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オドオドした営業マンに魅力を感じた話。

在宅で仕事を始めた頃、自宅のインターネットの速度を上げたいと思い、休日にケーブル会社の人に来てもらった。

こちらから連絡して来てもらっているのだから、営業マンとしてあえて何か言葉巧みに売ってもらう必要はないのだが、それにしても、オドオドとした雰囲気で若干頼りない、30歳前後の男性が来た。正直、変な人来ちゃったなと思った。

プランについて色々説明を聞いていると、話し方はしっかりしているので、ただ単に、内向的で緊張してるのかな、と思い直した。変な人とか思ってゴメンナサイ。

プランを決めて、用件が済んだ頃、我が家の散らかった部屋を見回して、しどろもどろこう言った。

『お子さん3人いらっしゃるんですね。
うちはまだ生まれて10ヶ月の子が一人いるだけなんですけど、階段やキッチンにゲートとか付けてないことにびっくりです』

我が家の子どもは7歳、4歳、1歳で、確かにゲートがあっても良いのだが、逆に開閉が面倒、だめだよと言い続ければ入ってこない、制限しすぎることで危険回避ができなくなることも不安…とそこまで聞かれてもいないのに、つい自分の考えを長々と語ってしまった。

伝えながら、『あ、私このことにこだわり持ってたんだ。なんかびっくりされて嬉しい自分がいる』と気づいた。しかも、へえぇ、と感心したような態度で聞いてくれて。

さらに、今回なぜインターネット接続の速度を上げる必要が出てきたのかという話になり、在宅ワークでパソコンを使うんですが、zoomで固まったことがあって…などという話をしたところ、

『あっ、家で仕事なんていいですね!僕の妻がそろそろ職場復帰する予定なんですが、通勤時間のこともあって時短にするか悩んでます。相談に乗ってほしいくらいですっ』

そんなことを、初めての子育てに奮闘しているだろう若い人から言われれば、特に私のようなおせっかいで、誰かの役に立ちたくてたまらない人間からすれば、「この人を応援しなくては」と思うのは当然の流れであった。

単純な私はすっかり彼に好印象を持ち、また何かあったら、彼に連絡してプラン変更やサービスについて相談しよう、と名刺を大事にしまった。

「口下手でしどろもどろでも、お客さんを持ち上げて気分も良くしたうえで応援してもらえるよう誘導する」作戦。いつか使わせていただきます。笑

もしかしたら、彼はそれを計算済みだったりして。だとしたら面白い。



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