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古い映画ポスターの見分け方|ポスター展・名画座を少しだけ楽しく見る方法

この記事では、映画ポスター(いわゆる地方版ポスター)について語ります。

※一映画ファンの調査です。これを読んでご自身で調べられるのは自由ですが、当記事を根拠とした不確かな情報拡散はご遠慮ください。



 これから話す話は、コレクションを自慢するためではなく、各地のポスター展や名画座を訪れた時に飾っているポスターを見てパッと見て判別できると楽しいよ、という趣旨の内容です。
 古い映画ポスターを集めている方くらいにしか伝わらないマニアックな話ですが、参考にしていただければ幸いです。

◇ポスター収集の経緯

 何年か前、昔の映画ポスターをよく収集していました。

 きっかけは2018年、豊橋市で行われた映画ポスター展「絢爛!スターの時代 1950年代展」。スロータウン映画祭実行委員会顧問である佐々木順一郎氏の集めた資料が中心に展示されていました。

 思い返せば、映画のパンフレットや映画雑誌を買ったり、過去にnoteでまとめている昔の映画館について調べたりするきっかけになったのもこのイベントに参加した事から始まりました。

 関連して、大須シネマ・プレイベントのポスター展でも佐々木順一郎氏の所蔵ポスターが展示されていました。

 確かその次が毎月18・28日行われる大須骨董市。そこでは映画グッズを売っているブースがあって、初めて映画ポスターを買いました。日活映画の『霧の中の男』という作品です。

『霧の中の男』(地方版ポスター)

 「古い映画のポスターを探している」と店の方に尋ねた所、若手時代の小林旭が出ているとか、のちに水戸黄門を演じる西村晃が悪役が出ているとか解説をしてくださったのを今でも覚えています。少しだけ値引きしてくださいました。その節はありがとうございました。


◇ポスターの種類と判別方法

 その後、ネットオークションで検索すると古い映画ポスターが山ほど出品されている事が分かり、数年間購入していました。(今は、よほど好きなもの、気にいったものがあった時しか買っていません。)
 そこで古い映画ポスターの違いについて自分で調べ始めました。

○地方版ポスター

 某掲示板を見てみると、先人のコレクターの書き込みがあります。匿名の掲示板なので情報源としては確かではありませんが、収集する際に自分はこれを参考にしていました。

1291242005/12/12(月) 23:37:12
>>127
雰囲気のある良い図柄ですね!
下に余白(日付や劇場名が書き込める様になっている)があるので地方版だと思います。

今は配給会社・製作会社がポスターを発行していますが、60年代以前は本社以外にポスターを専門に作っている会社が存在しました。興芸社、宣映社といった会社がそうで、ポスターの下隅にマークが入っています。一方マークの入っていない地方版もあり(発行元不明)、おおむね本社版に較べると見劣りする場合が多いです。余白のないポスターも当然作られています。
よって評価も本社版にくらべると落ちます。(コレクターの中には地方版を認めないという人もいます。)

ただし人気のある作品はそれなりに高額で取引されています。
お持ちのポスター、私だったら2万即決で買います。
安い買い物をしましたね!うらやましいです。

※ 映画ポスターコレクターの自慢話 ※ - 5ちゃんねる掲示板

 古い映画ポスターはいわゆる本社版(映画会社オリジナル)地方版ポスターと呼ばれる大きく2種類に分けられます。これは正式な名称がなく昔のコレクターが発祥なのかわかりませんが、区別のために自分も使っています。

 地方版ポスターを目を凝らして、左下・右下あたりを見ると以下のマークをよく見かけます。これは書き込みに登場した興芸社、宣映社、それに加えて東京映画宣材株式会社という会社が製作したものです。

・興芸社(山のマーク)
・ポスターの宣映社(アルファベットのPマーク)
・東京映画宣材株式会社(○に映マーク)


興芸社(山のマーク)


ポスターの宣映社(アルファベットのPマーク)


東京映画宣材株式会社(○に映マーク)


 これらのポスターは会社名が書かれずにマークだけという事が多い印象があります。マークだけで見分けられる事が出来ればかなり通ぶれます。
 余談ですが、自分は三社の中では東京映画宣材株式会社のポスターに好きなものが多いです。検索すると出てきますが、『0番街の狼』や『ろくでなし稼業』が好きです。ぜひ他の会社製と比べてください。

○本社版ポスター(映画会社オリジナル)

 映画会社が作ったポスターはというと、自分が主に集めているのは日活映画ですが、「日活株式会社製作配給」と書いてあるのが本社版ポスター(映画会社オリジナル)です。地方版の場合、「日活映画」や「日活スコープ・日活マーク」が使われている事が多いです。
(他の映画会社の見分け方は知りません。多分もっと詳しい方がいるはず。)

 また、出演者クレジットの数の違いもあります。これは例外もあるのですが一番分かりやすい判別方法です。
 自分が所有している分だけなので正確な統計ではありませんが、本社版の平均値は約16人(数がバラバラ)地方版は約9人(最頻値8人)です。
 地方版は大きめに文字を配置して遠くからでも見やすいように、映画会社は文字は小さくてもできるだけ多くの所属俳優の名前を売りたい、という違いがあるのかもしれません。

 以上の見分け方を知っていれば、先ほどの大須骨董市で買った『霧の中の男』の場合は、

・出演者クレジットが少ない
・「日活株式会社製作配給」の表記が無い

 なので地方版ポスターである事が分かります。
 ただし、三社のマークはありませんでした。まだ知らない地方版を作っている会社があったのかもしれません。

再度申し上げますが、自分のコレクションを自慢するための記事ではありません。ぜひ各地のポスター展を見学したり、名画座で飾られたポスターを見て楽しんでみてください。


◇各地のポスター展を巡る

○愛知県豊橋市

 最初に紹介した「とよはしまちなかスロータウン映画祭」の企画で、ここ数年は毎年夏頃にポスター展が行われています。スロータウン映画祭実行委員会顧問である佐々木順一郎氏の集めた資料を中心に展示。

絢爛!スターの時代 1950年代展(2018年8月)


○岐阜県羽島市

 2021年5月、羽島市映画資料館を訪れました。この時、ダイニチ配映の解散から50年という事で日活・大映映画ポスターの企画展「大映・日活映画2752本の軌跡展」が開かれ、原詠人氏による「昭和42年怪獣大集合展」も同時に行われていました。

羽島市映画資料館(2021年2月)


○愛知県刈谷市

 2021年5月、刈谷市郷土資料館を訪れました。元刈谷市副市長の川口孝嗣氏の収集したポスターが展示されていました。こちらは現在も見学出来ます。

刈谷市郷土資料館(2021年5月)


○愛知県蒲郡市

 2022年2月、蒲郡市博物館を訪れました。「なつかしの映画ポスター展」が開かれました。映画館「蒲映(がまえい)」の元経営者の家族による寄贈品と、豊川市在住の映画愛好家・大塚房雄氏の所蔵ポスターが中心。

蒲郡市博物館(2022年2月)



※一映画ファンの調査です。これを読んでご自身で調べられるのは自由ですが、当記事を根拠とした不確かな情報拡散はご遠慮ください。

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