節分と鬼ばれとホエイプロテイン
去年の節分、私の家に鬼が来た。
鬼は、金棒でパパ(私)を殴り倒し、
物置に置いてあったおもちゃの剣を持って息子を襲撃し、
さんざん怖がらせた後に、豆を投げられ退散していった。
私は、物置にいるところを殴られ、その場で気絶したことになっている。
もちろん、鬼の正体は私だ。
鬼のお面にパンツ一丁、剣を振り回して、低い声でうなる。
鬼が退散した後、息子から、
どうして助けてくれなかったのかと責められた。
妻子の一大事に、駆けつけないダメな父親だと思ったらしい。
数日間は、息子は鬼を怖がっていた。
「もう、鬼こないかな。今度来たらパパが戦ってよ。」
そんなことを言う息子の様子に悪ふざけが過ぎたと反省した。
そして、ひと月、ふた月過ぎたころ、
「あの鬼は、色が白かった。」とか、
「貧弱な体だった。」とか言い出し、
「あれは、パパじゃないでしょうね~?」
と質問されるようになった。
もちろん、私はすっとぼける。
「殴られて気絶してたからわからないよ。」
今年、息子の幼稚園には鬼はこないらしい。
情勢が情勢なだけに、大人の鬼を用意することが難しいのだろう。
それにあやかって、今年は我が家には鬼は来ないことになっている。
それはそうだ。
今年はさすがにばれてしまう。
節分の日には、きっと息子は疑いの目でパパを監視することだろう。
ところで、食器棚の引き出しに、ホエイのプロテインがしまってある。
これは、妻子の一大事に駆けつけないダメな父親だからではなく、
私が、貧弱な体の色白の鬼であり、
昨年のリベンジを目論んでいたからだ。
今年は、筋トレをしなくて済んだ。
汚名返上のチャンスを逃して残念な反面、
内心、実はほっとしている。
お読み頂いありがとうございます。記事が役に立てばうれしいです。このエリアまで読んで頂いた方が、これまでもこれからも幸せでありますように。