短歌

cakesコンテスト2020に応募したいので再投稿。

これまでに作った短歌です。

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故郷の祖母は海老を「いぇび」と言い甘海老のこと「あまいぇび」と言う

二十五回ポンプを押してつひに我が一回分のシャンプー得たり

レジ袋要らぬ私に2円引きされた金額ならちょうどある

ビール求めまさぐる氷水の中どの缶もどの缶も発泡酒

音楽に合わせてみんな跳んでいるぼくも跳ぶべきかみんな跳んでいる

北端のUFJから南端の三井住友へ商店街を行く

ボリューミーな知らないパンを手にとって、眺め、もどして、知っているパン

歯科助手は聞こえているか歯科医師の腹の音おれは無視しているぞ

得た気したゆでたまごうまく剥くコツはまぼろし二個目剥くんじゃなかった

おかわりをした二枚目のナンを食べきるのにほんの少し無理をした

昨日着ている人を見たおれだって今日からダウンジャケットを着る

うちにあるどの鍋よりも少しだけ大きいもしくは小さい蓋だ

ぬいぐるみの上着を脱がし背を割って確かめている電池のサイズ

出かけなきゃ休みの日こそ出かけなきゃ出かける前に洗濯しなきゃ

気になって戻ってみても今日だってやっぱりちゃんと閉めている鍵

知らぬ人越しの車窓に現れし富士ちらりとも見ぬ知らぬ人

バーガーを食い進めるある一口にトマトのすべてが引き摺り出される

ことごとく下校の子らが履いているおれもその頃履いていた靴

ひとつ飛び出したカードはババかババではないかババかババではないか

そりゃ本気でやってないもの君のより小さくできあがるさ雪だるま

自転車が二台停まっている夜の公園のどこかに二人いる

"一万歩歩く"を日々の目標とする僕の台風の日の九歩

正面に朝日がのぼる我が走る同じ方向に地球も回る

新郎が坊さんなりきハゲ頭ならぶ式場パノラマで撮る

おれを差し置いて掲載されている短歌はおれのよりおもしろい

数学を好んで学ぶ人がいて数学教師がまさにその人

かたづけるとき手付かずの味噌汁に浮かぶ毛を見て反省をせよ

本当の気持ちの1.1倍の声で謝る遅刻の電話

野茂の投げるフォームを真似してくずかごに投げる紙くずいつもより落ちる

トンカチのイントネーションはトンカチと思い込んでた本当はトンカチ

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