「チョコ界のコミケ」と呼ばれる「サロン・デュ・ショコラ」は一体何がそんなにやばいのか
トップ画像はめっちゃ混んでる電気屋じゃないです。今年もやってきました、チョコ界のコミケ「サロン・デュ・ショコラ」の季節。
サロン・デュ・ショコラは、三越伊勢丹主催のチョコレートの祭典(本家はパリ)で、今年で17回目の開催となる。毎年1月末〜2月頭あたりに数日間開催され、2019年は1月22日(火)〜1月29日(火)の1週間開催だ。
「チョコ界のコミケ」と初めて形容されたのは、2017年。その年は規模を拡大し、初めて東京国際フォーラムでの開催となった(この年以外、2015年以降は新宿NSビルで開催)。その頃はまだ整理券制も導入されていなかった。
その結果こうなった。
これが戦場だ。この列に並び続けて入場した先にあるのが、トップ画像のような休日の電気屋状態の会場だ。
しかしそもそも、なぜこんなにも混み、話題になるのだろうか。
目次
・「コミケ」と形容されるわけ
・なかなか買えないチョコレートを買える
・他では味わえないやばいものを食べられる
・チョコレートを買ってファンサをもらう
「コミケ」と形容されるわけ
まずはこのイベントが「コミケ」と形容されるわけを説明したい。入場待機列がとにかく長かったこと以外にも、いろいろと理由がある。
1. 始発組がいる
以前はとにかく早く来たもの勝ちだったため、始発組が存在した。
去年から時間指定整理券の事前購入制が導入されたので、朝イチの整理券を買えなければ並んでも意味がない(整理券が導入されてからも、一部の朝イチ整理券組は始発で来ているらしいので驚く)。かくいう私も始発組のひとりだった。
朝4時に起きて始発に乗り、会場の入り口に5時過ぎには並び始める。警備員すらまだ来ていないので、建物の中に入れない。極寒の1月末、最低でも1時間は外で待機しなければならないのに、始発ダッシュしても10人以上が並んでいる。きっつい。でも並んじゃう。お祭りでテンションあがってるから。
前のほうに並んでいる人はキャンプ用の折りたたみ椅子に腰掛け、しっかりバッチリ防寒し、隣人と携帯カイロを分け合ったりしている。わかる人はわかると思うのだが、この光景がめちゃくちゃコミケ。
これは中に入ってからの光景だが、この列が2〜3倍くらいになる(去年からは整理券制になったので、並んだとしても10〜15分程度)。
2. 長蛇の列を攻略し、効率的にチョコレートを購入する
開場の朝10時に向けて、みなカタログや会場マップを見ながら作戦を練る。並ぶのは入場だけじゃないからだ。
特に人気の店となると、30分以上は余裕で並ぶ。会場となるホールの外まで列が何往復もする。「最後尾」と書かれたプラカードだと思って近づくと、「中継地点」と書かれている。駅伝かよ。
だから複数人で行って、手分けして、長蛇の列にそれぞれ並ぶ。そうすることで効率的に人気店のチョコレートを手に入れられる。人気サークルの同人誌を買う手段と同じだ。
半分以上のお店が最低でも10分程度の列をなしているので、列に並んでチョコを買う気がない場合は正直かなりしんどいと思う。めちゃくちゃ人多いし、暑いし。並びたくなければ、いつでも買える(日本に常設店舗がある)ブランドのものを買うのがおすすめだ。
サロン・デュ・ショコラが「コミケ」と形容されるのはつまり
・ガチ勢は始発で行き、何時間も並んで入場する
・ガチ勢は効率的にまわり、効率的に目当ての商品を手に入れる
・ガチ勢はとにかく並ぶ
といった理由からだ(他にも「みんな荷物がめちゃくちゃ多くなりがち」とかあるけど)。その様子とガチ感がコミケっぽいのだ。ガチじゃなければ適当な時間に行って自由に楽しめるっていうのもコミケっぽいところではある。意外と誰でも行ったら楽しめる。
なかなか買えないチョコレートを買える
人々が集まり、並び、混雑するのは、もちろんこれが一番の理由だ。
国内ではなかなか購入できないブランドから、チョコ好きじゃなくとも一度は聞いたことがある有名ブランドまで、あらゆるチョコレートが世界中から集まる。
そしてそのチョコレートがやばい。何がやばいって、めちゃくちゃおいしいのはもちろんなんだけど、めちゃくちゃ高い。
これは、私が今年買ったチョコレートたち。
これで大体、総額3万円くらい。例年5万円くらい買うので、今年は少なく済んだほうだ。
左手に見えるつぶつぶがたくさん乗ったケーキは1つ4,536円(税込)。買ってはいないが、高価なものだと9粒で8,640円(税込)なんてものもある。
