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見えない物を見ようとして鏡を覗き込んだ

私は左利きだ。ノートをとっている時、遊びに行った先で名前を書く時、会社で書類にサインをしている時よく横から言われる。

「へぇ、北野くん左利きなんだね」

うるせぇ。

この個性偏重主義の社会で左利きなんてものはもはや珍しくもなんともないだろ。こっちが今までの23年間の内にその話何回してると思っているんだ。「あー。そうなんですよー」しかこっちも返せないし大して話広がらないだろ。何ならお前3週間前に全く同じやり取りしたからな。

しかして正確に言えば私ただの左利きではなく、字を書いたり箸を持つような細かい作業が左利きで、物を投げたりバットやラケットを振るような力が必要な大きな動きは右手という中途半端な両利きであり、この事を「クロスドミナンス」というらしい。

この中途半端な両利きや、時計の針が止まって見える現象、本屋に行くと謎の便意が押し寄せてくる現象など、どんな現象にも(個人特有の物でない限り)名前が付いている。それは私のような不安がりな人間にとってはこの上なく有難いことではある。自分1人だけがおかしな訳でははない証左になるからだ、しかし身勝手なことにチープなカテゴライズをされるのは業腹だ。血液型とか干支とか。ブラッドタイプハラスメントなんてものも最近ついた名前だ。

人を見かけで判断するのは当然の事ではあるが、それにしても簡単で薄べらな情報でカテゴライズをされるのは気分が良くない。

私の見た目からすぐ伝わる情報は

「眼鏡」「モヒカンで背中まで届くロン毛」「髭」「直径1㎝くらいのピアス」「服が派手」

ぐらいの物であるけど(書き出したらかなり十分過ぎる特徴だが)、それにしてもはじめましての第一声が「バンドとかやってる人?」とか「闇が深そ〜」はおかしい。奇抜な格好を好む私も悪いがそれでもジャブが重た過ぎる。初手に相応しくなさすぎるだろう。デリヘル嬢お前の事だ。聞いてもないのにV系からホストに流れて京都からはるばる岐阜に出稼ぎに来ているという身の上を会って2分で話す奴があるか。そんな手首がズタズタの女の出会って2秒での「闇が深そ〜」で鼻っ柱を折られた俺の気持ちを考えろ。結局話が面白くて会話だけで80分使い切ってしまったじゃないか。やるじゃん。楽しかったわ。

話が逸れてしまった。

人はカテゴライズを嫌うけれど、他人からの押し付けがましいカテゴライズ(レッテル)ではなく自己分析という視点での自己同一性の確立の一環として現象や考え方(主義)の名前を知り、ボンヤリとした孤独から逃れる為のカテゴライズならそんなに悪くないのかな、と。

もちろん体調が悪くて体温を測った時に思ったよりも熱があって、それを見た瞬間に余計体調が悪化するような事もあるから(この現象の名前は知らない)一概に言える事でもないのだろうけど。



私は最近飲み過ぎて吐く時に毎回血が混じっているけどなんか怖いので病院には行ってません。

それでは。

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