ロル中にリアルタイムで短歌詠む(575)

空欄の3日目に突然のスエッピが!


このページは、クエストノーツアドカレ2023参加記事です。

こんにちはこんばんははじめまして。スエヒロ、末広うた、スエッピなどの名前で親しまれるスエッピです。クエストノーツではacht8811@masterの名を持っています。月下の再殺ってクエスト、レベリングで踏みませんでしたか? アレの作者です。続編の月下の簒奪もやってね。ノベライズの月下の裁決も読んでね。再殺の文章が好きなら、あんな感じの文章が延々続くので楽しくなれると思います。読んでね。タダだし。

前年は自作クエストの話をしましたが、今年はほとんど新作がありません。ちょっとあるけどね。ちょっとしかない。ひとつっきり。一作を語るだけではさすがの文章うますぎスエッピも間を持たせられないので、今回はロールプレイをする側の話です。

と言っても、ロールプレイ、上手い方ではないです。へたっピです。これはへたっピと言いたかっただけなので卑下ではないですがまあめちゃくちゃうまい人ではないです。ああするといいとかこうするといいとかの話、全然できません。なにもわかりません。今から話すのもロールプレイ論とかでは全然ないです。
飛び道具の話をします。

ロールプレイ中に、リアルタイムで、キャラに短歌を詠ませた話です。
ご存知の通り、クエストノーツではリアルタイムにロールプレイを行います。いわゆる置きレスではありません。チャット形式です。そんな中で、キャラのセリフや行動描写もしながら、リアルタイムでするっと歌を詠む。うわー! かっこいー! 和風キャラの和風っぷりがいい感じに演出できそうですね! でも、実際やるとして、難易度けっこう高そうですね? そんなこと、できるんでしょうか。
できます。できているように、見せることができます。リアルタイムに、と書きましたが実のところそうではないのです。リアルタイムにやっているように、演出するんです。それをどうやったのかを書いていきます。

前提を確認しましょう。
短歌は、5・7・5・7・7の31音で構成される詩です。
31文字ではなく、31音です。「ろるちゅうにりあるたいむでたんかよむ」は18文字ですが17音です。「ちゅ」は1音として数えます。「っ」を除く小さい文字(拗音)は前の文字とひとセットで1音です。「っ」(促音)は1音です。
それ以外の要件は、特にないみたいです。ないと思ってるんですが……たぶん……。つまり31音でさえあれば短歌です! と言い張っていいわけです。本当かな? そんなナメたこといっていいのかな? 歌人に助走つけて殴られてしまうかもしれん……。まあ、定義としてはそうでいいんじゃないでしょうか。たぶん。違ったらごめん。
なので、韻とかもないし、俳句でいう季語みたいなものも考慮しなくていいのです。また、575よりは長いので、文字数に少し猶予があります。だから、比較的敷居が低い、やりやすいと個人的には思います。ファンタジー世界観で季語考慮するの大変そうだしな。まあこの辺、どちらがやりやすいかは人によるようです。俳人と話したら「俳句は短くて簡単」「短歌は長すぎて作れる気がしない」「季語とか気にしなくてもいい。季語自体の当たり判定が広すぎるから。何言っても大体季語は入ってる」みたいなこと言ってました。そ、そうかあ……?
まあ、やりやすい方で行きましょう。川柳でも75でも57でもいいしな。散文でもかまいやしないのですが、定型詩のほうが逆に楽だと思います。定型詩のいいところは、定型に沿ってさえいれば詩だと言い張れるところです(助走をつけてきた歌人パンチをひらりとかわす)。詩だと認識してもらいやすくもなります。これは東方の詩さフフン、とキャラが言いやすくもなるのではないでしょうか。

前置き長いな。この辺にしておいて、実際にどのように準備していくのかの話に入りましょう。

前準備の前準備として、定型詩に慣れない方は、
あのー……すみません、スエッピは国語の文法がものすごく苦手なんですけど……多分「助詞」や「副詞」にあたるもの? だと思うんですけど……違ったらごめん……
そういう、こう、あの……「てをには」? ですか? てをには的なやつをいっぱいコレクションしておくのがいいと思います。あと、「接続詞」?とか。慣れない方への案内がこれでいいのか、分かんないんですけど。短歌の作り方の本とか読んだことないから……。ふわふわだわ。ごめん。
でも個人的に、「てをには」や「接続詞」が語彙の引き出しにたっぷり入っていると、ものすごく役に立つと思います。
文字数調整に。
妖怪1(音)足りないが出た時の「こそ」「でも」「まで」の心強さ凄いからな。2音足りなかったら「とても」とかいい。だとしても、のとてもね。強調できていい感じになる。
「だけど」で多いなら「けど」「でも」を、少ないなら「だけれど」「けれども」を召喚できます。
あと、一人称を複数形にすると「われら」「ぼくたち」のように+1+2音稼げるので覚えておいてください。主語をデカくしていけ。
ほかにも、活用系? で字数増やしたり減らしたりとか、結構やりようはあります。

前準備の前準備終わり。それでは、ほんとうの前準備に入りましょう。キャラクターに関する単語を書き出していきます。


うむ

今回モデルになるのはこちらのソラアヲくん。和風キャラですね。アホ面で声がデカくてアホですが詩人です。朝顔の精霊だという設定があります。口癖はうむです。
彼に関する語を書き出していきます。

「朝顔」「大声」はもちろん、夏や朝に連想して「ひと夏」「朝露」「朝焼け」「雷」……これらは4音ですね。
「花」「汗」「草」「朝」「庭」「青」2音。
「朝日」「光」「暑い」「枯れる」「刀」3音。
「汗まみれ」「草むしり」5音。
「一年草」6音。
書き出しつつ、音の数のメモをとっていきます。実際はもっとバラバラに書き出しています。わかればいいのだ。
例はわかりやすく単語にしましたが、もっとゆるく適当に、思いついたフレーズを書き留めていけばいいと思います。実際そうしていました。実際のメモを紛失したので、この記事ではそれらしいものを書き直しています。

