見出し画像

「遺伝」を学ぼうと思ったきっかけ

「なぜ遺伝カウンセラーになろうと思ったのか?」
と聞かれることは、実はあまりないです。
そもそも「遺伝カウンセラー」という職業や役割をご存じない方もいらっしゃいます。
(詳しくお知りになりたい方は、日本認定遺伝カウンセラー協会や認定遺伝カウンセラー制度委員会のホームページをご参照ください!)

そういうわけで、今回は「遺伝」に関することを私が学ぼうと思ったきっかけについて、お話したいと思います。
※長文です。

ちなみに私が「遺伝カウンセラー」の存在を知ったのは、2009年の春でした。
大学の同じ研究室の同級生から、「こういう比較的新しい職業があるらしい。目指すためには大学院で学ぶ必要があるらしい」と教えてもらいました。
どんな話の流れでその話に至ったのかはほとんど覚えていないけど。
当時は卒業研究の研究室が決まった頃でした。
看護学生ながら基礎医学系のテーマに取り組むことになったのですが、その背景にあったのは一般教養科目での出来事でした。
私は看護専門学校卒業&看護師国家試験合格→看護系大学編入学という経歴を踏んでおり、看護師になるための勉強をひととおりしてから大学に入ったわけですが、一般教養科目の一つだった「生命科学」の授業で大きな壁にぶち当たったのです。
「遺伝」や「遺伝子」に関することでしたが、先生の言っている内容が全くわかりませんでした。
高校時代にセントラルドグマ、遺伝形式、細胞分裂、減数分裂、染色体地図の計算は既習。
専門学校でも生化学や解剖生理学はもちろん既習。
ところが、染色体の構造や遺伝子発現の仕組みは学んでいませんでした。
からだの設計図の仕組みも学ばずに看護職になっていいの?
これって抗がん剤等の薬の理解のためにも必要じゃない?!
と思い、ショックを受けました。
そして、インターネットや科学雑誌、成書で調べながら自分なりに頑張って勉強したり先生に質問したりして、なんとか授業についていけるようになりました。
その時、私だけでなく周囲の友人たちも皆苦労していて、
「看護職を目指すために、『いでん』に関する知識を得たり理解することは大事。でも、あまり学ぶ機会がないのかもしれない。そして、多くの人にとって『いでん』に関することは、どうやら難しいことのようだ」
という感触を持ちました。

そして、少しずつわかるようになってくると、面白いな、身体の仕組ってすごいなと思うようになりました。
自分が苦労したからこそ、分かりやすく説明できるようになれたらいいな、とも思いました。

ちなみに、4年生の時に看護学科でも遺伝に関する科目が開講されていたのですが、「内容が難しいから、履修は助産師コース履修者のみ」ということで、履修できませんでした。
内容は、遺伝性疾患のことや出生前診断のこと等でした。
(受講しておきたかったです)

そして、大学卒業後。
病院に看護師として就職。
そろそろ夜勤が始まるという頃、患者さんの病状説明に立ち会いました。
がん細胞の遺伝子の検査の話が出てきました。
話の内容が、ご本人やご家族にとって難しかったご様子で、戸惑っているご様子でもありました。
その時にふと私は、「遺伝カウンセラーがもしここにいたら、どんなフォローをするのかな」と思ったのでした。

おおもとの原点は、このような感じです。

そして、行政保健師になり、地域の方々との出会いから、その原点の思いを膨らませていくことになりました。
そのお話は、また改めて書きたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?