【SS】オバケレインコート

「調査の依頼?アメリカから?何の?」
 ここは電車の中だ。俺は口元の携帯電話を手で覆って声をひそめた。
「オバケレインコートの正体?聞いたことないぞ。とりあえず事務所に戻る。」

 所員の聞き取りによれば、調査会社に勤めているアメリカ人が、留学中にオバケレインコートの話を聞いたらしい。そして、つい最近思い出して調査を依頼してきたというのだ。俺は、まず、依頼人の留学先に向かった。

「なにか、心当たりはありますか」
「多分あれだと思います」
「あれとは?」
「ちょっと再現してみますね」

「この川には河童が住んでいるらしいよ」
「カッパ?オー、アイシー。ジャパンーズレインコート」
「ノーノ―。カッパイズ”妖怪”」
「ヨウカイ?」
「ええと、妖怪がわからないのか。うーん、オバケかな。ジャストライクアゴースト」
「OK!OK!オバケレインコート。」
「まぁいいや。」

「所長わかりましたか?」
「ああ、河童だ。調査屋が早合点とは、正に河童の川流れだな。」



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