まだ、見えない

映画「星の子」を観た。

きれいなアニメーションの予告編と、主演の芦田愛菜はもちろん、永瀬正敏や岡田将生、個人的に気になる俳優さんたちが出演していたので、前々から気になっていた。

仕事が忙しかったが、時間ができた12月の日曜日、思い立って、大森の小さな映画館まで観に行った。

エンドロールは「え、ここで終わるの?」という感じ。ストーリーとしては、分かりやすい結末といったものは無かった。それでも、私はこの映画とても好きだなあ、と思った。

新興宗教を信じる両親と、片思いの相手への思いの間で揺れる主人公ちひろ。

大雑把にストーリーを説明するとそんな感じだろうか?

親から受け継いだものは宗教含めて否応なしに子にも引き継がれることが多いが、信じる気持ちは、果たしてどうだろうか。

ちひろはどこかで違和感を感じながらも、自分はそれを信じているかは「わからない」。しかし何だかんだ生活の中でその「水」を自らも飲み続け、習慣を受け入れている。

ちひろは最後まで両親や宗教を否定はしない。

ただ、否定はせずとも、その姿勢は最後には、覚悟を持った力強さが伴っていた。そんな話。

きっかけは岡田将生演じるちひろの片思いの相手の数学教師。話は逸れるけれど、うーん、岡田将生はこういう自意識過剰な中身が残念なイケメンを演じていることが多い気がするなぁ(「告白」とか「伊藤くんA to E」とか)。

とにもかくにも、この空気読めないイケメン教師がたまたまちひろの両親が「儀式」をしているところを目撃し、ちひろの前で「変なヤツ」呼ばわりしてしまう。ちひろはそこで初めて自分の家族がどういう風に見られているかを痛感する。

そこから恥ずかしさや色々な葛藤はあるものの、両親から距離を置くというわけでもなく、頭ごなしに責めるというわけでもない。最後の星を見るシーンでも、両親とただ一緒にいる。

そして、3人で流れ星を探しながら父親が、「まだ、見えないなぁ…」。そこで物語は終わる。

まだ、解決策とかハッピーエンドは見えない。

明らかな救いはないけれど、両親のちひろへの愛情は本物で、ちひろもそれをわかっているのだろう。

なにか、これ!といった結論はないけれど…もう一度、今度はもっと丁寧に観てみたいと思えた一本だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?