鯉ノ上アキ

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最近の記事

2020年9月5日(土)さよならの向こう側

生まれて初めて胃カメラを飲み、生まれて初めて静脈麻酔を打った。 「麻酔が効きはじめたらカメラいれますね」という医師の言葉を聞いて後、看護師に両脇を抱えられて麻酔をさますための椅子に座らされるまで、まったく記憶がない。 麻酔が効くときというのは、寝落ちるときのように知らないうちに眠るみたいなものかと想像していたけど、もっとふいなものだった。スイッチが切られるように、パタっと意識がなくなって、それっきり。死ぬときというのは、あんな感じなんだろうか。誰も教えてはくれないことだけ

    • 2020年7月26日(日)すっきりすることがない

      人の多い街中をなるべく避けて、住宅街にあるメキシコ料理店で、バスでゆらゆらと向かって落ち合った。料理の評判はまずまずながら、店主が無愛想で感じが悪い、という口コミがほとんどだったので、少し身構えて席に着いたけれど、美味しい料理や店内のかわいらしい装飾の感想を素直に伝えると、とても気さくに話してくれて、帰りにはお土産さえ持たせてくれた。人の感じ方や相性は千差万別、口コミの通りの事もあるし、まったく異なった感想を持つこともあるから、目安程度として受け止めるという感覚を忘れたくない

      • 2020年5月24日(日)強くありたいと思ったわけではない

        「君の態度やユーモアのセンスは、前の恋人を思い出させる。時々似てるって思う」とHに言われる。「それって喜んでいいとこ?」「もちろんだよ!」嬉しいようにも思うけれど、そうでもない気もする。Hは男性でゲイ。つまりは前の恋人は男性である。京都にいるという、Hの私に似た元カレのことを、しばし考える。 2つ前の会社の人たちと、オンライン飲み会。1対1で会うほど親しい人もいないけれど、数年おきにそれぞれ近況を伝え合う間柄だ。いつの間にか出会ってから10年が経っている。この最中の出来事や

        • 2020年5月16日(土)ふたたびの恋

          坂元裕二のドラマを見返していたら、ふいに野沢尚のことを思い出して、10数年ぶりに記憶を掘り起こす。連続ドラマも単発ドラマも小説も、おそらく彼の作品の8割は観て読んでいる。『恋人よ』『恋愛時代』『眠れる森』『リミット』…どれもこれもが面白かったな、とても好きな脚本家だった。あの頃はずいぶん大人のことを描いていると思っていただけれど、もはやわたしはどの物語の主人公の年齢をも超えているに違いない。それどころか、野沢尚が亡くなった年齢にもほど近くなっていることを知って、愕然とする。1

        2020年9月5日(土)さよならの向こう側

          5月17日(日)仮住まいの日々

          コロナに関する言説を日々たくさん読む。名も知らぬ人のTwitterのつぶやきから新聞記事まで。そのなかでもっとも心にしっくりきたのが数日前の斎藤環先生のnote。わたしは頭が足りないので5割くらいしか理解できていないかもしれないのだけれど、全世界がコロナ時間に強制同期させられている、という件に、もやもやした思いの一部が縁どられた気がした。 雑学メモ:ワインオープナーがなくてコルクが抜けない時、瓶の口の周りをライターの火で温めると、コルクが出てくるらしい。あるいは、ワイン瓶の

          5月17日(日)仮住まいの日々

          2020年5月12日(火)ありのままの

          まつ毛サロンに行かれなくなって3ヶ月。数年ぶりに自分の地まつ毛と向き合って、思い出した。なぜまつ毛パーマをはじめたかって、とってもまっすぐだったからだ。寸分の巻きもなくまっすぐと、斜め下方に向かって伸びている。この垂直ぶりが、ずっとかわいげがないと感じていただけれど、これはこれで、悪くはないかな、と今は思う。髪の毛も少しずつ、ありのままの様相。こちらもゆるぎなく、まっすぐ。 Yちゃんのインスタを見ていたら、少人数とはいえ結構人と会っている。彼女の家からさほど遠くはないかもし

