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人が好き過ぎる

人が好きだ。

私はロクデモナイ人間ではあるのだけど1つだけ誇れる事がある。

それは人を好いているという事だ。

より具体的に言えば人と話をする事が好きで。人の為に何かするのが好きで誰かと一緒にいるのが堪らなく安心するのだ。

唯一の親友は私をコミュ力の化け物と呼ぶ。

アクセサリーショップの店員と仲良くなり、彼女のバイトが終わってから居酒屋で7時間ずっと喋り続けたり、県立図書館で仲良くなったおじいちゃんの家に招かれて夕食を共にしたりした事がある自分は類稀なるコミュニケーション能力が宿っているに違いない。一周回って気持ち悪いくらいだ。他人の悪意に対するセンサーが馬鹿すぎる。

話術にもそれなりの自信があるし、ありがたいことに会社でもかなり可愛がられている(自分で言うのもなんだけれど)。

ただ本当は人が好きじゃないんじゃないかとずっと思っていた。

私は人に好かれたいだけなのではないか?

それに気付いたら最後。忘れる様にしていた思春期特有の潔癖感が息を吹き返した。私のような人間は聖人にでもならなければ人には好かれるはずもない。自分の様な人間のクズはせめて面白くなければ誰も側にいてはくれない。といった自らの首を締める考えばかりが巡ってきた。

そんな考えに支配されてしまい、かなり深い自己嫌悪に陥っていたが、仕事場で先輩に声をかけてもらい無駄話に興じたり、友人から夕食の誘いが来たりした時に無意識に上がる口角を自覚したその時に私は人に好かれたい事と人を好いている事は両立出来る事をようやく知った。自分の事ながら気付くのが遅すぎる。

誰かの為に何かするのも、人と喋るのも人と過ごす事も他人の笑顔に関わる事が堪らなく好きな自分は、他人の笑顔で笑顔になれる事はきっと美徳であると信じている限り23年間募らせてきた(そしてこれからも募らせていくであろう)自分の醜さからほんの少しだけ目を背ける事が出来るのだ。

安っぽいナルシズムでも公言していればいつか本当に自分を好きになれるといいな。


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