弁当

恋煩いはいつか消え去り、わすれとしまうものだとおもう。みんなそう思う。しかし、香りは朧気に残りふとした瞬間に思い上がる。でも、そんな香りにも動じない程に私は今幸福だと、思ってはいる。保育園からの友達と暫くぶりに会い、近況報告を受けるが、それは幸せの伝達にしか感じず、嫉妬も覚えず、笑顔を素直に見せられる。大学に行ってしまった昔からの旧友の同窓会も気張らずに迎えられる。一緒に盃を交わしても、そこには何も起こらず、談笑に始まり懐古に終わり、青春に戻る。ただそれだけで終わってしまう。その日から始まる、新しいの自分の始まりり、なんて云うものは無縁である。

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、、、
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幸せなのであるが
しばらくぶりに思い出してしまったのである
小さなイワシを捌いてしまった時
頭を落としてしまったのに
腹を切り裂き
内蔵を取り出し
苦玉を潰さまいと
優しくこの手で優しく包むこの瞬間
自分が包んでいたはずの手が
なにか外的なものから包まれてるいる気がして
手の力を弛めてしまう
過去に未練はないが
思い出してしまうことは確かである
未練はないのに写真を捨てられない過去
未練はないのに日記を捨てられない過去
未練はないのに綺麗に思い出としてリボンを結んで綺麗にしまってしまう過去
全てが人間の不思議であるが
どこかに生きていると言うだけで、己の力が湧いてくる

だって、彼女も頑張っているのだから



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