【SS】ルールを知らないオーナメント

サンタのおじさん、正確には母方の叔父さんは警察に追われている。
叔父さんに悪意があったわけではない。
不運が重なった結果、重大な問題を引き起こしてしまったのだ。

叔父さんは、クリスマスの前に、オーナメント達に魔法をかける仕事にしていた。オーナメント達は、ルールの基づいてクリスマスツリーを彩る。

しかし、今年はうまくいかなかった。
叔父さんがえいっ！と魔法をかけるとオーナメント達はクリスマスツリーではなく、街路樹に巻き付いた。
もとあるべきところへ戻れと追加の魔法をかけると、今度は道路標識に巻き付いてしまった。

後の調査によれば、叔父さんが最初に訪れた家は、クリスマスツリーを処分していて、オーナメントだけが物置に残されていたらしい。
魔法をかけられたオーナメント達は、行く当てをなくし、ルールを知らないオーナメントになり果ててしまったのだ。

オーナメント達が最後に巻き付いたのは信号だった。
街の交通網が麻痺したことは言うまでもない。