【SS】会員制の粉雪

俺は、スキー場の近くでうどん屋を営んでいる。
スキー場への客足が遠のき、経営は厳しい。

最近、既設のスキー場の隣に会員制のスキー場「粉雪」ができた。
一日一名限定。
まだ誰も滑っていないパウダースノーを売りにしている。
見事選ばれた会員には、スキー場を営む美しい経営者から連絡が来る。
パウダースノーも魅力的だが、お客の目的は美しい経営者とその娘なのではないかと思っている。

母娘は二人とも雪のように白い肌、切れ長の目、ほっそりとした体形で常に表情ははかなげだ。

そして、その母娘は、我がうどん屋の上客である。
毎週日曜日、店にやってきてきつねうどんを食べる。
その日ばかりは、いつも閑散としている店が満席になるのだ。
もしかしたら、店を立て直せるかもしれない。

そういえば、この前行き倒れていた狐の親子は無事に帰っただろうか。
きつねうどんをうまそうに食べてたっけ。

カウンター席できつねうどんを食べている母娘は、油揚げを咥えてニコッと微笑んだ。


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