒に立ち会って、
「この子たち、今初めて飛んだんだよ!」
「同じタイミングで羽化して、飛び立つなんて、超仲良し。オレと君みたいだね」
と喜びを共有する話。

後々「王子と姫」みたいなもっとカップルっぽい仲にも例えてくれる甘いシーンもあるだけど、個人的にはこれがすごく印象的で。「オレと君」はまだ蛹で、ここで見守られながら育って一緒に飛び立つというイメージがすごくしっくりきた。

蛹って、中はどろどろになっているんだよね。
今まで得てきた経験をもとに自分を作り変えている最中で、そこに外から変な衝撃を与えてしまうと羽化できなくなってしまうから、見守るしかない繊細な時期。

愛をもって管理されたはば学という水槽は、二人が今までの経験を糧に新しい自分になるための準備期間を見守ってくれている場だったんだね…!

マリィに比べたら先に進んでいるように見える行くんが、一緒に「蛹」の時期を過ごして一緒に自分の形を作ってきたと思ってくれているのもすごく嬉しかったなあ。

ここに限らず行くんとのイベントは「過去」「現在」は屋内、「未来」を語る時は屋外や空のある場所で、飛び立つイメージに繋がっていくのがすごく美しかったなあ。

(絵本も「過去」の話として出てきた時には図書館=屋内で、「将来」のイメージとして出す時には帰り道=屋外だよね。これ気付いた時は鳥肌立った!!)

恋愛と距離感、スキンシップの話

恋愛初心者でちょっとズレてる…的な話に見せたい意図はなんとなくわかる、でもぜーんぜんそんなことないよ!

金ジャケ撃退の時に逆上させないようにうまく誘導してることを考えると空気はしっかり読めてるし、咄嗟の時に「~ですね」って丁寧語を使って褒める態度を選択できるあたり、自分がどう見られてるか理解した上での駆け引きもできる。
射的で台にくっつけられてたかもって気付いても「そこを見抜くのも勝負だもんなー」と言えるくらい、普段身の回りにないような悪意への想像力もある。

マリィに対しても、距離感や言葉の選び方が思ったよりかなり細やかで驚いた。
「迷惑だったらハッキリ言う」っていう割に「違ったらゴメン」みたいに気遣ってくれるし、困った反応したら「そういう意味じゃないよ」ってすぐフォローしてくれる。

何よりぐっときたのが、声のトーン!!
わーい!ってテンション上がる時と、ちょっと低めの落ち着いたトーンの時のバランスが絶妙。
一番わかりやすいのが追加デートが決まる前後の「時間が全然足りないよ」的な台詞が2回続く時なんだけど、2回目はちょっと低く、ぽわっと体温が上がる感じの響きになるんだよー!!
プレイ前はムード作るの苦手なタイプかなと思ってたんだけど、めっちゃ自然にムード切り替えできる子じゃん!これが無意識ってのがまたすごいわ!


■スキンシップ

スキンシップで印象的だったのは、腕タッチへの反応の変化。

最初のころ、一緒にお出かけするくらい仲のいい女の子に袖を引っ張られて嫌がる男なんていないでしょ!って腕にタッチしたらまさかの青ハートでかなりびっくりしたんだけど、もしかしたら小さい頃に「あれ何だろう!」って駆けだしたのを「危ないでしょう!」って引っ張って止められた「制止」のイメージが強いのかもね。

それが、好き状態になると一気に触れられて嬉しい箇所になるの!
マリィに触れられたら嬉しいって気付いて、手をつなぐことにプラスの意味が芽生えた瞬間に立ち会えたんだー!!

この変化自体にも相当テンション上がったんだけど、手をつないでから大接近が始まる時の「手、繋いだままだったね?ずっとこうしてよっか」の、温かくてまろやかな声!!!
楽しくおしゃべりして盛り上がった二人が肌を触れ合わせることでこんなに優しい空気になるんだなと、嬉しいギャップだったなー。

あと「オレもこの先が気になるから」も良かった!
ジェットコースターで「身を任せるしかないってホント恐怖」って言ってたように、基本的には不確定なものを待つのが苦手で把握・言語化して進めたい二人が、まだ形になっていない「この先」に名前を付けないまま大切に温めて育てていく。

お互いがあなたとなら「この先」をそうやって楽しめるって思えるの、すごーくいいね!


(ここからR18妄想)

ベッドでも、いろいろ試してみたいという気持ちはありつつ、こうやって優しいムードで進むんだろうなあとなんか安心(?)した!
「ここ好き?」「気持ちいいなら、ダメじゃなくていいって言って」って言ってほしい。
あと角度がなんかしっくりこないとき、さっとクッション挟んで微調整するのとか上手そう。

行くんの一番好きなところと、告白について

彼の一番好きなところは、言葉に余計な意図を載せないこと。

例えば「どうして君が謝るの?」って、普通だったら「謝る必要はないよ」に近い意味じゃない?
行くんは「どうして?」って聞いてくれる時は「どうして?」と思ってるし、「君が悪いわけじゃないよ」って時はちゃんとそう言うんだよね。

かといって相手が傷つきそうな表現は慎重にぼかすから「思ったことははっきり言う」っていうのでもなくて、何だろうこの感じ?とずっと考えてたんだけど、「相手をコントロールしようとしていない」ってことかも。

