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一度目の人生が終わるまで 1章

出生は埼玉は熊谷。
鴻巣と言うところに住んでいた。
そこには幼馴染がいたが
何して遊んだとか、顔とか思い出せない。
4歳くらいかな。群馬は前橋に引っ越した。
仏教の幼稚園だった。
毎日手を合わせて正座してた記憶がある。

1年も経たずに、親の離婚で
北海道は釧路に引っ越した。
幼稚園の年長さんだった。
最初は方言に苦労した。
北海道では、「捨てる」を「なげる」
と言う。
幼かった僕は、幼稚園の先生に
「そのゴミ、なげて」と言われた。
僕は、普通にそのへんに投げた。
普通に怒られた。
そんな幼少期。

小学校に入学した。
その頃から身長は小さかった。
「前ならえ」はいつも先頭のあのポーズ。

小学校にあまり思い出はないけれど
友達は沢山できた。
皆が嫌う人とも仲良くした。

中学校は、校区の違いで
小学校の友達は半分になった。
でも、新しい友達がたくさんできた。
ずっとやりたかったサッカー部に入った。
弱小チームだけど、皆でつかめる勝利を
目指して頑張った。

2年生の後半、次期キャプテンを決める会議。
なぜか僕が選ばれた。
なんか、ちょっと嬉しかったけど
責任や、プレッシャーも感じた。
問題は起こせない。ちゃんとしなきゃ。と。

そんなとき、初めての彼女ができた。
彼女は束縛が激しく
周りの女子達に影で牽制していたらしい。
そんなことを聞き、別れようと思った。
しばらく引きずったが、別れられた。

彼女には未練があったみたいだった。
朝、学校に登校すると
同じジャージ、同じペンケース、同じ文房具
そう、ストーカーまがいの行為がはじまった。
極めつけは、部活の後、着て帰るはずの
ピステ(サッカー部が着ているシャカシャカ)
がなくなっていた。
風で飛んでいったのかと思ったが
刺繍で名前も入っているし、そのうち
見つかるだろうとおもっていた。

週末になり、練習が休みだった日。
家でくつろいでいるとインターホンが
なった。
出てみると、その女だった。
「え?」僕は言った。
驚いたのは、その女が立っていたことより
その手に持っているものだった。
そう、あの日なくしたピステである。

「落ちてたから洗濯しておいたよ。」

怖くなった。
思い出せば、ピステはカバンに入れていたのだから。

「ありがとう、でももう関らないでほしい。」

真顔で伝えた。

彼女は泣いていたが、それから一週間も
せずにプツンと糸が切れたようで
何もされなくなった。

それから数日後、テスト前
知らない番号からの電話。

「もしもし」

「お前か?俺の女泣かせたやつは」

「は?」

「夜中の3時に〇〇に来い」

「意味わかんないんだけど?」 

「俺、〇〇の彼氏なんだわ、泣かせたろ?」

「意味わかんないから切るよ?」

「お前が来なかったら学校の窓割って
お前の友達も全員ボコすからな。」

どうやら、僕に振られた彼女は
ちょっと悪い男の子と付き合ったらしい。
振られたときの話をした彼女。
それを聞いた彼氏が怒ったらしい。

でも、窓割られるのも、友達がやられるのも
嫌だと思って、言われた時間、言われた場所に
行ってみた。
そこには、その彼氏らしき男と
ガタイのいい先輩らしき男が二人で待っていた。

いきなり殴られた。
でも、やり返して警察でも呼ばれたら
サッカー部や学校に迷惑がかかる。
顔にアザができても困る。
顔だけは全力で守った。

あとは好きにして。

1時間くらい経った。
満足したのか、手が止まった。

何も言わず帰った。

体は、アザだらけ
でも顔は大丈夫。
とりあえず、何もなかったことにして
学校に行こう。

         1章終

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