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過度な申告敬遠を対策するルールを考える

※この記事の内容は個人的な頭の体操の一環として行ったもので、その意味での意見交換などは貴重で嬉しいが、実際の課題に対して推進していきたいものではない


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大谷翔平が目覚ましい成績を残す中で、敬遠四球の多さが話題になっている。

敬遠自体はれっきとした戦術で、エンゼルスのチーム力が相対的に低めなこともあり、そこで孤軍奮闘する大谷との対決を要所で避けるのは、勝負の観点では合理的とも考えられる。
とはいえ、エンターテイメントである。大谷の活躍を楽しみに観戦しているのに、敬遠ばかりとなってしまっては味気ない。プロスポーツはファンがあって成り立っていることもあり、彼らの体験価値を損ねるのは得策ではない。

こういった現状ではあるが、ただ敬遠四球の多さを嘆いていてもアレなので、何かルールを設けることでチーム勝負としての戦略性とエンタメとしての質を維持できる形が作れるのではないか。

ということで、それを考えてみた。
実際の野球規則と見比べたわけではないので、どの条項に追加すべきかや言語表現については触れていない。

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【ルール】
4球ボール球が続いた四球に対して、新たな概念を与える(命名がしんどいので今回はXとする)。
各打者選手ごとにXの発生がその試合で2回目以降となった場合、Xによる進塁は塁2つ分とする。塁上に走者が存在する場合は、Xによって進塁した走者(打者走者も含む)に押し出される形で進塁する。
申告敬遠は、Xと同様に扱う。

例:その試合で一度申告敬遠を受けている打者に申告敬遠を宣告した際の進塁例

1.二死二塁の場合
→申告敬遠を受けた打者が二塁に進塁、二塁走者が押し出される形で三塁に進み、二死二・三塁から試合を再開する

2.二死二・三塁
→申告敬遠を受けた打者が二塁に進塁、二塁走者が押し出される形で三塁に進み、三塁走者が押し出される形で本塁に進み、得点1を加算した上で二死二・三塁から試合を再開する

3.二死三塁
→申告敬遠を受けた打者が二塁に進塁、三塁走者は打者走者の進塁に影響しないためそのまま三塁に残り、二死二・三塁から試合を再開する

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この課題の難しいところは「勝負を避けるための意図した四球」と「勝負にいった結果の四球」が主観的にしか判断できないことにある。申告制度を廃止したところで投手はボール球を4つ投げれば敬遠を実現できる上に、そこに勝負する意図があったかは客観的には判断できない。
そのため、攻撃側が敬遠を何らかの形で拒否できるような仕組みを考えるのは難しく、守備側の敬遠によるリスクを増やす方向で考えるのが良いと考えた。

一応断っておくが、そもそも敬遠は守備側がリスクを背負う選択である。しかし、そのリスクが小さいケースで簡単に背負えてしまうことが問題であるため、追加リスクを伴う形にすれば安易な敬遠(※)も減らすことができたり、それを含めての采配駆け引きも発生するだろう。
(※…例えば、早いイニングでピンチを迎えた際に8番打者を敬遠してDHがなく打席に立つ投手と勝負するようなケース、これ自体はDH導入で解決できるかもだが今はそういう話題ではない)

個人的に肝だと思うのはXと仮置きした「4球連続のボール球による四球」の概念である。
ただ、単に四球にリスクを上乗せするとボールゾーンを使った勝負をしづらくなり、投手不利となり現状の投打のバランスを崩してしまう。
元々、ここには勝負に行ったのか避けたのかを客観的に判別できない難しさがあったので、新しい概念を加えることでルールとして客観的な判別ができるようになることを期待している。

守備側に与えるリスクにも色んな案が考えられるであろう。
例えば、次打者以降のカウントを有利にすることも考えたが、ストライクカウントは勝負のバランスを変えてしまうし、アウトカウントを減らすのはノーアウトの場合が難しく、アウトカウントを一つ無効にするのは打者及び打者走者以外でアウトが発生した場合の裁定が難しいと感じた。
打者走者の進塁であれば、そこで完結して以降のプレーに影響を与えないので裁定が複雑になることも少ないと考えた。


このルールを導入する上で懸念していることは3つある。
まずは、敬遠対象の打者への有利は発生しないこと。敬遠した際のリスクを増やしているだけなので、状況次第ではそれ込みでも敬遠を選択される可能性は否めない。
次に、審判の負担が増えてしまうこと。試合中に発生したプレーによって結果が変わるルールは、たぶん今の野球のルールにはない。プロの審判なら試合中のプレーを記憶しているかもしれないが、将来的な判定に関わる可能性があるので記憶しながらジャッジするというのは明らかな負担増である。
最後に、故意死球が増える可能性があること。上記のルールでは死球は適用外にしているが、これも故意かどうかの判別が難しく、一律で適用してしまうと勝負バランスが崩れてしまう。プロスポーツでそんな不誠実は起きないだろうと思いつつも、ルールの抜け穴としてそういう捉え方が存在するのは嫌なので、できればそうならないルールにしたい。

色々と考えてみたが、もしこういったルールを制定するにしても適用するのはプロスボーツとして成り立っているものだけが対象で良いだろう。最初に書いた通り、エンタメ性を維持する目的であり、アマチュア野球にはそれを求めていないからである。
野球の楽しみ方は人それぞれで、個人の活躍を楽しんでいる人間もいれば、チーム勝負として楽しんでいる人間もいるので、なるべく多くの楽しみ方が損なわれないような対策が敷かれると良いですね。



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