毎年思うのだ。行く前は思う。正直、入ってからも思う。「うわ、もう今年は無理だきつい」「そもそも高いチョコ買う必要とかない」「今年はあんまり買わないで帰ろ」と。
10分後くらいには行儀よく長い列に並んで、クレジットカードをババ抜きのペアのごとくバンバン切っている。あれはやばい。会場の興奮と熱気にやられて、無意識のうちに熱狂し、いつの間にか何万円も使っているのだ……。
(物によっては賞味期限は何ヶ月も先で、1粒で得られる満足度が非常に高いから、コスパはいいんだ……みたいな言い訳はあんまりするつもりがない)
「自分はチョコ好きだけど、そこまでの興味ないし」と思っているかもしれないこれを読んでいるあなたも、行ったらきっといつの間にか1万円は使っているはずだ……。
そしてこれは当然だが、いっぱい買えばかさばる。高級チョコレートたちは素敵な箱と袋に入れてくれるものなので、とにかくかさばる。本当に素敵なんだけど、かさばる。それをみんな抱えてるもんだから、道は狭くなり、混む。
他では味わえないやばいものを食べられる
数年前からサロン・デュ・ショコラでは、チョコレートの販売だけでなくイートインメニューの提供も始まった。
最初の頃はチョコレートドリンクやソフトクリームなど、定番のスイーツが並んでいたが……どうも今年は特に様子がおかしい。
まずこれ。「アマゾンカカオと赤ワインで煮込んだ牛頬肉」2,916円(税込)。チョコレートの世界を探究していった結果、肉にたどり着いている(今回残念ながら食べられていないが、間違いなくおいしい)。
(写真:「東京会場で食べられるテイクアウト&イートイン特集」より)
こんなのもある。「チョコドッグ」918円(税込)。カカオニブ(チョコレートの原料になるもの)の入ったマスタードと、チョコレートの入ったチリソースがかかっている。見たところチョコレートものっている……。
(写真:「東京会場で食べられるテイクアウト&イートイン特集」より)
ちなみにこのホットドッグにかかっているマスタードとチリソースは会場で別途購入することもできる。
もちろんチョコレートドリンクやソフトクリーム、ケーキやパンなど、挑戦しやすいものもたくさんある。ちなみに行けばわかるが、上記の2商品は結構並ばないと食べられない(わりと攻めていきたい人がどうしても多いのだ)。
まあ私は普通にクレープ食べましたけど。
あとは、クレープが売っているアルノー・ラエールと同じ並びにあるニコラ・ベルナルデのマドレーヌ(チョコ入りとかじゃなくて普通の)が本当にびっくりするほどめちゃくちゃおいしかったのでおすすめです。
で、イートインは買って、テーブルなどで食べる時間もあるので、購入列もテーブル待ちも混む。
チョコレートを買ってファンサをもらう
サロン・デュ・ショコラの会期中、国内はもちろん世界中のパティシエやショコラティエ(チョコレート職人)たちが一堂に会する。なかなか会えない有名人たちばかりだ。そしてなんと、各ブースに彼らが立っている(いないときもある)。
で、商品を買うと大抵のお店で間髪入れず、「ショコラティエのサインはいりますか!!?!?」と聞かれる。いらない。食べたいだけの人はそうだろう(私も最近はもらわない)。でも一部の層は違う。
買ったばかりのチョコレートの箱にサインを書いてもらい、この日のために勉強した英語やフランス語でチョコレートを褒め、日頃学んでいるチョコレートの知識の答え合わせをする。最後には笑顔で記念撮影。アイドルか。チェキ会か。
そのとおりだ。チョコレートを買うことでファンサをもらうのだ。
その行為自体が混雑を生んでいるわけではないし、それ自体を批判したい気はまったくない。むしろ私もかつてはよく箱にサインをもらっていた。写真を撮ってもらうのもうれしい。そりゃファンだもの。
ただ、それがあまりに長い時間になったり、複数人で囲んだりしていると、会場の人の流れがそこで滞るので、どうしても混雑の原因にはなるということだ。
サロン・デュ・ショコラに人々が並び、大いに賑わい、混雑する理由は、大体こんなところ。
まだ一般会期は昨日始まったばかりで、整理券はまだ買えるし当日券が用意される日もあるようなので(詳しくは公式サイトで)、ぜひ平日の夜や休日に足を運んでみてほしい。
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