あとは、キャラクターの性格やお話に合わせた短歌も、数首あらかじめ作ってストックしておきました。ストックなので、これにはいくらでも時間をかけられます。しかも、それらしい状況が来たらコピペでok。あたかもその場で詠んだようにできます。
完成した短歌はもちろんですが、未完成のものもストックします。思いついたけど完成には至らなかった57だけや7だけ、77だけなど。不完全でも音は揃っているフレーズは、あとで役に立ちます。

それでは、冒険に出かけましょう!
……の前に、やる予定のクエストが分かっていればそのクエストに関する言葉も書き出しておきます。
例はいつもの「月下の再殺」でいきましょうか。

クエスト内容のネタバレをしますが、みんなプレイしてるし内容知ってるクエストなのでいいでしょう(傲慢)。知らない方も安心してください。多少ネタバレしたところで色褪せるような作品ではないですからね(超傲慢)。

プレイ前にわかるのは、貼り紙のみ。「月下の再殺」というタイトル、イメージ画像の月と叢雲。あとは、「惨殺事件の解決が依頼された。」という詳細の一文。あと、タグなどからバトルなんだなとか、わりとグロめなんだなということが分かります。うーん、なんだか物騒ですね。

では、分かる範囲で語を書き出します。
「月」2。「月下」3。「満月」「叢雲」「腑」4。「夜夜中」5。音も数えておきます。
月関連で3語も稼いでしまった。いえむしろ、一つの語にこだわらず、ひとつの要素からいくつもの語を書き出す方がよいでしょう。まあ貼り紙からわかるものなんてそう多くはありません。既プレイのクエストなら、内容を思い出して踏み込んだ語を書き出してもいいと思います。
この時点で、ソラアヲと夜は相性が良さそうなのでフレーズもストックしておきます。「いずれ朝くる」7。

また、一緒に遊ぶ他キャラクターさんが分かっているのなら、その詳細文や固有化と睨めっこして、これまた関連する語を書き出します。といっても、今の自分のキャラクター(ソラアヲ)視点で分かることのみです。初対面から目の色や髪色のみにとどまるかもしれません。何度か会っているのなら、性格に関するものとか。深い話もしているのなら、その出自とか。
まあ実際のスエッピはそこまで真面目にはやってませんでしたが……ともかく語を書き出して、その音の数を数えてまとめておきます。

よし、ここまで準備したなら冒険に出てもいいぞ。

クエストの途中にも、合間合間で語を書き留め、音を数え、フレーズも書き留めていきます。「街中」での戦闘のようです。「家」「住宅街」「家々の灯」。相手は吸血鬼でした。「牙」「怪物」。「牙持つひとの」7。ちょっと悲しい終わりでした。「なぐさめ」「伝言」「手向け」……。あと、いずれ朝くる、よりも吸血鬼にはこの方がいいでしょうか。「もう二度と朝を見ぬひと」57。

たくさんパーツが集まりました。しかも、音の数は全て把握済み。あとは、他の人のRPを待つ合間や戦闘処理中とかに組み上げていきくだけです。(月下の再殺はソロですけどね)

「朝の陽を二度と見ぬひとわれを見よ手向けた心しおれる前に」
……まあいいでしょう!それらしければokです。

他キャラクターさんとのお話中にも、同じようなことができます。明かされる気持ちや、過去の記憶、さまざまなエピソード。そこから連想される単語や、浮かんだフレーズはどんどんメモします。そして、相手の考慮時間や、相手と他の相手が話している隙に、組み上げていきます。爆速ロールプレイヤーとのタイマンでは無理でしょうが。でも運良く歌ができたら、タイミングを見て言ったり言わなかったりします。相手に直接プレゼントしてもいいかもしれません。歌ですからね。

こういうことをしているとなんか、短歌筋みたいなものが育つみたいで、だんだん前準備がいらなくなっていきました。私の場合は。というか、最初にストックしたキャラクターに関する語やフレーズや歌が尽きてもうおしまいだー!と思ってたら、残弾が尽きてるのに普通に詠めちゃいました。四次元ポケットから弾出てきた。?

言うまでもないことなんですが、一番大事なのは、短歌を詠むことや短歌を詠んでキャラクターに言わせることを目標にしないことだと思います。自らへの反省であり、自戒です。
「短歌を詠むため」に、考える時間を余分に増やし、相手を待たせるのも褒められたことではないでしょう。あくまで相手を待っている間だけに進めます。そのための前準備でもあります。まあいくら準備しようと爆速ロールプレイヤーとのタイマンでは無理でしょう。
また、短歌はロールプレイ上では飛び道具といったところです。思った以上に、飛び道具です。思った以上に、注目を浴びます。下手すると場の話題をぶったぎります。想像以上でした。すみませんでした。
話の流れによっては、なかなか言えません。そのまま話題が移り変わり、言えるタイミングは二度とないかもしれません。しかしリアルタイムであることにこだわらず、あとでソロールするとか固有化するとか人に贈るならメッセするとか、やりようは色々あるわけです。
短歌を詠むことは目的ではないわけです。キャラクターが、気持ちを詩に、言葉にすること。その言葉が、他のキャラクターにどう影響を与えるのか。
言葉が、という点では通常のロールプレイとなにひとつ変わりはないでしょう。けど、それが詩であることは、一味違った交流をもたらす……かもしれません。私には、もたらしてくれました。ソラアヲが、ソラアヲと交流してくれたみんなが、短歌が、言葉が。ありがとう。タンカを詠め!

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