さらに、彼なりの好みはいろいろあるんだけど、「そっか」や「オレはそう思わないなあ(&理由説明)」はあっても、「ええっ、そんな風に思うの?(それは変だよ)」みたいに意見の相違と人格批判を混ぜない。

そういうフラットな相手と一緒にいると、マリィとしても「私はこう思う、こう感じる」が素直に出せるし、自己肯定感めっちゃ上がるよなー!!!
告白の中に「これからの自分が楽しみになった」というような表現があるけど(はっきり出てくるのは×文脈の時だけど、◎の時もそこは変わらないはず)、彼と3年間過ごしたマリィもきっと同じように思ってるよね。

「話していて楽しい」にも種類はいろいろあるけど、深読みしなくていい、期待をくみ取ってそれにこたえようとしなくてもいい相手との会話の安心感ってやっぱりすごく良いなあー!


■告白の話(真告白&通常告白、返答は全パターン見ています)

行くんの告白って、「大好き」と「傍にいてください」以外はかなりぐちゃぐちゃなんだよね。
あなたが大好き、あなたといて幸せだ、あなたがいるから世界が輝いている、ずっと一緒にいてほしい。
その強い強い思いだけは確かなのに、他のことは因果関係もレイヤーもめちゃくちゃで、今まで言ってきたことや、おそらく今伝えたいであろうことも、矛盾や破綻だらけ。
こんなの、どんなに突拍子もない発想をしていても思考の枠組みが乱れなかった行くん「らしくない」。

もしかしたら、まだ蛹の中身ははっきり形になっていなくて、飛び立つには少し早かったのかもしれない。それでも、彼女がこの水槽の中から飛び立つこの高校生活最後の日に、なんとしてでも一緒に飛びたかったように、私には見えた。
その懸命さがすごく伝わってきて、わけがわからないのに愛しくて泣いてしまった。

そんな彼に対して、「大好き」の一心でそれを受け止める(「大好き」以外の部分に今は答えない)のが本当に「同じ」で、一緒に成長していく二人なんだなあと。

他の進路はわからないのだけど、大学進学後の二人も幸せそうでよかったなあー。
どうか、ずっとずっと幸せに!

なんで告白に「ごめんなさい」の選択肢があるの!?→もし断る理由を考えるとしたら、という話

告白断るの本当にめちゃくちゃ辛かったんだけど、ここまで歩みを重ねてきた結果「ごめんなさい」という選択肢がある以上、断る理由は何なんだろうとずっと考えていて。

――もし、あるとするならば。
「混乱したあなたが、私のせいで道を誤るのが怖い」じゃないだろうか。


混乱の一つ目は、現在と未来のこと。

高学力マリィはわかってるかもしれないけど、「君(マリィ)のことをもっと知りたい」と「『人』を研究したい」って、本来は逆なんだよ。
「人」の幅広い法則を知ることでそぎ落とされてしまうような、他の誰でもない「あなた」と「私」の気持ちや、その理由を知りたいんじゃないの?
(心を知りたいと思って心理学科に行った人が、「統計で数値化したら見えないところを知りたかったのに、思っていたのと違う」と嘆くような話)

そして混乱の二つ目は、過去のこと。

最初にアンモナイトくんを紹介してくれた時、「自分の目で見て触って、知識を再確認することにした」「本で学んだだけの知識より~説得力」って言ってたよね。
あくまで「再確認」「だけより」と、本で学んだ知識をベースにより広く深くするのが実体験という位置づけだった。

それが、いつの間にか「本じゃなくて」と、本の知識と実体験を対置するようになった。
そうでないことを、2人の日々でたくさん知ってきたのに。
一緒に本屋バイトで「本」が人の人生を豊かにすることを信じて働いてきたんだし(好きな本だけ集めた本屋を一緒に作れたら楽しいねって言ってたじゃん!!)、図書館の本で得た知識がなかったら夜空の星やきらめく海を見て「綺麗だね」の先の話をする楽しみを知らないままだったんだよ。

じゃあ何でそんな言い方が出てくるのかって、「外の世界は図鑑よりも面白いの!」という母親の価値観そのまんま内在化されちゃってるんじゃん!!ぎゃー!!!!

今までバイト先でイチャイチャした時ですら感じなかった「Love is blind.」を、そんな思考の崩れ方で初めて実感してゾクッとしてしまって。

行くんは違うかもと思ったらすぐ軌道修正できる子だけれども、信頼した人の誘導にはめちゃくちゃ引っ張られて変化してしまう。いかなる選択も表面的なもので、彼の「骨格」である幸せを損なうものではないとわかっていても、自分を信頼して変わっていく恋人を見て、嬉しいと同時にこれでいいのかと不安になる気持ちはあると思うんだ。だって、親でも先生でもない、10代の子なんだもん。

そう感じ取ってしまったら、18歳のマリィが「ごめんなさい」を言ってしまう可能性は…あるかもしれないなと思ってしまった。

うーやだやだそんなの辛い!
お断りへの返答がこの「混乱」を自分ですっと沈めたもので、学力マリィにはそれがちゃんと伝わったであろうことも余計に辛い!

やっぱりリロードする!ハッピーエンドです!!!

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