          2020年5月12日(火)ありのままの

          2020年5月11日(月)遠くに在りて

          画面越しに赤が似合うと言われたので、調子に乗って赤いワンピースをゾゾタウンでポチる。しかし、特にこれを着て会う予定はない。ただいろいろ想像するのは楽しい。 依頼されたあるオンラインセミナーを実施するため朝10時半からスタンバイしていたが、5分前になっても、一人もログインしてこない。録音されるし、参加者が何人だろうと費用は申し受けるので、実施はする予定だったけれど、まさかの0人。ゼロ。画面の向こうの静寂に気づかぬふりをして、演じ続ける30分。最後は、ご質問はありますか?(沈黙

          2020年5月11日(月)遠くに在りて

          2020年5月10日(日)愛するものと共に生きる

          今日の『ザ・ノンフィクション』は、獣医師の太田快作先生の日々を追いかけていた。1LDKのお住まいで11匹の猫と愛犬と生活する様はなかなか変わっていて、人間と家庭生活を共にするにはハードルが高そうだけど、さすが獣医師の先生、限られた居住空間の多頭飼いなのに、すっきりしていて動物たちも快適そう。愛犬の花子ちゃんが自分のすべてだと言い切り、その動物愛護や治療に関する姿勢には揺るぎがない。先生がボランティアの方々に止められても身勝手な飼い主を怒鳴りつけるところでは、泣けてきた。動物を

          2020年5月10日(日)愛するものと共に生きる

          2020年5月10日(土)居酒屋が恋しい

          15分のYouTube筋トレの後に、2キロの外ラン。マスクをつけてのランニングは、気温が上がってくると苦しい。 Netflixで『ダイナスティ』を2話ほど観る。この富豪一族の物語を惰性で観てしまっているけれど、出てくる女たちはなべてビッチで観ていて気持ちはよろしくない。感情むき出しでつかみ合うキャットファイトは爽快ではある。執事のアンダースの、使用人らしからぬ高貴さは好き。 夜はHたちとオンライン飲み会。つまみのテーマは「居酒屋」にしようと事前に打ち合わせたものの、蓋をあ

          2020年5月10日(土)居酒屋が恋しい

          2020年5月8日(金)食べ物のことばかりを考える

          ゆとり世代の部下が、目を離すとサービス残業に明け暮れることが、目下の悩みです。残業代は100%申請通りに払われるし、残業時間が20時間を超える社員すら片手に数えるほどしかいない平和な会社にいながら、なぜサービス残業なんてするのかしら。サービス残業なんて、平成の時代から既に死語だと思っていたけど、とYさんに問うと、「きっと成功体験があるんだろうね。遮二無二働いたら褒められた、みたいなさ」とのこと。なるほど。 テレビで流れてきた音楽を耳にして、「『池袋ウエストゲートパーク』だ!

          2020年5月8日(金)食べ物のことばかりを考える

          2020年5月6日(水)素爪は久しぶり

          夕べ深夜2時前に地震があって怖かったので、朝起きて防災グッズの見直しをした。とりあえずリュックが埃をかぶっている。水も乾パンも消費期限は2021年だった。筆記用具とタオルを追加する。 地震で少し目が冴えてしまったので、深夜から明け方にかけてHDDに残っていた『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』を数話観た。高橋一生は、この後に人気が出てこなしたいくつかの役よりも、この時のクソな引っ越し屋の先輩役がとてもいい。いろいろなことを取り繕った半笑いの表情が最高だ。彼は今でも

          2020年5月6日(水)素爪は久しぶり

          2020年5月5日(火)曜日の感覚がなくなるので

          史上最強に無為なゴールデンウィークが明日で終わる。 こんな休日には必ず、 何もできずに/今日もまた/可哀想ね/終わってしまった ACOの『悦びに咲く花』という曲のワンフレーズが頭のなかでぐるぐる廻る。もう20年廻り続けてる。と思うと時の流れが空恐ろしい。 「何してたの?」「Amazonプライムを観て、本を読んで、YouTube動画で筋トレをして、本を読んで、洗濯をして、Netflixを観て、料理をして、時に走って、時に友達とオンラインで話したよ」「すごく充実してるじゃん!

          2020年5月5日(火)曜日の感覚がなくなるので