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マトリョーシカねこ

つれない猫が好き

彼らは隣の小学校にも出入りしている
夜に校門をくぐっていたり
早朝に学校から出てくるのを見かけるので
猫の夜間学校があるのかもしれない

明るい時間帯は、あまり出会えない
日中は車の往来がはげしい場所なので
それもよくよくわかっているみたいだ
たぶん、私よりあの辺りに詳しい

毎年かならず1〜2匹の子猫が生まれている
しっぽが長かったり短かったり
おかあさんらしき猫はカギしっぽなので
おとうさんのしっぽが長いんだろうな
そういえば、おとうさんを見たことがない
忍者かもしれない
みんなまっくろなので、縮小コピー&ペーストしたみたいだな〜と毎年おもしろく観察している
親子で一緒にいるところはとてもあいらしい
でも目が合うととても嫌そうな顔をする
そこがまたいい

2年ほど前だったか
職場に痩せた黒猫が居ついていた
毛がバサバサでガリガリで、しっぽは歪んでいて
蚊の鳴くような声で控えめに鳴く
どうみてもケンカが弱そうだった
貧乏くじばかり引いてそうだったから
「びんちゃん」と呼んでいた

毎日3食、きまった時間にごはんを食べにくる
でも、いつまで経っても心を許してくれなかった
そばに寄ろうとすると、すごい速さで逃げる
食べている時も、いつも中腰だった
そんな猫らしい性格が好きだった

晴れた日は、駐車場の軽トラでお昼寝していた
荷台にかけられている緑のカバーが太陽の熱をよく吸収するから、荷台の中があったかくてお気に入りの場所だったらしい
眠っている時でも、近づくと気づかれた
警戒心がつよい!いいことです

そんなクールなびんちゃんだったが
ある時から、ぱったりと姿を見なくなった
最後に見たのは、昼間に荷台で寝ていた姿
同じ日の夕方に軽トラがいなくなっていたため
熟睡したまま連れられていったようだ
彼女も予期せぬ、突然の旅立ち

なわばり問題があるけれど
どこかでしぶとく生きていてほしい

びんちゃんもきっと、公民館ねこ一家の子だったな


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